写導戦隊カゲレンジャー15(最終話)
『写導戦隊カゲレンジャー』15
・最終忍法「決戦!オドゥン・クリムジャ!」
概念を食べる。それがオドゥン・クリムジャ。それはどう考えても対処のしようが無い。そして封印の石だが、もう容量がいっぱいになっていた。何故ならあのカッシーによる鹿の邪念の封印で沢山のエネルギーを使ってしまっていたからだ。新しい封印の石を作ろうにも、現代の科学技術と素材には限界があり、もう新しい石は作れずにいた。出来る事と言えば、幹部達やその部下達同様に、力の四分の三を封印するしか無かった。そして次の戦いが最後になるだろうとガラゴは言った。
一方、影の里の地下にアジトを移したオドゥン・クリムジャは闇光師団に居るのは自分だけという状況に少し寂しそうにしていた。
「我、一人か……」
クリムジャは最大限の力を振り絞り、かつての幹部や部下達のコピーを新たに生み出し、手始めに東京を一気に制圧する事にした。
地上では、溢れた怪人達で街はパニックになっていた。それを聞き付け、世界各国のカゲレンジャーが集まり、応戦した。しかし、倒した、いや、封印、保護した筈の怪人達にカゲレンジャー達は驚いた。官邸に連絡すると、怪人達は保護状態であり、彼らは自分達のコピーなどいる筈が無く「こんな事が出来るのはオドゥン様しかいない」と慌てているとの報告が返って来た。
カゲレンジャー一同は戦い続けたが、本当のカゲレンジャーではないカゲシルバーや他国のカゲレンジャー達は、時間制限があり、また肉体的負担も大きく、次々と変身を解いていった。絶体絶命のピンチの瞬間、新たな怪人がカゲレンジャーの前に現れた。
「またか!」
と絶望していると、その怪人達は今までカゲレンジャーと戦っていた怪人達を倒していった。
「何だ!?」
そうレッドが叫ぶと、変身を解いたシルバー、ホエルが後ろから声を掛けてきた。
「俺の判断だ!」
「ホエルさん!?じゃあ、コイツ等は……!?」
「私達よ!」
そこにはノワール、ブラック、ダーク、ダルク、その他大勢の彼らの部下達が完全体で勢揃いしていた。
「私達のコピー風情がオリジナルに勝てる訳無いわ!」
「そうだ!俺達は、こんな奴らに負けない!」
「行くぞ!ダルク!」
「あぁ!ダーク!」
彼らは自分達が味方であると分かるようにマントを羽織っていた。
「さぁ!戦え!カゲレンジャー!」
「ここは俺らに任せろ!」
「お前達はオドゥン様の所へ行け!」
「あ、あぁ!分かった!」
「でもどこに行けば……!?」
するとガラゴが叫んできた。
「影の里だ!」
「えっ!?」
「影の里の地下に、オドゥン様が完全体になる為のパワーが残っている!そこにいる筈だ!」
「分かった!行くぜ!皆ぁ!」
一同は「応っ」と答え、カラクリメカとシンカラクリメカを出動させ、ガラゴをレッドキャンサーの助手席に乗せ、共に影の里に向かった。
「灯台下暗しとはこの事だなー……」
「しかし不幸中の幸いだ。今の影の里なら、俺はカゲシルバーでいられる」
「そうなんですか?」
「あぁ。オドゥン・クリムジャがいるなら、あそこはシャドウエナジーが溢れてる。シンカラクリメカと同様に、闇の力が強ければ強い程、カゲシルバーに変身出来るんだ」
「親父、最後の戦いだ!」
「あぁ!皆!全力を出すぞ!」
一同は再び「応っ」と答えた。影の里に向かうと、そこはいつもより薄暗く、現地に着くと昼間だと言うのに夜のように真っ暗だった。
「寒い……」
「夜だけじゃなく、気温すらも操るという事か……」
影の里を進んでいくと、丁度中央に巨大な穴があった。そこにクリムジャがいる。直感的にそう思った。一同は中に降りていった。地下深く、何キロメートルあったのだろうか。そんな下層部だと言うのに全く熱さを感じなかった。本当に闇、と言った様子で、寒気を感じていた。底に着いたかと思ったら、横穴が続いていた。突き当りまで行くと、一つの部屋に辿り着いた。扉の隙間からこっそり中を覗くと、今まで見た事の無い怪人がそこにいた。ガラゴに確認させると、あれは影武者ではなく、本物のクリムジャであると言った。一同は扉をぶち壊し、中に入った。
