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異世界教皇と転生令嬢~最悪のシナリオを塗りつぶす!~  作者: 悠月 風華
第二章 偽りの令嬢
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第9話 「アスカ国の王族」

中庭から別校舎への近道があるというユージに

ついて行くことにして、アリア達は再び歩き出す。

陽の光が射し込む中庭は、美しい光景だった。

しばらく伯爵令嬢としてこの学園にいることだし、

時間があれば広大な中庭内を探索してみようと

アリアはひとり、思い立つ。


「そういえば、この学園にはクラスはあるの?」


「ええ、あります。

Sから上に、S・A・B・C・Dまでありますよ」


つまるところ、一番成績の高い者たちのクラスが

Sクラスで、一番成績の低い者たちのクラスが

Dクラスということだ。

この学園では成績が優秀であればあるほど、

待遇が異なるのだという。


「レイシアは何クラスなの?」


「私ですか……?私は、恥ずかしながらSクラスです」


「あら、成績優秀なのね。

でもまあ、確かに……幼少期から王太子妃としての

教育を受けたのならそうか……」


自分から、成績優秀だと

言うのは恥ずかしかったのだろう

少し顔を真っ赤にしているレイシアを見て、

『可愛らしい子ね』とアリアは思う。


「あ、あとユージやリドもそうです」


「あら、成績優秀者に囲まれてるのね」


「茶化していますか?」


慌てたようにユージとリドの属するクラスを伝えると、

アリアはニコニコと笑いながら言うものだから、

後ろから着いてきているリドが

困った顔をしながらそう口にする。


彼らはやはり、優秀な子達だったのね……と

それほど彼らと会話を交わして時は経っていないものの、

周りの空気を読むのに長けている三人を見ていれば、

それは何となく感じ取れることだった。


「あの二人は?」


「あの二人……?

あぁ、ダリル殿下とアシア伯爵令嬢ですね」


アリアに唐突に言われたものだから、

誰のことを指しているのか分からなかったのだろう。

理解した、というようにレイシアは大きく頷く。


「ダリル殿下はBクラス、

アシア伯爵令嬢もBクラスですね」


「ふーん……。

アレでも標準までの知識はある、ってところか」


「お気持ちは分かります」


アリアの意外だ、という顔と声色を見聞きして、

レイシアは苦笑いを浮かべる。

王族ともあろうものが、標準までしか知識がないのは

どうかとも思うが、だからこそこの国の王は

レイシアを第二王子であるダリルの補佐役として

王太子妃にしたかったのか……。

そこはいくら考えても憶測の域は出ないことだけれど。


確か、アスカ国には第一王子がいたはずだけれど……。

彼は四年前に奇病に罹って療養しているのだったかしら?

アリアはそこまで考えて気付いたことを言葉にする。


「アスカ国の王族は皆赤髪だったわね」


「その通りです、リア様。

このアスカ国が祀っている”炎の神ハイス”の

祝福を代々受けているハイスヴァルム家が

この国の王家となっています」


「(火の神ハイス……ね。

一度会ったことがあるけど、とても愉快な方だったわね)」


火の神ハイスとは、教皇として

『創世神アリシアの代理人』を務めるということを

全世界へ宣言する為に行った『神位の儀(しんいのぎ)』で

神々の代表者の中にいたことを思い出す。


「(あの時、神々の代表者として現世に降り立ったのは

水の女神ロゼ、自然の女神シエル、愛の神アモーレ

雷の神トネール、地の女神アース……

そして、火の神ハイスだったっけね)」


あの時はまだまだ世界を知らなかった身だったから、

とてつもなく緊張したのを未だに覚えている。

そもそも、『教皇』と呼ばれる立場が生まれたのは

その数百年ほど前のことであり、

その座に相応しい、創世神アリシアの祝福を受けた

人間は百年に一度、くらいの頻度でしか生まれてこなかった。

だからこそ、神々が現世に降り立つなど

本当に珍しすぎることであり、そうそうないものでもあった。


「あ、そういえば

リア様のクラスをお教えしていませんでしたね」


「あぁ……あまり気にしてなかったから

こちらから聞くのを忘れていたわね」


「ふふ、リア様のクラスは私達と同じSクラスです!」


ニコニコと微笑むレイシアはどこか嬉しそうに見える。

少し前までは緊張なのかお堅い表情だったのにね、

なんてそんな様子を見て思うアリアだったが、

それと同時に少し安堵する。


「あら、知人がいれば少しは楽ね」


「ええ、きっと学園長もそう思われたのでしょう。

それに、事前に行っていた試験の結果を見て

とてつもなく驚いたと仰っていましたし」


どうやら、挨拶に行った後学園の生徒という証である

遠隔用通信機……ようはスマホから学園長からの

個別のメールがレイシアのスマホに届いたそうなのだ。

その内容が、『あのような魔力量有り得ないです!!』

といったあまりにも興奮した様子の内容だったと言う。


「んー、私はなるべく抑えたつもりなんだけどね?

やっぱり300年経ってると魔力量の基準も

変わっているものなのかしら……」


「えっ?!抑えていたのですか!」


ボソボソと聞こえないように呟いたつもりでいたアリアの声は、

間近にいたレイシア達には聞こえていたようだ。

心底驚いた表情で、隣にいるアリアを見つめている。


「まあ、2000年も生きていればね

魔力量の増やし方とか、扱い方とか

こと細かく研究できる時間があったし、

それと同時に教皇としての力もあったからかもしれないわね」


「あー……なるほど」


アリアの簡潔な説明に、

レイシアもユージもルドもどうやら理解したようだ。

そして、レイシアが不意に立ち止まり

一つの教室の扉に手をかける。


「さて、ここがSクラスです、リア様」

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