22, 任命!!団長専属連行係!!
「⋯?だれ?」
「あー、団長、俺です。」
ハーディと団員がシャルルに近付こうと一歩踏み出すと、突然シャルルがこちらを向いた。その質問からバレていることを察した団員は、諦めて物陰から出る。
「珍しいな、団員に見つかるなんて。」
「いや、見つけたのは⋯。」
「眠気覚ましに冷水はいかがですか?」
「え?ハーディさん?」
「安心してください。冷水は持っていませんよ。」
ハーディも一歩彼に近付く。
「何でここがわかったの?」
「えっと、それは」
「だぁー、ぁあ!!うわー!!」
「え?何」
「ゴホン、ゲフン。そんなことより、早くしないとまた副団長キレますよ?」
「⋯⋯?まぁ、いいけど。」
団員は流石に良い大人が猫ちゃん扱いは可哀想だったからなんて言えず、慌てて咳払いした。その行動に違和感を抱きつつも、脳内に怒り狂う副団長が浮かんだシャルルはゆっくり立ち上がる。
「なんか、最近ハーディさんにサボりの現場を押さえられる割合が高くない?」
「なんなら、特別手当を出すから、非常勤で団長専属連行係になってくれないか?」
後ろからそんな声が聞こえたと思ったら、目の前で緑色の光の縄がシャルルを突然捕縛した。
「⋯え?」
「副団長⋯。」
「流石に今日は逃げすぎた?」
「ったりめぇだろ。」
「コラコラ、一般人に見られてるよ?」
「ハーディさんはもう関係者だろ?」
いつも彼の眉間にはしわが寄っているが、今日はいつもよりも数段濃いしわが寄っている。
「そもそも、誰のせいで関係者になったか考えろって話だが」
「俺のせい?」
「わかってるなら少しでも反省したふうなことを言え!!せめてフリでもしろ!!」
「⋯、ごめん。」
シャルルは下を向いた。憂いげな空気をまとうその雰囲気に、危うく飲まれそうになる。
「⋯今日は」
「反省したふりを一時的にしても、また次のサボりがあるから意味ないと思うんだ。」
「許してあげましょうよと言わなくて良かった!!」
「言い切ってたら一発叩くところだったぞ?命拾いしたなぁ。」
「すんません!!」
「本気で謝るな?密告されたら俺の首が飛ぶから。」
「冗談というのはわかっているであります!!」
「急に懐かしい言葉遣いするな。」
団員が涙目で叫んでいるのを横目に見ながら、諦めたように副団長が団長を肩にヒョイッと担ぐ。
(やっぱり魔法騎士団の人達って、みんな仲が良いんだなぁ。)
副団長が数歩歩いて扉の前に立ったところで、そういえばとこちらを向いた。
「ハーディさん。」
「ひゃい!!」
ハーディは突然呼ばれるとは思っていなかったので、驚いて盛大に噛んでしまう。
「一般人に頼むのもアレだが、結構本気で団長専属連行係になるか、考えてもらってもいい、ですか?」
ハーディは考えた。確かに自分は、今日まででシャルルさん探しに貢献できているが、明日は見つかるかわからないよね、と。
(でも、シャルルさんを私は何故か放っておけない。)
今日だって、本当は店の中から眺めておくだけでも良かったし、わざわざこの時計塔を案内する必要も無かった。その手間を自分で選択していたのだから、別にそれを仕事として認識しても大丈夫だろう。
「見つけられないこともあるでしょうし流石にお金はいただけませんよ。」
担がれてるシャルルとそれを担ぐ副団長+後ろから団員さんの視線が私に集まっているのをひしひしと感じた。
「⋯よし、そうなれば一旦詰所に戻りましょうか。」
「はい。」
そしてその日、魔法騎士団の団員名簿の中に、
【団長専属連行係: ハーディ】
という、一代限りの役職が爆誕した。
○△○オマケ ハーディの就任?を聞いて ○△○
Y氏
「え?マジすか?やった!じゃあちょいちょい会えますね。」
H氏
「え?ハーディさんが?でも、確かにあの人が一番早いもんね、見つけるの。あれ、俺らの方が団長と付き合い長いよね?」
S氏
「何か、たかがサボりのために人員が着くとか思って無かったんだけど。⋯、え、よくハーディさんも引き受けたよね。こんなしょうもない仕事。」
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