写導戦隊カゲレンジャー14
『写導戦隊カゲレンジャー』14
・第十四忍法「世界『写導戦隊カゲレンジャー』化計画」
地下ではダークとダルクが密談をしていた。
「ダルク。君はどう思う?」
「どうって、どういう事だ?」
「『世界写導戦隊カゲレンジャー化計画』について、だよ」
「あぁ、その事か……ここだけの話だぞ……?」
「何だい?」
「正直、勝てないと思う」
「……だよねー」
「そんな軽い気持ちでは言ってないぞ?」
「いやさー?僕は端っから疑ってたんだよ?何かブラック君とスタルビトル君が密談しててさ?」
「何?アイツら何て言ってたんだ?」
「裏切るだの何だのって」
「アイツら……で?アイツらは死んだのか?何かクラヤミノウデワ着けられてたけど」
「死んだのかなー?でも、もしかしたらまだ生きてるかも」
「何でそう言えるんだ?」
「ここだけの話だぞ……?」
「おう」
「この前のあの二人の戦闘時に、二人共、部分封印されてたんだよねー。その前にもニクボシ君が捕まる時も、どうも生け捕りにされてたみたいで。それからなんだよ。人間達が強化し出したの。もう勝てっこないないと思ってて」
「……だよなー」
「そんな軽い気持ちで言ってないよ?」
「お前の真似」
「あぁ。僕ってこんなにウザかったのか」
「何を今更」
二人は「フフフ」と笑った。
「で、これからの事なんだけど、君、どうする?」
「うーん……正直勝てる気配が無いんだから、オドゥン様の封印を条件に、俺達だけ生き残る道を選んだ方が良いんじゃないか?」
「おっ。良いじゃん。僕も同意見だったよ」
「じゃあとりあえず、日本のカゲレンジャーは一旦置いておいて……アメリカと中国の数の暴力を味方に付けよう」
「そうだね……じゃあ僕はアメリカ、君は中国の方を担当してくれるかな?」
「分かった。裏切ったら許さないからな?」
「マサカソンナ事スル訳無イジャナイカー」
「それ絶対裏切るやつだろ」
「ここまで言ったら逆に裏切らないという自信があって」
「あっそ」
二人は地上に上り、オドゥンの封印を条件に、自分達の衣食住を確保してもらえるように契約を締結しに行った。
一方、地上ではノワールの推測を基に政府が検討を重ねた結果、内閣総理大臣から世界中で起こっていた奇怪な事件が「闇光師団」によるものだという事が明るみに出た。日々怯えている一般人を守る為、世界「写導戦隊カゲレンジャー」化計画が締結され、各国の政府は自衛隊、軍隊、一般警察、特殊警察、公安警察、SAT、FBI、CIA、ICPO、消防隊、救急隊等を強化した。各国によって名前や装備等は異なるが、力の源は科学で解明されたカゲレンジャーのテクノロジーを利用して世界中で戦う事となった。しかし闇光師団がメインで攻撃する国は日本だった。何故なのかはノワールにも分からないと言う。アメリカではパワーレンジャーシャドーシノビ、中国では獣撃戦隊ゴートリガー、といったように各国でオリジナルのカゲレンジャーが計画されていった。
少し時間が経ち、地下では、オドゥン・クリムジャが指揮を執っていた。
「世界への侵攻はどうなっている?ダーク?ダルク?」
「は。このダークは自らが戦線に赴いて契約を締結して参りました」
「私、ダルクも同様に」
「どういう事だ?」
「オドゥン様を封印する代わりに、我々を保護してもらう、という事です」
「何?貴様ら、我を裏切るつもりか?」
「正直、今の食の頂点に君臨する生物を甘く見ていました」
「我々もここらで終わりにしましょう?」
「……ふざけるな……!」
「ふざけるな、というのはこちらの台詞です。貴方はここで終わりだ!」
「HEY!COME IN!」
地下に各国の戦隊が一斉に押し掛けてきた。
「そこまでだ!オドゥン・クリムジャ!」
「貴様をここで狩る!」
クリムジャは天井を見上げた。
「……甘く見られたものだ……!」
