37, 世間話
「あの、本日私達を招集された理由をお聞かせいただけると嬉しいのですが。」
「そうだな、すまぬ。まさか、ククッ、ジュース屋さんとは、いや、実に愉快。」
男は、すまぬと言いながら涙を浮かべて笑っている。嘲笑などではないことは一目瞭然なのだが、そこまで面白いものだったか。
「⋯で、今日貴殿らを招集した理由であったな。」
「はい。」
「ここ最近、王都付近で歳若い女の誘拐が多発しているのは知っておるか?」
「はい?」
シャルルは予想外の質問に目を瞬かせた。
事件を知らないということはない。憲兵含め、様々な機関が追っているも、あまり手がかりの無い事件。
何故なら、
「誘拐された者達がみな無傷で帰って来た。そなたはこれを聞いてどう思った?」
「⋯何がしたいのだろうか、と。」
そう。被害者は無傷で帰ってきているし、そもそも誘拐されたという自覚が無かった。
『すごく丁寧に迎えられて、お菓子やお茶までいただいて、雑談をしただけです。』
『貴族のよく聞くお茶会の体験みたいで、贅沢だったわ。』
『確かに、すごく白い空間に居たけれど、女の人も沢山居たし。危ないって感じはなかったわね。』
「掴みどころが無いであろう?」
「はい。すみません。」
「⋯すまなかったな。遠征で何か情報を掴んでおればと思ったのだが、その様子では、特に無さそうだ。。」
「えぇ。力不足で申し訳ありません。」
「よいよい。頼んでおった用件というわけでもないしな。今言ったことは忘れろ。捜査していた機関に情報を漏らすなと怒られてしまう。」
「⋯わかりました。」
「もう下がって良いぞ。」
「「は。」」
シャルルとグリエノールは軽く会釈をして部屋を出た。




