写導戦隊カゲレンジャー6
『写導戦隊カゲレンジャー』6
・第六忍法「合体!カゲキング!」
カゲレンジャーの五人は自衛隊と警察の協力の下、地下シェルターに移動し、変身した。そこで完全な暗闇を作れば、どうやら夜でなくても、闇光師団の作った闇でなくても変身出来るらしい。そして精密機器を装着し、サーモグラフィやら何やらで検査した。特にカラクリメカを重点的に調べた。するとどうやら個々で動いたり、カラクリメカ・ファイブバースト以外にも隠れた機能があるらしい。その解読を政府に任せ、カゲレンジャーの五人は暫く官邸の側の施設で過ごす事になった。明るい陽射し、規則的な生活、個々の広い部屋、美味しいご飯、暖かいお風呂、フカフカのベッド。何不自由なく過ごせていた。しかし無一郎とカイトはこれに不満を持っていた。
「……納得出来ん!」
「同感です」
「どうしたのよ?二人共」
「俺は料理が楽しみだったんだ……少ないお金で美味しいご飯を沢山作る。これが楽しみだったのに、その趣味を奪われて俺は不満だ」
「オッチャン、そんなに楽しみだったの?カイト兄ちゃんも?」
「俺は全然違う」
「と言うとー?」
「こんなに俺達が贅沢してて良いものだろうかと思ってな」
「何で?快適な生活で良いじゃない」
「今も街では倒れたビルや凹んだ道路を整備している人達がいる。怪我人だって、病人だっている。そしてその人達もいつ闇光師団の餌食になるかも分からない。そんな大変な状況の人達の事を差し置いて、俺達がこんな快適な暮らしをして良いのかと疑問に思ってな」
「……そうだな。カイトの言う通りだ。俺は自己中心的になってた……」
「いや、根本は無一郎さんと同じだ」
「同じか……?」
「俺達を贅沢な暮らしに置くくらいなら、その分の金やら人をこの国の為に使ってほしいと俺は思う」
「言わんとしてる事は分かるー。でもさー?ここで俺達が倒れちゃったら本末転倒だろー?この国を、この星を、この宇宙を守る為には俺達が健康でないと意味が無いよー」
「そうよ。体が資本って言うしね」
「それは分かってる……分かってるんだが……!」
「まぁ今は検査という名目がある以上、ここに居るしかないんだー。甘えられる時は甘えておこうぜー?」
「……そうだな」
一方、地下では幹部のオドゥン・クリムジャ、ダーク・ソウル、ブラック・ガイ、ボン・ノワール、ジョンノ・ダルクが会議をしていた。
「ブラック、お前の音楽家も封印された。役立たずの部下を持つと大変だなぁ?おい」
「そういうダークだってご自慢の大蛇さんがやられたじゃないか!頭脳派は頭だけか!?」
「ノワールも腹が減ってるなら自分で何か作ればいいだろう?」
「うっさいわねダルク!私は貴族なのよ!?自分で作るなんてこの私がやる訳無いでしょう!?」
「えぇい!黙れぇい!」
一同は「オドゥン様……」と片膝を付いた。
「お前達はそうやって足を引っ張り合う事しか出来ないのか!?たまには協力とやらをしたらどうだ!?」
「そういうオドゥン様だって何もしないで高みの見物してる癖に……」
「何だって?」
「いいえ、別に」
「じゃあこの俺の部下を出してやろう。現れろ!我がペット、ニクボシ!」
「シーッシッシッシッ!」
ハムスターの化け物、ニクボシが現れた。
「ニクボシ!貴様の牙で人間達の明かりを消してこい!」
「シーッシッシッシッ!」
ニクボシは地上に出ていった。そして発電所に行き、ケーブルを噛み切った。すると都市部では電気が使えず、明かりが消えた。夜だった事もあり、完全な闇に包まれた。官邸でも一瞬電気が消えたが、すぐに予備電力で電気が点いた。
「ニクボシ!今電気が点いている所が人間達が最もダメージを受ける場所だ!そこを狙え!」
「シーッシッシッシッ!」
ニクボシはまず病院を狙った。そこでは多くの患者が電気を使えずに治療を受けられず、危機に瀕していた。
「シーッシッシッシ!これだけの苦しみがあれば、オドゥン様に褒められるぞー!」
通報を受けたカゲレンジャーはすぐに出動し、病院に向かった。
「闇光師団!」
「シッ!?カゲレンジャー!?」
「人々を惑わす悪鬼妖魔!我々が成敗致す!皆!変身だ!」
一同は「応っ!」と答え、カゲマルを地面に刺してライトアップした。
「シャドウ変化!」
五人は変身した。
「カゲレッド!キャンサー!」
「カゲピンク!バード!」
「カゲイエロー!フォックス!」
「カゲグリーン!タートル!」
「カゲブルー!ドッグ!」
「写し、導く……ライトアップ!」
再び光が五人を包んだ。
「写導戦隊!カゲレンジャー!見参!」
「来い!カゲレンジャー!」
「出陣!」
ニクボシはハムスターを集め、姿形大きさを人型にしてカゲレンジャーに向かわせた。ピンク、イエロー、グリーン、ブルーは雑魚敵を相手にした。レッドはニクボシと戦った。
「貴様!ここの人達が何をしたって言うんだ!?」
「知らねぇよ!俺っちは主様の命令に従うだけだからな!」
「ここの人達が、患者が、医者が、看護師が、一体何をしたと言うんだ!?俺はここの人達を守る為に、お前達を封印する!」
「そう簡単に行くかなぁ!?」
「簡単にやるからヒーローなんだよ!」
レッドはキャンサーソードを二分割し、二刀流の構えを取った。
「いざ尋常に……勝負!」