「オドゥン・クリムジャ!」
「来たか、カゲレンジャー……!」
「人々を惑わす悪鬼妖魔!貴様は我々、写導戦隊カゲレンジャーが倒す!行くぜ、皆ぁ!」
一同はカゲマルとシンカゲマルを地面に刺し、ライトアップし、「シャドウ変化!」と言って、それぞれの光にそれぞれの動物の影絵を写した。
「カゲブルー!ドッグ!」
「カゲシルバー!ウルフ!」
「カゲレッド!キャンサー!」
「カゲピンク!バード!」
「カゲイエロー!フォックス!」
「カゲグリーン!タートル!」
「写し……導く……!ライトアップ!写導戦隊!カゲレンジャー!登場!」
「最終決戦だ……!」
「言われなくてもそのつもりだ!」
それから戦闘が始まった。クリムジャは影分身をし、合計六体の自身を生み出した。死闘を繰り広げた結果、何とか六体のクリムジャを倒した。しかしガラゴは「オドゥン様はここにはいない!」と叫んだ。本物のクリムジャがどこにいるか探そうとしたら「時間稼ぎは終わりだ……!」という声が何処からともなく聞こえてきた。時間を掛けてシャドウエナジーを取り込んで完全復活したクリムジャは東京にいたコピー達もエネルギー体にして自分の体に取り込み、地上に出て行った。
「待て!逃げるな!」
「逃げているのではない……ここでは狭いと思ってな……!」
外に出ると、クリムジャは巨大化した。それを見て六人はカラクリメカとシンカラクリメカを合体させ、カゲキングとカゲオージャーにした。再び戦ったが、なかなか勝負が着かない。するとそこへ各国の自衛隊、軍隊が登場し、一斉攻撃した。
「五月蠅い蠅共だ……!」
クリムジャが戦車を踏み潰し、戦闘機を叩き落とそうとした時、カゲキングとカゲオージャーがそれを阻止した。
「させるかよ!」
「アンタを倒す為に、アタシ達はここに来たのよ!」
「仲間は、絶対に誰一人殺させないー!」
「黙れぇい!」
覇気を出し、カゲキングとカゲオージャーを吹き飛ばした。よろけて倒れそうになったところで、二体を支える四体の影が現れた。
「貴方達、大丈夫!?」
「お前ら……!?ノワール!?」
「ブラック!?」
「ダーク!?」
「ダルクー!?」
「お前達、巨大化出来たのか……!?」
「シルバーの判断で全ての力を解放させたからなか!」
「そういう事!行くわよ!?」
「あ、あぁ!行くぞ!オドゥン・クリムジャ!」
「この裏切者共が……!」
「裏切者は貴方でしょう!?」
「何だと?」
「オドゥン様は世界にこんなに美味い物があると知りつつ、俺達にそれを言わずに闇とかいう不味いモノを食べさせ続けた!只の傲慢だ!」
「黙れ、黙れ、黙れぇい!貴様らは一匹残らず殺す!」
「殺したら、もう何も食べれないですよ!?」
「五月蠅い!この星は、この宇宙は、我の物だァー!」
激闘を繰り広げ、自衛隊、軍隊との連携でクリムジャは力を使い果たし、人間サイズまで縮小した。カゲレンジャーはロボから降り、ノワール達は体を縮小させてクリムジャの前に立ち向かった。
「そこまでだ!オドゥン・クリムジャ!大人しく封印されろ!」
「嫌だ……!」
「何っ!?」
「あんな暗闇、もう嫌だぁー!」
「……そうか。お前もやっぱり、暗いのは嫌だったんだな……」
「ブルー。ここで、終わりにしよう」
「うん。シルバー」
六人は全員で「忍法 影縫いの術」を使い、完全にクリムジャの動きを封じた。そして「忍法 影の舞」で攻撃を加えて膝を折らせた。その後、セイバイセイバーとシンセイバイセイバーを作り、構えた。シルバーの後ろでは、ノワール、ブラック、ダーク、ダルクが支えた。
「お前達……!?」
「最後まで、手伝わせて?」
「あぁ……行くぞ!」
「セイバァアアアアアアアイ……!」
