写導戦隊カゲレンジャー2
『写導戦隊カゲレンジャー』2
・第二忍法「東京での暮らし」
五人は東京に向かった。それまで何度か外界と関わっていたカイト、ミトリ、コン、無一郎はすぐに馴染めた。しかし影の里しか知らない腕太郎は少し戸惑っていた。
「ここが東京……人がいっぱいいる……」
「まるで漫画の主人公みたいだな、腕太郎」
「そりゃ影の里しか知らないんだもん。良いよなぁ、兄ちゃん達は外界に触れてて」
「そうでもないわよ?たまーに来るくらいだったし」
「そうそう。仕事でたまーに来るけど、ほぼこっちでの暮らしは初めましてに近いからねー」
「まぁ俺は合気道の道場を開いているからよく来てたけどな」
「オッチャン、頼むよ?」
「任せとけ」
一同はアパートの一室に向かった。
「ここは?」
「アパートだ。まぁ住処だな。俺達男はこの部屋、ミトリは隣の部屋だ」
「何で分けんの?一緒で良いじゃん」
「えっち」
「えっ?何で?」
「女性と男性では見せられる所と見せられない所がある。特に男だらけの部屋に女性一人は怖いだろう?」
「そうそうミトリは一応女だからね」
「一応って何よ?これでも一端のレディなんですけど?」
「まぁ良いから。基本的に会議とかはこの部屋で、生活自体は分ける。これで良いだろう?」
「はーい」
「じゃあ荷物を置いたらまたこの部屋に集まろう」
ミトリは荷物を部屋に置き、男部屋に来た。
「まず整理しておこう。アイツらは魔王軍団『闇光師団』。かつてこの星を支配していた闇の軍団だ」
「それは知ってる」
「闇という光で宇宙を包み、暗黒時代を作っていたんだよな?」
「そう。そして恒星である太陽等の星が生まれた時、白い光で宇宙が明るくなった」
「そして光と闇の戦いが始まり、かつて生物が住んでいた金星、火星と共にこの星、地球でも戦いがあって、闇光師団が自爆して結果的に金星と火星は完全に生物が滅んだけど、地球の生命が残ってて、氷河期を乗り越えて、生命が進化し、我々人類が地球を支配したんだよ」
「へー。そんな歴史があるのか」
「知らんかったのか?腕太郎」
「そこまでは教えられてなかったから」
「授業でも習った筈よ?」
「覚えてない……」
「まぁお浚いが出来ただけでも良いだろう」
「でも何でそんな事が分かるんだ?眉唾物じゃないの?」
「それは太陽神と月神が影の里を作った時に伝承を残してきたんだ」
「伝承?」
「そんな事も知らないのかー?俺達は神に選ばれた人類なんだぞー?」
「選ばれたって……そんな伝承、何で信用出来るんだ?適当な作り話かもしれないのに」
「それは、俺が太陽神の末裔だからだよー」
「えぇ!?コンの兄貴が!?」
「更に言えば、腕太郎、お前も月神の末裔なんだぞ?」
「えぇ!?そうなの!?」
「それも知らなかったの?」
「知らない……」
「お前の親父さんとお袋さん、まだ時期じゃないと思って言わなかったんだろうなー」
「そうだったのか……でも自爆したのは分かったけど、人類が生まれるまでの間は闇光師団は動かなかったの?」
「自爆のエネルギー放出で動けなかったらしいよ」
「へー……で、人類が生まれて、忍が生まれたと」
「そういう事だ。そして三千年前に力を取り戻した闇光師団は再び暴れ回ったんだが、そこで太陽神と月神は封印の石を作って闇光師団を封印した後、影の里を作ってこの話を語り継ぐように言ってきたんだ」
「じゃあまた太陽神と月神が封印すれば良いじゃないか?」
「太陽神と月神は別の宇宙に新たな銀河を創る為に旅立っていったのよ」
「そうー。そしてこの星の未来は自分達で切り開けって事でこの伝承だけが残ったんだぞー」
「何て身勝手な神様なんだ……」
そして会議は終わり、一同は腕太郎のスマートフォンを買いに行った。帰りの道中腕太郎はスマートフォンを眺めながら歩いていた。
「これがスマートフォン……」
「必須アイテムだぞ。大事にしろよ?」
「アパートに置いてあるカゲマルとどっちが大切?」
「同じくらい。でも圧倒的にカゲマルの方が大事よ」
「そうか。じゃあ刀としての手入れをしっかりしないといけないな……」
「手入れについては後で教えてやる」
「っていうかそんな怖い物なんだな……スマートフォンって……」
「まぁ爆発したりする訳じゃないし、不用意にネットにアクセスしなければ問題は無いぞー?」
「ネット……?」
「電脳世界って言えば分かる?」
「あぁ、テレビで見た。アレの事か」
「それに繋がなければ大丈夫だ」
「成程……気を付けよう。で、これは基本的に何に使うんだ?」
「電話とメールだな」
「そんな事がこんな小さい物で出来るのか……」
「腕太郎、本当に何も知らないんだね」
「知らないよ。里から出た事無いんだもん」
「にしてもだよ。物を知らなさ過ぎる」
「お前の両親は息子可愛さに何も教えてこなかったんだな」
「そうなのかなぁ……?ところでアパートに誰もいないのにカゲマルを置いたままで大丈夫なの?盗まれたり悪用されたりしない?」
「選ばれた人間だけが触れることが出来るんだ。そこは心配しなくて良い」
「都合が良いなぁ」
一同はアパートに帰り、一休みした。
一方その頃、東京の地下では闇光師団のメンバーが集まっていた。
「ねぇ、これからどうする?」