クリムジャは覇気を発し、風圧で外まで全員を吹き飛ばした。吹き飛ばされた面々は一斉に変身し、立ち向かった。しかしクリムジャは無数に分身し、ダークとダルク、及び日本以外の各国のカゲレンジャー一人一人に襲い掛かった。各国のカゲレンジャーは焦りの声を上げた。
「おい!ダーク!ダルク!話が違うぞ!?」
「分裂には制限がある!こんなに別れてちゃ、力はそう出せない筈だ!」
しかしその考えとは裏腹に、力は弱まるどころか、一向に勝てない状況になっていた。そしてカゲレンジャー達は追い込まれていった。ダークは戦いながらオドゥンに問い掛けた
「オドゥン様……!貴方は一体何を……!?何の為に戦うのです……!?」
「あの方のお考えなど私は知らぬ」
「あのお方……!?貴様、オドゥン様じゃないのか……!?」
「お前はもう死ぬのだ。関係あるまい」
ダークは首を折られた。ダルクは他のカゲレンジャー達を捨ててダークを回収して日本政府に逃げ込んだ。
「助けてくれ!」
しかし門番に止められた。
「何者だ!?」
「こういう者だ!」
変化を解いたダルクを見て、門番はカゲレンジャーとノワールに通報した。駆け付けたカゲレンジャー六人とノワールはダルクとダークを見て驚愕した。
「ダーク!」
「詳しい事は後で話す!まずは手当てをしてくれ!」
「分かった!」
カゲレンジャー一同は救急隊員に後を任せ、詳しい話をダルクから聞く事にした。そこに族長も参加した。
「どういう経緯でこうなった?」
ダルクは話した。「世界『写導戦隊カゲレンジャー』化計画」を知って勝ち目が無い事が分かると、オドゥンを倒す事を決め、世界中で契約を締結した事を。しかしオドゥンを甘く見ていた一同は数の暴力で倒そうとしたが、勝てなかった。「何で俺達の力を借りなかったんだ!?」と憤る無一郎を周りが抑えつつカイトが先を促すと、ダルクは「これは日本で起こる事だから、少しでも情報が外に漏れないように秘密裏に事を進めてたんだ……」と弱弱しく答えた。そしてダークが首を折られる瞬間、聞いた言葉。「あの方のお考えなど」と。あれはもしかしたら影武者の可能性があると言った。
「影武者……?」
「影の者だけにー?」
「ギャグじゃない。これは至って真面目な話だ」
「分かってるよー……」
「世界中のカゲレンジャーがそこで戦っていたんだろう?彼らはどうなった?」
「分からない……」
「分からない?どういう事だ?」
「見捨てた……!」
「何だって!?」
「だってこのままじゃ俺達も殺されると思ったから……!」
「だからって見捨てるだなんて!」
「分かってる!最低なのは分かってる!でも、俺達も生きたかったんだ!生き残る為には、何かを捨てなきゃならなかったんだ!」
「その気持ち、分かるぞ……!」
そこへブラックとスタルビトルが松葉杖を突きながら職員に連れられて現れた。
「ブラック!スタルビトル!貴方達、もう良いの!?」
「あぁ。ここの人達の親切でここまで復活出来た」
「きっとダーク様も無事に治るだろう」
「だと良いんだが……」
「世界『写導戦隊カゲレンジャー』化計画」が進められているにも関わらず、世界ではあまり被害が出ていなかった。それは何故か。
ブラックが語った。封印された地とは別の場所に、クリムジャの本体があるのかもしれない。かつて自分が封印されたその時、先に封印されたクリムジャは小さい封印の石だったのにも関わらず、自分達幹部やその直属の部下達は大きい石に封印されたからだ。クリムジャは影武者のガラゴを使って意思の疎通をし、自分が今何処にいるのかを探させるようにしていたのかもしれないと。
「世界にあまり出没していなかったのは、日本の何処かに目星を付けていたから日本に主に攻撃していたからではないか?」
