77, 正しいところに戻るだけ
誰かの記憶が流れ込んで来る。シャルルの記憶が、流れ込んで来る。本当の俺が体験した記憶を、幼少の俺が追体験するような感覚。場所も、時系列もバラバラなそれらが、なぜかしっくりくる。
(あぁ、本来の人格が戻ってきているのか。)
強い眠気に襲われて、シャルルは意識を手放した。
○△○
「シャルルさ〜ん!!そろそろ朝ごはんを食べましょう!!」
シャルルが幼い見た目になってから早くも5日。家に自分以外の気配がすることに対する心地よさを覚えながら、でも、早くシャルルの体調が治ることを願いながら、ハーディは日々を過ごしていた。
「今日はお店を開けるつもりなので、少し一人の時間が長いかもしれません。」
いつものように、ハーディは扉を開けた。
「⋯⋯⋯、は?」
「⋯⋯⋯⋯ひょぇ!?」
今起きたのか、ベッドの上でこちらを見上げる黒い瞳が目に入った。もはや流れ作業のように髪を見れば、混じり気のない黒髪が。ベッドについている手は、意外と節くれだっていて、優しく頭を撫でてくれると知っている。彼は目を見開くと口元を引きつらせた。
「え、ここ、何処?え?まさかハーディの家?」
「え、え、え?シャルルさんですよね?青年の。」
「は?青年って何?」
「戻りましたー!!おかえりなさい!!」
「はぁ、ただいま?」
「え、何で急に戻ったんですか?」
「戻ったって何?」
「よし、ゾエさんのところにいきますよ!!」
ハーディはいつも(ここ数日)のようにシャルルの手を掴んだ。
「な、何、して⋯⋯。」
「?」
耳まで真っ赤にしたシャルルを見て、ハーディは気づいた。
「すみません!!ちっちゃなシャルルさんじゃなかったです!!つい癖で」
「癖って何!?」
ここまで読んでいただきありがとうございます。
風邪とかって急になったと思えば、逆に急に治りますよね。本当に何でだろう。




