写導戦隊カゲレンジャー13
『写導戦隊カゲレンジャー』13
・第十三忍法「地球上生物の乗っ取り作戦」
その日、地下ではカゲレンジャーの居場所を突き止めたオドゥン・クリムジャが指揮を執っていた。
「カゲレンジャーの居所が分かったところで、これからは我が直々に指揮を執る。ダルク。貴様の部下をもらうぞ?」
「はっ……オドゥン様……ご自由に……」
「では呼べ。カッシーを」
「はっ……カッシー、入り給え」
鹿の化け物が後ろの部屋から現れた。
「オドゥン様、ダルク様。私はここに」
「カッシー。この場所に迎え。そして全てを破壊して来い」
「畏まりました」
「待て。行く前にこれを着けていけ」
オドゥンはカッシーの角にビームを放った。するとブラックとスタルビトルに着けたような物が出現した。
「これは何ですか?」
「クラヤミノウデワの一つだ。裏切りは許さんからな?」
「はっ。畏まりました」
そうしてカッシーは地上に上った。
一方、カゲレンジャーは官邸から離れた所に住処を移していた。
「何でまた引っ越しすんだよー!?」
「腕太郎。少し考えたら分かるだろう?アイツらにまた居場所がバレたんだ」
「だからってさー!大変じゃん!」
「でもやらない訳にはいかないだろう?」
「そりゃそうだけどもー!」
ギャースカ文句を垂れながらも腕太郎は引っ越し作業を進めた。荷造りをしていると、一頭の鹿が官邸横に現れたという通報を受けた。何故、東京に?と思いながらカゲレンジャーが向かうと、そこには奈良の鹿全てを集めて人間を襲わせているカッシーの姿があった。
「止めろ!闇光師団!」
「カゲレンジャー……!今日こそ我々、闇光師団の勝利の日にしてくれる!」
「人々を惑わす悪鬼妖魔!我々が成敗致す!行くぞ!皆!」
一同は「応っ」と言った。カゲマルとシンカゲマルを取り出し、一同は「シャドウ変化!」と言って、それぞれの光にそれぞれの動物の影絵を写した。
「カゲレッド!キャンサー!」
「カゲピンク!バード!」
「カゲイエロー!フォックス!」
「カゲブルー!ドッグ!」
「カゲグリーン!タートル!」
「カゲシルバー!ウルフ!」
「写し……導く……!ライトアップ!写導戦隊!カゲレンジャー!見参!」
「出たな!カゲレンジャー!今日がお前達の最期の日だ!」
「お前を保護する!」
「何故そんな事をされなきゃいかんのだ!?」
「それがノワール、ブラック、スタルビトルの願いだからだ!」
「あの裏切者共め~!」
そこから戦闘が始まった。シルバーはディアーソードで立ち向かった。
「そんなものか!?貴様の鹿の角は!?」
「甘く見るな!」
カゲシルバーがディアーソードで切り刻み、意外にも勝負は早くに片が付いた。倒れたカッシーを封印の石で力の四分の三を吸収すると、カッシーは小鹿になった。そこへノワールを連れた政府の人間がやって来た。
「カッシー……」
「ノワール。どうした?」
「いや……小鹿なのはおかしいと思って……」
「どういう事だ?」
「カッシーは幹部の私達よりもずっと年上だった……だから子供の姿なのに違和感があるというか……」
「まだ未熟だったとかは?」
「それはあるかもだけど……でも子供の姿は変よ?」
「ふむ……」
辺りを見渡すと、それまで人々を襲っていた鹿達も意識を失っているようで、その場に倒れていた。政府の人間達は解剖も兼ねて一頭残らず回収していった。ミトリはその様子を見て口を挟んだ。
「あの、その鹿達を切り刻むんですか?」
「そうですが?何か問題が?」
「だって、只の鹿でしょう?可哀想じゃないですか」
「もしかしたら奴らの手先かもしれない。それに只の鹿だとしても、この子達にどんな悪影響があるとも言えない。それを調べる為にも、この子達はキチンと解剖します」
「…………」
「ミトリー?仕方がない事じゃないかー?」
「……そうね。アタシが悪かったわ」
「ミトリー……」
「ミトリちゃん。君の気持はとてもよく分かる。だが、これが世界規模で考えた時の事を考えてごらん?対策を打っておいて研究を重ねておかないと、世界中の鹿が死んでしまうのかもしれないんだよ?」
「ホエルさん……分かってるんです……分かってるんですけど……!」
「非情にならなければ、忍者はやっていけないよ」
「じゃあアタシは、忍者失格ですね……」
「だけど、一人の人間としては立派だ」
「ホエルさん……」
「さっ、今日はもう寝よう?奴らがいつ襲ってくるかも分からないんだし」
「そうですね……おやすみなさい……」
ミトリは自室に入り、風呂に入って寝た。男一同も風呂に入って寝た。
