第03話 無知な僕と親切なお兄さん
「すいません、お聞きしたいことがあるんですが、
お時間大丈夫ですか?」
前世式聞き込み。「ちょっとそこのお兄さん、聞きたいことあるんだけど、いい?」なんていうやつもいそうだが僕には無理だ。時間とってもらう方がタメ口で話しかけるなんておかしいだろう。
「うーん、今買い物中なんだけど、ここと薬屋を回って終わりなんだ。よかったら、薬屋で薬草を買ってきてくれないかな?その後は暇だし、いくらでも話を聞くよ」
優しそうなお兄さんはこう言った。ちょうどこの街の道もわかるし、悪い事はない。
「わかりました。その後に色々と聞かせて頂きます
ね」
「ありがとう。ちょっと手出してね」
そう言って、僕に丸い硬貨?を3枚渡してきた。
初対面の人にお金を渡すなんて、やはり治安が良いのだろう。
貨幣価値はわからないが、これ1枚で日本円で言う1万円なんて事はないだろうから、最悪無くなっても大丈夫な額というのもあるだろうけど。
「じゃあ、行ってきます」
「うん、頼んだよー」
そう言って、薬屋を探しながら道を歩いた。
2分くらいして、薬屋っぽい看板を見つけた。
扉を開けて中に入った途端に、アロマのような香りが鼻に入ってきた。
木造の建物で、薬草が置いてあるから、自然を感じさせる落ち着く雰囲気だ。
「すいません、薬草ってありますか?」
店主らしき、物静かそうな人は言った。
「あるよ。1束15ゴールド。」
ゴールド、この世界のお金の単位はゴールドというようだ。
では、この3枚の硬貨で何ゴールドになるのだろう?
そういえば買ってくる数は聞いてないし、買えるだけ買ってこいという事だろう...そうだよね!?
1枚15ゴールドなんて中途半端な金額はないだろう。1枚100ゴールドなら3枚で20束。それだと数が多すぎる。
多分、1枚10ゴールドかな?
「じゃあ、これで買えるだけください」
「わかったよ、ちょっと待っててね」
すごくどうでもいいが、店主さん、日本で言う30代ぐらいかな?ダンディーな感じで、結構イケメンだ。
「はい、どうぞ」
そう言って、薬草を2束くれた。お釣りはない。
やはり1枚10ゴールドのようだ。
お使いのおかげで、貨幣について知ることができた。やったね!
「ありがとうございましたー」
店を出てすぐにお兄さんのところへ向かった。
お兄さんも買い物を済ませたようで、
「お使い、ありがとね」
と言った後、
「外で話すのもなんだし、うちに来なよ」
と、僕を家に案内してくれた。
洋風で、キッチンや机、椅子など生活感のある家だ。
どうやらレンジやテレビなんかはないようだ。
電気機械はこの世界にないのだろう。
お兄さんが、カップの紅茶を二つ持ってきてくれた。
「さて、聞き込みの前に自己紹介をしようか。
僕はフレンって言うんだ、街でパン屋を営んで
る」
フレンって言うのか。パン屋って聞いたらなんだかお腹が空いてきた。我慢我慢。
名前は...ジンだけでいっか。
そういえば、18歳なのに世界について無知なのはおかしいだろう。
転生者って言ってわかるか知らないけど、明かしてみるしかないかな。
「僕はジンと申します。実は別の世界から転生してきたので、この世界に来たばかりなんです」
フレンさんは、一瞬驚いたような表情を見せたが、すぐに
「別の世界から...ね。その存在は誰もが知ってるけど、転生してくることがあるなんて初めて知った
よ。赤ん坊として生まれてくるわけでもないんだね」
と言った。
転生をあっさり理解してくれた!というか別の世界の存在は常識となっているみたいだ。
「だから、この世界の事を全く知らないんです。
そこで、誰かに聞いてみようと思ったんです。
生活に必要なゴールドのことやその稼ぎ方。
世界のルールや文化について」
さあ、やっと聞き込み開始だ!




