66, 私ですか?!
「ハーディさん。団長来てないっすか?」
「え?」
アルトが店を出てからしばらくあと、ヨハンが店に入って来た。周りを軽く確認して、カウンターまでまっすぐ近付いてくると、ハーディにそう問いかけてきた。
「いいえ、来ていませんよ。」
「えー!?絶対にここだって思ったのに⋯。」
「シャルルさんがどうしたんですか?またサボり?」
ハーディは洗い物を止めてヨハンに近付いた。机に突っ伏したヨハンの纏う空気が、何となくいつもより物々しい気がしたから。
「団長、朝から仕事来てないんっすよね。まぁ、団長って、サボるくせに休日取らずに働いてるから、1日や2日来なくても支障は無いんですけど⋯。」
「休日取らないって?」
「休んでもすること無いらしいです。ひどい時なんて休んでくれってあの副団長から言われてるんですよ。」
「えっと⋯?」
(シャルルさんが休まないって、少し意外ですね。いつも積極的にサボっているから休みが好きなのだと思ってました⋯。)
「お宅に行ってみたら良いのでは?休みならお家に居られる可能性は高いですし、居なかったら⋯私の出番(?)ですし?」
「⋯」
「?」
ヨハンは驚いた様にハーディを見上げ⋯急に立ち上がる。彼の後頭部がハーディの額にぶつかった。
「「いっ!?」」
2人はそれぞれ頭を押さえてしばらくのたうち回ったが、先に痛みの波が去ったヨハンが涙目で謝りながら改めて(ゆっくり)立ち上がる。
「本当にすみませんっす⋯。団長の家に行くとか考えもしなかったから、名案過ぎて⋯。」
「こちらこそすみません⋯。」
ハーディのジンジンとした痛みの波が去った頃、ヨハンはこう言った。
「ハーディさん、行きましょう!!」
「⋯え?私ですか?!」
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