↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界教皇と転生令嬢~最悪のシナリオを塗りつぶす!~  作者: 悠月 風華
第二章 偽りの令嬢
PR
16/19

第7話 「昼食」

先程ユージとルドに告げられた言葉が信じられず、

呆然と立ち尽くす馬鹿コンビをそのまま置いていき、

レイシアがこんなこともあろうかと、

侍女に持参させていたサンドイッチと紅茶のセットを、

学園内にある中庭にレジャーシートを敷いて、

アリア、レイシア、ユージ、リドの四人で座り、

少し遅めの昼食をとることにした。


「申し訳ありません、聖下。

このようなことに巻き込んでしまい……」


「いいのよ、あと今は教皇ではなく、

伯爵令嬢という偽りの身分を用いて、

私が勝手に着いてきてるだけだからね。

それにしては、レイシアの言った通り、

無知な奴らだったわね……」


そっと、頭を下げるユージに対し、

リアことアリアは何事もなかったかのように、

なんとも思っていないという意思表示を示した。


しかしながら、第二王子が、

あそこまで馬鹿だとは思っていなかったので、

アリアとしてはちょっと拍子抜けではあった。


「(……本当はレイシアが、

異世界人だという確証は見受けられなかったから、

着いてきて、この目で見極めようと思ったのだけれど……。

あのような悪口を言われて、驚くような素振りはなかった。

ましてや、”こう来るだろう”と分かっていたようだった……

となれば、事実で間違いないでしょうね。)」


そもそも教皇に対し嘘を吐くということは、

神に対する侮辱と捉えられるのがこの世界の常識だ。

たとえこの世界の常識が通用しない世界から来たとしても、

既にこの世界の住人として生きている以上、

こちらの”法則(ルール)”には従ってもらわなければならない。


「それで、レイシア。

あのアシアとかいう女も、

貴女の話からすれば、

同じように異世界から来た者、

という可能性も有り得るということで良いかしら?」


「はい、その可能性もあります。

しかしまだそういった素振りを見せていないので、

彼女が転生者である確証はありません。

あくまでも私の推測です」


この場にいる者は全員、

レイシアの中身(魂)が何処から来た者なのかを知っていて、

それを信じ、協力している者達だ。


ならば、コソコソと隠れて話す必要もない。

一応、聞かれてはマズイことになるのは明白なので、

誰にも気付かれないように結界は張っているけれど。


「ふーむ、つまりは腹の探り合いをしてるわけね」


「そうかもしれませんし、

相手は単純にこの世界で生まれた

『アシア』本人なのかもしれません」


「となると、同じように今後を

知っているわけではないかもしれない、か……」


ふむ、と感慨深くユージは顎に手を添え、

深く考えているようだ。

しかしながら、レイシアの知る”今後”とは、

本当にこれから先起こることであるという事実はない。

この世界がゲームの世界ならば、

レイシアの言う”シナリオ通り”の世界を辿るだろうが、

全てが全て、同じような結末を辿るとは限らない。


「とはいえ、そこは炙り出すしかないでしょう」


「炙り出す……そうね」


リドの発言に、レイシアは一瞬戸惑ったが、

その方法も試す価値があると思ったのだろう納得したと頷いた。

つまりは、わざとアシアが転生者でなければ、

対応できないような事態を起こすということだ。


「まあ、私は傍から見ておくことにするわ。

けどあまりにもあちらが過度な言動をとるようならば、

勝手ながら介入させてもらうけど……良いかしら?」


「構いません、聖下」


その言葉に少し驚いたようだが、

3人ともすぐに覚悟を決めた強い眼差しで、

アリアの言葉に応える。


レイシアが教皇であるアリアの協力を得たいと思っているのは、

もちろんアリアも察していた。

そして今のようにわざわざ伯爵令嬢になってまで、

彼女の傍にいる以上、協力は惜しまないつもりだ。


「さて、私はもういいから、

残りはあなた達が食べなさいね」


「えっ、まだたくさん残ってますけど……!」


「若い子は今のうちにたくさん食べて、成長しなきゃね」


ニコニコと微笑むアリアに、

戸惑いを隠しきれないでいる二人は、疑問を投げかける。

何よりもアリアが放った言葉が衝撃的だったというのもある。

何しろ、アリアの見た目は少女そのものだからだ。

それは、教皇としての姿でも同様に。


「そういう、聖下もお若いでしょう?」


「あら、私はこれでも2000年は生きたわよ」


「「えっ?!?」」


ユージの疑問に軽くいたずらっ子のように愉しげな声で、

実年齢を告げられたことで、

より一層疑問と戸惑いが強くなっていく二人。


そもそも2000年も人が生きられるわけもないので、

アリアの言っている年齢が、

本当に事実なのかは二人には全く分からない。


「レイシアはそんなに驚いてないみたいだけど知ってたのか?」


「ええ、皇居へ赴いた際に知りました」


リドの言葉ににっこりと微笑みを浮かべたレイシアの返事を聞いて、

そ、そうか……と小さく唸るユージを傍目に、

アリアはそう遠くないベンチがある場所へと辿りつき、

そこで、文鳥をバレないように呼び出し、

第一司教、弟のルマン宛に送るよう文鳥に命令した。


「(ふぅ……。久々の現世は大変ね。

そういえば、こう思ったのも、

前回目覚めたとき以来だったかもしれないわね……)」


今は”教皇”というとても大切な重役を忘れて、

ただ一人の令嬢でいられるということも相まってか、

少しだけ心が軽いような気がする。


かといって、辞めるというわけにもいかない。

今現在の世界において、教皇になれるのは、

創世神アリシアの加護と祝福を受けた者だけだからだ。

新たな創世神の加護と祝福を授けられた人間が、

もうこの世にはいない以上、

アリアが教皇という立場にあり続けなければならない。


そんなことはとうの昔に理解していたことだけれど、

もしも普通の女の子だったなら……?

という幻想(ゆめ)を見てしまうのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。