一方その頃、解剖室では、鹿達が麻酔を掛けられているのにも関わらず一斉に目を覚まし、暴れ回っていた。どうやらカッシーは先程の小鹿ではなく本体は別の所にいたらしい。カッシーは強制催眠を鹿達に掛けて暴れ回らせた。夜中に起こされ、頭の回転が追い付かないままカゲレンジャーの六人は地下シェルターに向かった。カゲレンジャーは変身したものの、そこには操られているだけの鹿達がウヨウヨいるだけだった。只の鹿に対し、攻撃は出来ない。どうすれば良いのか分からずにいると、ブルーが言った。
「なぁ、親父?」
「何だ!?」
「今思ったんだけどさ?」
「だから何だ!?」
「これ、封印の石で鹿達の邪念を封じ込めれば良いんじゃね?」
一同はブルーを見た。
「……えっ?何?」
グリーン、シルバー、レッド、イエローは「お前、そういう事は早く言えよ!?」と言った。
「えぇ!?怒られるの!?」
「ナイスアイディアよ!」
「ピンクだけは褒めてくれる!」
「早速やるぞ!皆!石を持て!」
一同は「応っ」と答え、封印の石で次々とカッシーの邪念を封印していった。しかし千五百余りの大群に追い付けずにいた。そしてシルバーの変身が解けてしまった。
「くそっ……!」
そこへ政府の人間達が現れた。
「カゲレンジャーの皆さん!」
「アンタ等……!?何しに来た!?」
「グリーンさん!先程の会話は聞いていました!先程、封印の石の解析結果が出ました!」
「それで!?」
「封印の石ですが、不完全ながら複数個製造出来ました!」
「でかした!何個だ!?」
「百個です!」
「複数個か!?それ!?」
「何でも良いでしょ!?グリーン!これで鹿達は抑え込められるわ!」
「そ、そうだな!アンタ達も使えるのか!?」
「勿論です!」
「じゃあ片っ端からやっていってくれ!」
「私達だけでは数が足りないので、自衛隊の方々と影の里の皆さんに手伝ってもらいます!」
「何でも良い!早くしてくれ!」
「はい!皆さん!お願いします!」
自衛隊と影の里の一同は手分けして鹿達の中のカッシーの邪念を封印していった。するとカッシーが突然鹿達の中から出て来て、逃げていった。それを追い掛けるカゲレンジャーの五人とホエル。外に出ると、カッシーが待っていた。
「このまま全て封印されてたまるかー!」
カッシーは巨大化した。ホエルは施設の中に入り、シンカラクリメカを出動させ、カゲレンジャーの五人はカラクリメカを出動させた。カラクリメカとシンカラクリメカは合体し、カゲキングとカゲオージャーになった。そして戦った。自分の力を鹿達に分け与えて操っていたカッシーはいとも容易く倒されてしまった。クラヤミノウデワを破壊され、元の大きさに戻ったカッシーの所にノワールが連れて来られた。
「……やられた!」
「どうした?ノワール」
「オドゥン様はカッシーを戦いに行かせるのが目的じゃなかったんだわ!」
「どういう事だ?」
「この星の生物の乗っ取りよ!」
「乗っ取り?」
「そう!貴方達カゲレンジャーを倒す為の偵察と思わせて、この星の生物の乗っ取りで徐々に地上を蝕んで行ってるのよ!」
「何でそんな事が分かるの?」
「これよ!クラヤミノウデワ……!」
「クラヤミノウデワって、あの爆散する奴じゃないのか?」
「それもあるけど、クラヤミノウデワは何種類かあるのよ。今回のは地球上の生物の乗っ取り計画の為の生態調査がこれよ……操るだけじゃなくて、実際に生物を乗っ取って自分達の部下を増やそうとしたのよ!」
「乗っ取りってー……!じゃ、じゃあまさか、もう世界中に闇光師団の魔の手が伸びてるって事かー!?」
「おそらくね……私の時にはそんな事をせずともすぐに陥落すると思ってたからやらなかったけど、多分、もう、この星は……!」
「でも何で人間を乗っ取らないんだ?」
「おそらくだけど、あくまで人間は闇を生み出す元としか見てないんだと思う。そしてあのオドゥン様は本物じゃないのかもしれない……」
「本物じゃない?どういう事よ?」
「私達が封印から解かれた時から見ていたオドゥン様は、どこか口調が荒っぽかった。普段はあまり口を出さない方だったから、どこか違和感があったのよ……」
「それと乗っ取りと何の関係が?」
「きっと、ずっと前からやってたのかもしれない……オドゥン様の本体は鼠だから、鼠達を乗っ取って探索させていて、ついでに今回の件で本格的に攻め込んでくるつもりなのかもしれない……多分、他の生物も乗っ取りが完了してるのかもしれない……本体は、本物のオドゥン様は別の所に封印されているのかもしれない……それで偽物のオドゥン様は本物のオドゥン様を探しているのかもしれない」
「『かもしれない』ばかりだな」
「憶測でしかないからね……だけど、ここで手を打っておかないと、本物のオドゥン様が復活してしまう……!」
別の封印の石の存在に気付いたカゲレンジャーは影の里の民に捜索を任せ、今後の事を話し合った。
続けて日本政府は世界中に緊急通告を出した。そして決まった。『世界写導戦隊カゲレンジャー化計画』が。これからは世界中でカゲレンジャーと闇光師団との戦いが始まるのだった。




