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写導戦隊カゲレンジャー3

『写導戦隊カゲレンジャー』3


・第三忍法「ミトリとコンの恋模様」


 その日、ミトリは珍しく念入りに化粧をしていた。そこへ腕太郎が部屋をノックして入ってきた。

「ミトリ姉ちゃーん?」

「何ー?」

「ちょっとスマホで分からない所があるんだけど……って、あれ?何?そんなに化粧なんかして」

「別に良いでしょー。それよりスマホの事ならカイト達に聞けば良いでしょー?」

「それが三人とも夕飯の買い出しに出ちゃっててさー……」

「あっそー。でもごめーん。アタシ、もう出るからー」

 いそいそと支度をし、ベルトにマゼンタピンク色のマイダーツケースを装着してミトリは出ていった。

「あ、ちょ、そんなにお洒落な格好でどこ行くのー?」

「デート!」

 呆気に取られていると、カイト達が帰ってきた。

「おっ、どうした?腕太郎」

「ミトリ姉ちゃんが出ていった」

「どこに行くって?」

「デートだって」

「何ぃ!?」

 コンは腕太郎の両肩を掴み、大きく揺さぶった。

「誰と!?いつ!?何処に!?」

「し、知らないよ……!」

「こうしちゃおれんー……!腕太郎ー!行くぞー!」

「え、あ、ちょ!?コンの兄貴ー!?」

「おーい!コン!今日の夕飯、お前の番だろー!?」

「そんなの適当にカップ麺でも喰ってろー!」

「えぇ……?どうする?無一郎さん」

「放っておけ」

 地下では幹部のダーク・ソウルが優雅にワインを飲んでいた。

「おい。ダーク。何を飲んでる?」

「ブラック君とダルク君か。これはワインと言う物だよ。なかなかに味わい深い……」

「そんなの飲んでる暇があれば、地上の人間達の心の闇を作って来い!」

「もうやってるよ。ダルク君。私の部下がね」

「何ぃ?」

「私は君達と違って頭脳派だからね。ま、好きにやらせてもらうよ?」

 ダークはワインを飲み干した。

 一方その頃、地上では、ルンルン気分でスキップしているミトリを尾行するコンと腕太郎がいた。

「ミトリの奴ー……一体どこの馬の骨と会うつもりだー……?」

「ねぇ。俺、帰って良い?」

「良くなーい!お前が言ったんだろー!?ミトリがデートに行くってー!」

「そんな大きい声出したらバレるよ?」

「うぁっ……そうかー……で、どんな奴だー?」

「知らないよ。俺だって『デートに行く』としか言われてないんだから」

「いつの間に彼氏なんて出来てたんだー……?しかもこの都会でー……」

「あ、そういえばダーツケース着けてたよ?」

「……ダーツケース……!?そのダーツケースって一昨年、誕生日プレゼントで俺が送ったやつじゃないかー!?」

「あぁ、あのピンク色のやつ?」

「俺の誕生日プレゼントでデートだとー!?どういう事だー!?」

「俺に言うなよー……」

 待ち合わせ場所に着いたのか、ハチ公前でミトリは左腕の腕時計を見て微笑みながら待っていた。

「あんなに嬉しそうにー……一体どんな奴なんだー……?」

「あ、来たよ?」

 ミトリの下へ一人の男性がやってきた。スラッとした長身の男性で、高級そうなスーツを着ていた。

「あ、羽生さん!」

「やぁ、ミトリさん。待たせちゃったかな?」

「いいえ。今来たところ!さ、行きましょ?」

「あぁ」

 二人は腕を組んで歩きだした。腕太郎は「へー」と言った顔で見ていたが、ふとコンの方を見ると血涙を流しながらハンカチを噛んでいた。

「ちょ、コンの兄貴……?」

「ななな何であんな優男にー……!?」

「格好良いからじゃない?」

「格好良いのは絶対に俺の方だー!」

「あー、後、優しそうだからじゃない?」

「優しいだけじゃ彼女は守れないー!俺が目覚めさせてやるー!」

「守るって……ミトリ姉ちゃん、一人でも十分強いけどなぁ……?」

「行くぞー!腕太郎ー!」

「俺もう帰りたい……」

「弱音を吐くなー!男だろー!?」

「女々しいコンの兄貴に言われたくないよ……」

 コンと腕太郎は二人を追った。ミトリと羽生と呼ばれる男性のデートは至って普通で、昼食を取ったりショッピングをしたりしていた。そして夕方になりダーツバーに入ると、このバーでは未成年の腕太郎は中に入れないので外で待つ事になった。腕太郎は帰ろうかと思ったが、逃げられないようにコンは忍法 影縫いの術で腕太郎を束縛した。

