84, 店員さんが増えまして?!
「やほ」
「あ、イヴちゃん!!」
ハーディは机を拭く作業を一旦止めて入り口に近付いた。
「どうしたの?この時間にお店に来てくれるって珍しいね。お仕事は?お休み?」
(どうしたんだろうな。)
基本的に、イヴはお仕事が暇な日は東地区で食堂のお手伝いをしている。
『お金が欲しいからね。いいかいハーディ。たとえ由緒ある学者の家でも、金は湧いてこないんだよ。』
前にお店に行ったとき、彼女はそう言っていた。
「あー⋯。そのことで実は相談があって来たの。」
「相談?」
ハーディはイヴをカウンターに座らせて、自分もその隣に座る。
「実はさ、あの食堂、辞めたんだよね。」
「⋯⋯⋯え?!」
イヴはケロッとした表情でそう言い放った。
「いや、辞めさせられたのかなぁ。分かんないけど、調理係の人にすっごく嫌われてたからさ、昨日その人と揉めて、殴られる直前まで行って、あ、助けてもらえたから無傷なんだけどね。なんかごめん。」
「何で謝るの?イヴちゃん何も悪くないじゃん!!」
「いや、ハーディにあのクソ野郎の話するのがなんか嫌で。」
「本当に怪我とかないの?」
「うん。それは大丈夫。それで、その助けてくれた人?が、『俺が安心してイヴを任すことのできるところ以外で働かせられない』って言い始めて⋯⋯。」
「?助けてくれた人って、初対面の人じゃなくてお父さんなんですか?」
「?違うけど。」
「「??」」
ハーディは目を瞬かせた。
「でも⋯⋯、初対面って言われたら初対面かな。」
「え?『俺が安心して』ってところは?知り合いじゃないと出てこないと思うんだけど。」
「いや、凄く複雑なの。今度ちゃんと彼を紹介するから。」
「わかった⋯⋯⋯?」
ハーディは取り敢えず頷いておく。
「でね。前から思っていたんだけど、ハーディ、今一人で店をやってるじゃん。」
「うん。」
「団長さん(シャルル)がサボったときいつも店閉めてるじゃん。」
「うん。」
「その間、私が居ればお店開っぱにできるなって。」
「!!」
「で、私が働くんだったら、たまにその人が手伝いに来てくれるらしいから、男手も手に入る。」
「!!!」
「なんか、頼みに来ているのに上から目線だなとか思ったらごめん。でも、私、結構役に立てるから、お願い。」
ハーディはガシッとイヴの手を掴んだ。
「イヴちゃんが一緒に働いてくれるのに嫌だなんて思わないよ!!」
「ハーディ!!」
ハーディとイヴは喜びを分かち合うように抱き合う。
「ねぇ、ジュース欲し⋯⋯⋯、何この状況。」
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