82, いつもの日常(?)
「ハーディさん!!団長がまた逃げました!!」
「あ、はい、わかりました。」
ハーディが皿を拭こうとしたときのこと。突然扉が開き、入ってきたのは魔法騎士団の団員さん。
(なぜでしょう⋯⋯、凄く久しぶりな気がする。)
丁度客はいなかったから、ハーディはそのまま店を閉めてシャルルを探し始めることにした。
(今日の天気は曇り。少し風があるし、肌寒いからあまり高いところには行きそうにないですよね。)
空を見上げれば、灰色の雲が視界いっぱいに広がった。上空は風が出ているのだろう。いつもより早く空を泳ぐ雲を見て、ハーディは前を向き直した。
(大通りとか、わちゃわちゃしてるところは、サボりのときはあまり好んで行かないみたいですし、建物と言ってもお昼時。飲食店は人が増えるでしょうし⋯)
「なら、時間的に人が少なくなるところですよね〜。うーん。回数を重ねるにつれて隠れる場所が難しくなっているんですよね〜。」
そうは言っても、シャルルはハーディが絶対に見つけられるギリギリを攻めてくれているのだが。
「地味に優しい?」
独り言を呟きながらも迷い無き足取りで向かっているのは植物園。
「ここなら、昼は人が少なくなりますし、温室があるから暖かい。そして何より、今日は曇りだから客足は更に減っていることでしょう!!」
植物園と言っても、出入り自体に制限やお金は特に掛からない。ハーディは白い開け放たれたエントランスから中に入り散策を始めた。緑の葉に、色とりどりの花々。外の整備された綺麗な街並みから一変、自然だからこそ持っている独特の美しさがハーディをこっちだと手招くようだった。
「どこか隠れられそうな場所は⋯⋯⋯。」
「そろそろ場所移動するか⋯⋯。」
そして植物を見ながら曲がり角を曲がった途端、目の前に人が現れた。ハーディは避けきれずに勢いよくその人にぶつかる。
「す、すみません。余所見しちゃってて⋯⋯」
「あ、いや、こちらこそ⋯⋯⋯、ハーディ。」
「あ、シャルルさん!!」
ハーディは顔を上げて、後退ろうと一歩下がるシャルルを認識すると、シャルルの腕を掴んだ。
「確保ー!!」
「⋯⋯⋯。」
ここまで読んでいただきありがとうございます。