「何で俺がこんな目に……」

 ミトリと羽生はダーツをしながらお酒を飲んでいた。一方でコンはソフトドリンクを頼み、店の端からこっそり二人の様子を観察していた。ミトリは全ダーツをトリプルに刺し、羽生と笑顔を交わしていた。しかし普通のダーツの投げ方ではなく、コンが教えた逆手持ちの投げ方でダーツを投げていた。

「ぐ……!?俺の教えた投げ方でー……!?」

 その後、ほろ酔い気分になった二人はバーを出てレストランに向かった。影縫いの術を解かれ、腕太郎はまたコンに連れ回される形でストーキングした。羽生は至って普通に素敵なエスコートをしていた。

「ぐぬぬー……!い、良い男過ぎるー……!」

「ねぇ。もう帰ろうよ?悪趣味だよ、こんなの」

「も、もう少しだけー……」

 ミトリと羽生が食事をしていると、羽生が席を立った隙にミトリは一瞬スマートフォンを取り出して電話をした。羽生は戻ってくると小箱を取り出し、中身を見せた。そこには指輪があった。歓喜しているミトリを見て、コンは冷静さを欠いていた。

「ぐ、が、ぎ……!あの男……!何者ー……!?」

「ねぇねぇ?」

「な、何だー!?今、一番ムカつく所なんだー!邪魔するなー!」

「お巡りさんが来てるんだけど?」

「お巡りさんー?知るかー!そんな事ー!」

 一人の警察官がコンの肩を叩いた。

「何だ腕太郎ー!?邪魔するなー!」

「あのー、お兄さん?」

「何だー!?……あっ!?」

「ちょぉっとお話、宜しいですかー?」

「け、警察官ー……!?」

「あそこに居る女性から通報がありましてね。ちょっとお話宜しいですか?」

「べべべ!別に怪しい物じゃありませんー!俺達は彼女の家族ですー!」

 そこへミトリが羽生を連れてやってきた。

「まだ家族じゃないでしょ?」

「げっ!?み、ミトリー……?」

「ずっとアタシ達の事を着け回して!デートが台無しじゃない!」

「お、俺はただ、ミトリの事が心配でー……」

「余計なお世話!早く帰って皆の夕飯を作りなさい!」

「み、ミトリー……」

「じゃ、腕太郎。コンを宜しくね?」

「え?あ、うん」

「警察の皆さん。お騒がせしました。もう大丈夫です」

「そうですか?じゃあ我々はこれで……」

 警察官達は帰っていった。

「じゃ、行きましょ?羽生さん」

「良いのかい?彼ら」

「良いの、良いの!お楽しみはこれからでしょ?」

「ははは。そうだね。素敵な夜にしよう」

 そう言ってミトリと羽生は去っていった。残されたコンと腕太郎は呆然と二人を見送った。

「あのー。コンの兄貴……?」

「……俺はもう、ミトリの目に入っていなかったんだなー……」

「兄貴……?」

「もう、邪魔はしないー……ミトリ、幸せになれよー……」

フラフラと帰っていくコンに着いて行く腕太郎。コンは涙すら流さずに絶望の顔で帰宅した。

 一方その頃、ミトリと羽生はホテルに入った。

「ねぇ?羽生さん?本当に私を幸せにしてくれる?」

「あぁ。君を愛してる。ずっと一緒に居たい……」

「そう……」

 ミトリは懐からスマートフォンを取り出し、画面を見せた。

「じゃあこれは何かしら?」

「なっ!?えっ!?何で!?」

 そこには別の女性達と逢瀬を重ねている羽生の姿があった。しかもどこで撮られたのか、大蛇の姿になって色んな女性達の魂を飲み込んでいる羽生の映像があった。

「貴方、闇光師団でしょ?」

「そういう貴様は……!?カゲレンジャー!?」

「そうよ!」

「くっ……!」

 羽生は巨大な大蛇に代わり、ミトリに突進していくと見せかけて、窓硝子を破って外に逃げていった。ミトリも窓から飛び降り、追い掛けた。

 一方その頃、家で夕飯の支度をしているコン。そこに無一郎のスマートフォンが鳴った。

「ミトリか?あぁ、分かった。よくやった。今からそっちに行くからGPSをオンにしておいてくれ」

 無一郎は電話を切り、GPSを起動してミトリの分のカゲマルを持ち、準備をした。