「知らねぇよ。まずは人間とやらがどれだけのテクノロジーを持っているかを確認しねぇと」
「じゃあ情報集めにはこの子よ。カモン!アミーゴ!」
そう言うとアミーゴという網状の物を被った化け物が現れた。
「マザー・ノワール様。私はここに……」
「アミーゴ!外の世界の情報を集めて来なさい!?」
「はっ。畏まりました……!」
「頼んだわよ!」
アミーゴは地上に上った。アミーゴは東京の人間の様子を伺ってみると、人間達はスマートフォンやパーソナルコンピュータに頼って情報を得ているという事を把握し、情報を多く持つ大元のスーパーコンピュータがある施設に忍び込み、自らの触手を接続して情報を集めた。そこに警備員が現れた。
「誰だ!?ここで何してる!?」
アミーゴは振り返った。
「あ、ば、化け物!?」
「邪魔をするな……!」
アミーゴは網を投げ、警備員を壁に縛り付けた。
「大体の世の中は分かった。早速帰ってノワール様にご報告しなければ……」
アミーゴは地下に帰り、ノワールに報告した。
「こういった感じの世の中です……」
「成程。この星は人間が牛耳ってるのね」
「みたいです……」
「アミーゴ。お前の網でこの世を闇で包み込んで来なさい!?」
「畏まりました……!」
アミーゴは再び地上に現れた。今度は堂々と警察庁の上から、ネット回線に触手を接続して大々的に宣言した。
「聞け!人間共!我々は闇光師団!この世を闇で包み込み、暗黒世界を作り出す!ひれ伏せ!我々に従うのだ!」
その動画を見たカイトは仲間達に報告した。
「おい!この動画!」
「これは……闇光師団か……」
「本格的に攻めてきたなー」
「行きましょう!」
「応っ!」
アミーゴは巨大な網を空に投げ、暗闇の結界を作った。そこに間一髪間に合い、五人は到着した。
「おい!闇光師団!」
「お前達は……この前の……カゲレンジャー……!」
「お前を成敗する!」
「やってみろ……!」
「行くぜ皆!」
カイトがそう言うと、四人は「応っ!」と答え、カゲマルを地面に突き刺した。カゲマルから光が溢れ、五人を包んだ。
「シャドウ変化!」
五人はそれぞれ影絵を作り、写した。そしてそこから現れたスーツが被さり、変身した。
「カゲレッド!キャンサー!」
「カゲピンク!バード!」
「カゲイエロー!フォックス!」
「カゲブルー!ドッグ!」
「カゲグリーン!タートル!」
「人々を惑わす悪鬼妖魔!我々が成敗致す!写し、導く……ライトアップ!」
再び光が五人を包んだ。
「写導戦隊!カゲレンジャー!見参!」
「出たなカゲレンジャー……!行くぞ……!」
「出陣!」
カゲレンジャーはカゲマルを手に取り、アミーゴに飛び掛かっていった。網を操り五人を捕獲してジワジワとエネルギーを吸い取ろうと攻撃をするアミーゴ。しかしレッドが専用武器、一対のキャンサーソードを取り出し、ハサミ型に合体させて網を切った。
「ここからは俺達のターンだ!」
レッドはキャンサーソードを分離させ、二刀流にして近接戦闘を行った。更にピンクが忍法 空駆けで空を飛び、バードアローを使って上からアミーゴを狙撃して怯ませた。アミーゴは再び網を出したが、イエローがフォックスウィップを使って網を切り裂き、ブルーがドッグスピアーでアミーゴを貫いた。グリーンが追い打ちでタートルファングでアミーゴを殴り飛ばした。立ち上がろうとするアミーゴだったが、ダメージが大き過ぎて片膝を付いた。そこに五人はそれぞれの武器を合体させ、巨大な剣を作った。
「セイバイセイバー!」
「何……!?」
「レッツ、成敗!」
五人はセイバイセイバーを振り翳し「セイバイセイバー!」と叫んでアミーゴに振り下ろした。
「ぐあああああああああああああああああああああああああああ!」
アミーゴは倒れた。
「これ、倒したは良いけど、この後どうすんだ?」
「これはまたこの封印の石に封じ込める」
グリーンは懐から封印の石を取り出し、アミーゴに押し当てた。するとアミーゴは石に封印された。
「これでどうにかなったな」
「でも封印はまた解けるんだよなー?」
「その時はまた封印すれば良いのよ」
一同はアパートに帰った。
地下では闇光師団のノワールが悔しがっていた。
「私のアミーゴが敗れるとは……!」
「所詮は下っ端。戦闘面では弱い事くらい知ってただろう?」
「まさかこれ程のテクノロジーを使いこなせるとは思わなかったな。次は俺の部下を寄越そう」
そしてその夜、アパートでは一同が夕食を終え、風呂に入ってまったりしていた。するとこれから風呂に入ろうとしていた腕太郎が慌ててカイトに駆け寄った。
「大変だ!」
「どうした?」
「親父が交通事故で相手に怪我をさせてしまって、慰謝料?が三百万円必要になったらしい!どうすれば良い!?」
「初めて携帯電話を持った奴あるあるだなー」
「無視して良いぞ?」
「えっ!?でも警察が来るって!」
「お前の親父さん……その、何だ……アレじゃないか……?」
「……あっ!そうか!」
「詐欺だよそれ」
「じゃあ無視して良いのか?」
「あぁ。寧ろ警察に相談しよう」
「明日、警察に行くぞー?」
「わ、分かった!」
その後、誰ともなく窓から夜空を見上げ、影の里に思いを馳せて、それぞれの布団に潜り込んだ。
一方、地下ではオドゥン・クリムジャが鼠を使って何かの探索行動をさせていた。




