79, 美脚リンゴはとても美味!!
「待って、これキツ⋯⋯⋯。」
「うわー!!襲いかかってきたぞ!!」
「どうやって倒すのこいつ。」
「ふ、副団長ー!!助けてくださいっす!!」
「ねぇ、教えてよ。」
「バカ、自分でやりやがれ!!」
ある者は仲間と背中合わせにそれと睨み合い、
ある者は水分補給に戦線を離脱する。
迫りくるそれらにハーディたちは網を片手に立ち向かった。
「美脚リンゴゲットですー!!」
「おぉ!!でかしたでハーディちゃん!!」
「この調子でよろしく頼むわぁ。美脚リンゴがうちの畑に出たの初めてで困っちょったんよ〜。」
彼女の背後の果樹と果樹の間から2人の男性が姿を現す。彼らの手には、今も尚ハーディたちの周りを駆け回るそれの仲間が入った麻袋が握られている。
「ってかさ、美脚リンゴって何?」
隣で先ほどから意味のない独り言を連発していたシャルルが立ち上がり、こちらへと近付いてきた。
「この食用マンドラゴラのことですね!」
「マンドラゴラでもないけど⋯。一般人にはそう見えるの?」
シャルルは適当に足元をうろつくそれを拾った。彼の手の中の植物はジタバタともがいている。手より一回りほど大きくて、見た目はオレンジだったり緑だったり個体によって様々。頭のあたりからヘタのようなものが生えている、気持ち悪いのかかわいいのかわからない魔植物。
「だって、食べたらリンゴに近い味をしていて、見た目が人間の脚に似ているので⋯⋯。」
「良くこれを食べられるね。意識や思考があるわけではないけど、とにかく走り回っているんだよ?怖くない?」
「だって、今回ザナさんとローツさんがわざわざ戦力外な私も同伴させてくださったのも、ジュースづくりに役立ちそうだと思ってのことなんですよね!!」
ハーディは先ほどからやたらと頭を撫で回してくるザナとローツを見上げた。
「え?あ、⋯⋯そうやなー?確かにそのために呼んだんよー?(全く違うとか言えない。)」
「わかってくれたなら嬉しいわー。(ただ久しぶりに愛でたかったとか言えない。)」
純粋に見つめてくるハーディに罪悪感を抱きながら、ザナとローツはサッと顔を逸らした。
「ハーディ、ところで誰?この人。」
シャルルはハーディの頭を撫でる手をはらいのけながらハーディを引き寄せる。
「?優しい取引先のひとです。」
「ザナちゃんはただのお兄さんやでー。」
「ウチはただの優しい取引先やでー!!」
3人はハーディの上でお互いを探るように見つめ合った。
「「⋯⋯⋯。」」
見つめ合った⋯⋯⋯。
「お前等は早く腕を動かせ。」
そして、最初から最後まで無言で働き続けていたグリエノールに一喝された。
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