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32, いざ!

「わわっ。祝福の実がこんなに沢山。」


ハーディは食糧庫に入り、思わず感嘆の声を零した。

狭いその部屋の壁に背を預けるように立てられた棚の中には、たまごやパンなどの食糧の他に大小様々の祝福の実が並べられていたからだ。


「えっと、朝ごはんは、このパンと、あ、痺れの実がある。見た感じそろそろ食べ頃だし⋯」


痺れの実は赤い見た目をしていて、半分に割ると中からトロトロした物が流れ出てくる。美味しいのだが、そのまま食べるととても辛い。舌が痺れる辛さということで痺れの実と呼ばれている。


「このレタスを使ってサンドイッチを作ってみようかな。」


痺れの実はピリリと辛いソースにしよう。ハーディはサンドイッチに使う材料と、数個の祝福の実を持って食糧庫を出た。


○△○                   ○△○


「ザナ、あの子に卸す?祝福の実」

「昨日の一晩で悪い人やないってのは、嫌でも伝わったやろ?」

「そりゃあね。」

「ダメならその時卸すのやめればいいし。」

「でも少し悩む。」


今年の祝福の実の豊作はローツとザナの頭を悩ませていた。


「突然知らん怪しい集団が来て、『私達のところにその実を卸しなさい。それが神のご意向です。』みたいなことがもう何回起こったかいな。」

「さぁね。」


あれは確か、祝福の実が豊作かもしれないと村でわいわいと話した直後くらいだったか。真っ白な服を着た5人くらいの男が家に来て、神がどうとか、我々の使命がこうとか言ってきたのだ。流石に断ったものの、あれは気味が悪かった。それ以降も怪しい業者などが祝福の実目当てに押しかけてくるし、事前に連絡をくれたのは、ハーディが初めてのことだった。


「賭けに勝ったら知らん人が寄ってくるってのは知っちょるけど、まさか祝福の実に人が寄ってくるなんてなぁ。」

「あまり流通していないし、豊作なら少しでも安く売ってもらえるとか思ったんやないの?」

「手紙には、騎士団の凱旋がある日に1日限定商品としてお店に祝福の実のジュースを出したいって書いちょったけど、祝福の実のジュースって聞いたこと無いよね?」

「ハーディちゃんを疑いたいわけじゃないけど、ハーディちゃんより前の人が酷すぎたからなぁ。」


2人は、家の前に着いたためか、自然と話すのをやめた。ザナが家の扉を開ける。


「ただいま帰ったでー。」

「お留守番ご苦労さまー。」

「あ!ローツさん、ザナさん、おかえりなさい。丁度ご飯ができましたよ!」

「ありがとうねぇ。」

「手を洗ってきたらみんなで食べよっか。」


そして数分後、なんとなく飲んだジュースが祝福の実が使われたものだと知り、2人は秒でこの子に卸すと決心したらしい。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

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