レッドはニクボシに突き進んでいった。最初は伸縮自在なニクボシの前歯に困惑したが、シザースモードで前歯を刈り取り、それでも伸び続ける前歯を刈り取ってジリジリと距離を詰めて行った。
「な、何で斬られる!?俺様の牙は鋼鉄よりも硬いんだぞ!?」
「只嚙み切るだけしか能が無い奴に、この俺の正義の刃が効かない訳が無い!行くぞ!忍法、土遁の術!」
レッドは砂埃を起こし、地面に潜って姿を消した。
「シッ!?どこ行った!?」
レッドはキャンサーソードを合体し、一本の長刀となったそれで地面からニクボシの背後に現れ、下から上へと斬った。
「グァッ!?」
「シャドウ流剣術!二刀両断!二線駿刀斬!」
レッドは一本になったキャンサーソードとカゲマルで二の字にニクボシを斬った。その場に倒れず、片膝を着きながらニクボシは「このまままた封印されてたまるかぁ!」と言い、ハムスターを集め、巨大化し、五等分に分裂した。
「またカラクリメカを使うしかない!」
「何で毎回デカくなるんだよ!?」
「いいから行くぞ!」
五人はカラクリメカを出動させた。それまで核シェルターで研究されていたカラクリメカが動き出し、影に消えてカゲレンジャーの投影する影から出てきた。
「行くぜ!」
一同は「応っ!」と答え、カラクリメカに搭乗した。五体も現れたニクボシにそれぞれ五体で相手をしたが、埒が明かない。すると突如カラクリメカから音声が届いた。
「聞こえているかね?」
「貴方は……総理大臣?」
「君達のカラクリメカの構造が解析出来た。君達のメカは、合体出来る!」
「何ですって!?」
「そこにレバーがあるだろう?」
「レバー……これか!」
「これをー?」
「皆で背中合わせになった状態でレバーを引くんだ!そうすれば、人型ロボットになる!」
「分かりました!皆!良いか!?」
無一郎の言葉に四人は「応っ!」と叫び、何とか全員で中央に集まり、背中合わせになった。
「シーッシッシッシッ!追い詰められたな、カゲレンジャー!」
「今だ!『シャドウ合体』と言うんだ!」
五人は「シャドウ合体!」と言った。すると巨大な紙が出現した。そしてピンクバードが上部、イエローフォックスが右端、ブルードッグが左端を噛んで引っ張り、レッドキャンサーが紙を切り刻んでロボットの形をした切り絵を切った。そしてグリーンタートルが甲羅から光を放ち、空にロボットの影を出現させた。一瞬の眩い光にニクボシ達は目を背け、その間に五体のカラクリメカは空を飛んで合体した。レッドキャンサーは両腕に、ピンクバードは頭部に、イエローフォックスは右脚に、ブルードッグは左脚に、グリーンタートルは胴体に。それぞれ変形し、合体した。影絵に重ね合わせ、そのまま地面に飛び降りた。
「シャドウ合体完了!影劇(過激)なキング!カゲキング!」
「カゲキマルを装備するんだ!カゲレンジャー!」
「分かりました!カゲキマル、装備!」
そうレッドが叫ぶと、カゲキングの背中に巨大な刀『カゲキマル』が装備され、その刀を鞘から抜いた。
「忍法、影分身の術!」
カゲキングが五体に分かれ、それぞれがニクボシと戦い、倒していった。残りは大本の一体のみになった。
「な、何ぃ!?」
「行くぞ!影分身解除!」
影分身が解除され、五人は一体のカゲキングに戻った。すかさずニクボシは前歯を伸ばし、カゲキングに突き刺した。
「やったぞ!案外弱いじゃないか!」
すると倒れたのは藁人形だった。
「な、何ぃ!?」
「忍法、変わり身の術!」
ニクボシの背後頭上からカゲキングが現れ、カゲキマルで一刀両断した。
「シャドウ流剣術、必殺剣法、シャドウ斬……!」
ニクボシは小さくなって崩れ落ち、一匹のハムスターになって地面に落ちた。カゲキングから降りたレッドは封印の石を取り出して封印しようとした。そこへ装甲車が駆け付け、研究員と数人の自衛隊員が降りてきた。研究員はレッドの腕を掴んで待ったを掛けた。
「何だ?」
「それはこちらが預かろう」
「何でだ?」
「それを研究観察する」
「何故だ?」
「彼らの弱点が分かれば、こちらも有利になる」
「……分かった。良いだろう」
「ならば……」
「だが条件がある」
「何だね?」
「彼を苦しめる事だけは止めてほしい」
「何でだね?この街を破壊した害獣だぞ?」
「害獣でも何でも、一つの生命体だ。数千年の眠りからようやく醒めて、また暗闇に戻るところなんだ。少しでも痛みや苦しみからは遠ざけてあげたい」
「……君はよく分からない男だ。駆除したいのか保護したいのかどっちなんだ?」
「誰であっても助けたい。それだけだ」
「……よく分からんが、まぁ分かった。なるだけ譲歩しよう」
「すまない」
「いや、良い。それがこちらのビジネスだからな」
政府の人間はニクボシを凍結させて連れて行った。その様子を甲虫が見ており、その後どこかへ飛んでいった。
翌朝、カイトは早々に出掛け、街の復興作業に手を貸した。それを見てミトリ、コン、腕太郎、無一郎も手助けをし、夜は変身してカゲキングを使ってビルの建て直しを手伝った。
戦いはまだ始まったばかりである。
一方で地下のオドゥンはいつものように鼠を使い、何かの探索行動をさせていた。その様子を見ていたノワールはふと「ここ最近、何かいつもと違うな……」と感じていた。