と、カイトが言うと、族長は日本の奥地、影の里から少し離れた山の、ある伝説を思い出した。もう一つの小さい封印の石の事を。今、影の里は蛻の殻。今襲撃されたらすぐに封印が解けてしまう。カゲレンジャーの六人と族長、自衛隊は急いで影の里に向かった。まだ手は伸びていないようで、祠は無事だったように見えた。しかし祠の裏が壊され、クリムジャが封印された石は消えていた。破壊された祠を確認したカゲレンジャーの六人と自衛隊は、すぐに祠を出た。そこには木の上でクリムジャの姿をしたガラゴがクリムジャの魂が入った封印の石を持っていた。
「遅かったな。カゲレンジャー」
「貴様は!?」
「我はオドゥン・クリムジャ……いや、その影武者。ガラゴ」
「ガラゴ!?」
「ドリーザ。ここは君に任せる」
「あい。分かった」
ヤモリの怪人がカゲレンジャー達の目の前に現れた。
「ではまた会う日まで。さらば」
「おい!待て!ガラゴ!」
「お前達の相手は……このオイラだ……!」
「行くぜ皆ぁ!」
一同は「応っ!」と気合いを入れた。カゲマルとシンカゲマルを取り出し、一同は「シャドウ変化!」と叫ぶと、それぞれの光にそれぞれの動物の影絵を写した。
「カゲレッド!キャンサー!」
「カゲピンク!バード!」
「カゲイエロー!フォックス!」
「カゲブルー!ドッグ!」
「カゲグリーン!タートル!」
「カゲシルバー!ウルフ!」
「写し……導く……!ライトアップ!写導戦隊!カゲレンジャー!見参!」
「出たな……!カゲレンジャー……!」
「人々を惑わす悪鬼妖魔!我々が成敗致す!」
「腹が……減った……!」
「行くぞ!出陣!」
六人は一斉に飛び掛かった。少してこずったものの、忍法 影の舞とカゲマル一刀両断剣、セイバイセイバー、シンセイバイセイバーで何とかドリーザを倒す事が出来た。しかしドリーザは最後の力を振り絞って立ち上がった。
「このまままた封印されてたまるかぁー!せめて最後のご奉公ぉー!」
ドリーザは巨大化した。カゲレンジャーはカラクリメカとシンカラクリメカを出動させ、合体してカゲキングとカゲオージャーになった。スーパーセイバイセイバーで一発でドリーザを倒し、力の四分の三を封印し、ヤモリになった東京に連れて帰った。そしてカゲレンジャーは東京に戻った。
一方、ダークとダルクが戦線離脱したのを見て各国のカゲレンジャーはこれでは埒が明かぬと思い、一時撤退していた。地下に戻ったガラゴは居場所を特定された事で引っ越し作業をしていた。引っ越しの準備を終えたガラゴは封印の石を破壊すると、本当のオドゥン・クリムジャが復活した。
「オドゥン様!」
「ガラゴ。お前は良くやった。褒めてやろう」
「はっ!身に余る光栄で御座います!オドゥン様が封印間際に仰った『我が復活出来なかった時はお前が我の代わりに指揮を取れ』というお言葉を忠実に守りました!」
「よくやった。だが我はまだ完璧ではない」
「今すぐにでも闇をお持ち致します!」
「いや、貴様の心の闇だけで十分だ」
「は……?」
その瞬間、クリムジャはガラゴを右腕で一刺しした。貫通した腕からガラゴの闇を吸収し、腕を振ってガラゴを投げ捨てた。
「何……故……!?」
「お前はもう用済みだ。後は我一人で十分だ」
クリムジャはその場を後にした。
その後、もう一度アジトを捜査した外国の捜査隊が瀕死のガラゴを発見し、日本本部に送還した。治療を受けたガラゴは色んな意味で目が覚めたようで、闇光師団について知っている事を洗い浚いぶちまけた。
クリムジャの食欲は概念を食べるものに起因していて、負の概念、つまり闇を好むのに対し、他の部下メンバーも闇を食べていたが、人間の食べ物を知って闇よりも強い食欲を抱くようになったという事が分かった。救いようの無いクリムジャに対し、カゲレンジャーは誓った。
「我々は写導戦隊カゲレンジャー!人々を惑わす悪鬼妖魔、オドゥン・クリムジャ!必ず貴様を封印する!我々は写導戦隊カゲレンジャー!必ず!必ず貴様を封印する!」