「シンセイバァアアアアアイ……!」
十人は一斉に「セイバーぁああああああああああああああああ!」と言って一気にセイバーを振り下ろした。悲痛な叫びを上げつつ、クリムジャは倒れた。封印をしようとシルバーが封印の石を取り出すと、ノワールはそれを止めた。
「待って?」
「何だ?」
「誰にだって罪を償う事は出来ると思うの。私達みたいに」
「でも、コイツは……」
「俺達はこれから新しい仕事を探して、人間達に奉仕、いや、罪滅ぼし、とも違うな……」
「共同生活を送りたい」
「そうだ。僕達は、人間達と一緒に暮らしたい。このオドゥン様も一緒に」
「駄目……?」
一同は考えた。そしてシルバーは言った。
「分かった。良いだろう」
「シルバー?」
「但し、条件がある」
「何?」
「もし、次にこの星を、宇宙を闇に包み込もうとしたら、今度は封印じゃなく、確実に殺す。それで良いならな」
「……分かったわ」
「ノワール?」
「それくらいの覚悟が無いといけないと思うの。だって、私達がしてきた事って、それくらいの事だから……」
「……分かった。それを受け入れよう」
それから一旦、封印の石でクリムジャを封印し、官邸に戻って封印を解除し、手当てをした。クリムジャが目を覚ました時、そこにはノワール、ブラック、ダーク、ダルクがいた。
「お前達……?ここは……?」
「カゲレンジャーのアジトですよ」
「何!?なら逃げなければ……!うぅっ!」
「ご無理をなさらず!まだ傷は治っておりません!」
「だがここに居たら、封印どころか殺されるかもしれない……!」
「その心配はいりませんよ?」
「どういう事だ?」
「契約を締結しました。我々は、これから人間達の為に働くと」
「何っ!?そんな侮辱、許される筈が……!」
ノワールはクリムジャに平手打ちをした。
「ノワール……?」
「もう、我々が支配する時代は終わったんですよ。あの、封印された時から……」
「だから、これからは、俺達と人間達で時代を作っていくんです」
「その為には、オドゥン様、貴方様のお力が必要です」
「……そうか……ところで、ここまで手当てしてくれたのは、お前達か?」
「いいえ、カゲレンジャーの皆です」
「人間達が我を助けたのか……なら仕方ない。この借りは返さねばな……」
「今はゆっくり休んで、体を治しましょう」
「……あぁ……」
それから一年後、世界は新たな時代を迎えた。ノワール一派は海鮮料理専門店、ブラック一派はフルーツ農園、ダーク一派は家畜農園、ダルク一派は食用昆虫研究の第一線で働く事になり、クリムジャはカウンセラーとして働き出した。
ノワールは「海鮮料理ならここ!」と謡われるようになり、ブラックは「ここのフルーツは世界で一番甘い!」と評判になり、ダークは「ブロイラー生産はもう古い!肉を喰うならここ!」と噂され、ダルクは「食虫研究は世界を変える!」と評価されていった。そしてクリムジャは「ここで話をするとスッキリする!」と概念の闇を食べる事で腹を満たしていった。
一方その頃、カゲレンジャーの一同は、解散した。
レッド、艦鎖カイトはノワールの下で働いた。羽銅ミトリと穂楠コンは結婚し、子供を授かった。職業はダークの手伝い。取田無一郎は警察や自衛隊、軍隊の総合格闘術の師範代として教授をしている。そして神山腕太郎と神山ホエルは……写導戦隊カゲレンジャーの語り部として一冊の本を出した。それが世界中で大ヒットとなり、世界各国で講演を開くようになっていった。
カゲレンジャーが皆、天国へ旅立った数百年後、遥か宇宙の彼方からクリムジャ達と似たような連中が現れた。
「はーはっはっは!これからは我らダークブラックシャドー団がこの星を闇に包む!」
そしてクリムジャ、ノワール、ブラック、ダーク、ダルクはカゲマルを手に取り、立ち向かっていった。
「皆、行くぞ!シャドウ変化!」
今ここに、新たなる伝説の一ページが刻まれる事となった。