「行くぞ、皆」

「どこへ?」

「ミトリの所だ」

「ミトリー……?彼氏と一緒なんだろー?俺達が今更行って何になるんだよー……?」

「良いから!行くぞ!」

「えぇー……?」

 コンはコンロの火を止め、三人は無一郎の後を駆け足で着いて行った。

 現場では大蛇が通行人の女性を人質に取っていた。

「来るな!来たらこの女を喰い殺す!」

「その前に、私のダーツの矢がアンタの目を潰すわ!」

 ミトリはマイダーツを構えていた。そこに無一郎達がやってきた。

「ミトリ!」

「無一郎さん!皆!」

 その一瞬の隙を突いて大蛇は逃走した。ミトリは捉えられていた女性を介抱しつつ、コンをこの場に留まらせ、三人には大蛇を追わせた。この時、無一郎はミトリのカゲマルを置いて去っていった。

「え、あのー……?ど、どういう事ー……?」

「この人を病院に運ぶわよ!手伝って!」

「は、はいー!」

 コンは女性を抱えてミトリと共に病院に向かい、その後女性を病院に預け、GPSを頼りにコンと共に現場に向かった。そこは地下の排水路で、大蛇が無一郎ら三人に追い詰められていた。

「こんな筈じゃ……!」

 困惑する大蛇。そこへコンを連れたミトリが現れた。

「皆!」

「やっと来たか!遅いぞミトリ!」

「ごめん、カイト!」

「あの人はどうした!?」

「病院に運んだ!もう大丈夫!」

「よし!じゃあ行くぞ!」

 一同はカゲマルを地面に突き刺しライトアップされ「シャドウ変化!」と言って変身した。

「カゲピンク!バード!」

「カゲイエロー!フォックス!」

「カゲブルー!ドッグ!」

「カゲレッド!キャンサー!」

「カゲグリーン!タートル!」

「人々を惑わす悪鬼妖魔!私達が成敗致す!写し、導く……ライトアップ!」

 再び光が五人を包んだ。

「写導戦隊!カゲレンジャー!参上!」

「カゲレンジャーぁああああああああああああああああああああ!」

 大蛇は真っ直ぐ向かって来た。するとピンクは後方に跳び、四人はカゲマルで大蛇を突き刺して動きを封じた。

「バードアロー!」

 バードアローで大蛇の目を射抜いた。すぐに治る大蛇の目。しかしその治る寸前のラグの瞬間を見逃さず、五人はそれぞれの武器を合体させ、セイバイセイバーを作った。

「レッツ、成敗!セイバイセイバーぁああああああああああああ!」

 セイバイセイバーを振り翳し、大蛇を倒した。ピンクは封印の石に大蛇を封印した。同時に、大蛇が今まで食べた女性達の魂も解放された。

 一同はマンホールからこっそり出て来てアパートに帰った。食事をし、風呂に入って無一郎、カイト、腕太郎が眠りに着いた。そんな中、コンは眠れずに外に出た。するとそこにはミトリが星を眺めていた。

「ミトリー?」

「あぁ、コン。どうしたの?」

「何か眠れなくてー。ミトリはー?」

「アタシも眠れなくて」

「あっそー……」

 沈黙が流れた。

「ミトリー?」

「何?」

「あれ、囮作戦だったのかー?」

「そうだよー」

「何で自分からー?」

「あの大蛇、羽生って男は女性にロマンス詐欺をして人々の悲しみの塊となった魂を食べていたの。だから唯一の女性である私が囮になって、制裁を下そうと思ったの」

「何で言ってくれなかったんだー?そうすれば俺だってあんな馬鹿な事しなかったのにー……」

「敵を騙すならまず味方からって言うでしょ?それに……」

「それにー?」

「あんな姿、コンに見られたくなかった……」

「えっ……?それってー……?」

「さ、もう寒いし寝ようかな。おやすみー」

「あ、うん……おやすみー……」

 その日はモヤモヤしたままコンは眠りに着いた。

 一方、地下ではオドゥン・クリムジャがまた鼠を使って何かの探索行動をさせていた。


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