38, その頃の居座り亭
「お久しぶりっす、ハーディさん!!」
「あ、ヨハンさん。お久しぶりです。」
「元気そうで安心したっすよ。」
ハーディがお店で接客を終えてひと息ついていたとき、ヨハンがやって来た。
「あの日は凱旋に呼んでくださってありがとうございます。」
「いえいえ〜逆に、ハーディさんのおかげで今回の遠征、団長の機嫌がずっと良かったんですから。」
「そうなんですか?」
「魔法騎士団のみんなで毎夜毎夜、新作ジュース予想大会をしたんですから!」
「え?」
「冗談ですよ!?流石に真面目にやってました。予想大会は討伐対象の巣穴付近に着くまでで⋯。」
(予想大会自体はやっていたんだ⋯。)
ハーディがジーッとヨハンを見つめていると、彼は目を泳がせた末に今日来た理由を思い出したように口を開いた。
「あ、今日特別メニューあるって団長から聞いて来たんですけど」
「あ、凱旋お祝いメニューですね。」
「それお願いします。」
「わかりました。」
ハーディは食糧庫から3つ程祝福の実を取ってきて、ジュースを作り始める。
「いやー、本っ当に、団長専属連行係様々ですよ~。久しぶりに団長と帰りの凱旋参加したし。」
「そうなんですか?」
「今日はもうサボりの場所も分かってたし、流石、団長専属連行係!!」
「う~ん、私は今日ほとんど何もしていないんですけどね。」
「それで団長がどうにかなっちゃうんだから、もう才能っすよね。」
「違う気がしますが⋯、明日からも団長専属連行係のお仕事頑張りますね。」
ハーディは棚の中から小さなコップを取ってきてその中に祝福の実のジュースを注いだ。
「?ハーディさんの横にもあるのに何でわざわざ棚の中からコップを取ってきたんです?」
「ぇ?あぁ、いつも見ていてなんとなく、ヨハンさんはこのコップの方が好きなのかな〜って思いまして。もしかして違いました?」
「いや、それはそうなんっすけど⋯。えー。うわ。そういう所ちゃんと見てくれてるんだ、驚き。」
「大切なお客様なので当たり前です。まぁ、私の記憶力的に来てくれる回数が多めの方限定なんですけど。」
「そりゃあ、初めてきた人のまで覚えていたらきりが無いっすよ。」
「とにかく、私なりのありがとうだと思ってください。あ、他の人には秘密ですよ。気持ち悪いとか思われたら立ち直れないですし。」
「いや、気持ち悪いは無いっすよ。絶対。」
ヨハンは苦笑しながら祝福の実のジュースを飲んだ。
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