30『砲兵隊、到着する』
戦いは、サムソンの予言どおり3日3晩続いた。
そうして、4日目の明け方――。
――ゴォアァアァアアアアアアアアアアアアアアッ!
通常サイズのゴブリンたちを倒しきった伊能たちは、しかし異次元の大きさを誇るゴブリン――通称『ゴブリン・キング』の猛攻に、押されていた。
「通常種はすべて倒した! 残りは奴だけじゃ!」
弓兵たちがゴブリン・キングへ一斉に直射する。
が、キングの皮膚は鋼鉄のように丈夫で、鏃が弾き返されてしまう。
――そんなっ!
――あんな化け物、どうやって倒せば……!
弓兵たちが動揺する。
そんな弓兵たち目掛けて、ゴブリン・キングが突進してきた!
チームAが吹き飛ばされる。
「リベカ殿、至急ポーションを!」
「ちょっと行ってくるわねぇ~ん」
サムソンが伊能とジスカを木の上に下ろし、飛び降りた。
「鬼さんこっちよぉ~ん」
ゴブリン・キングがサムソンの挑発に乗った。
大木のような巨大な棍棒を、サムソン目掛けて振り下ろす。
サムソンはそれを素手で受け止める。
だが、プレートアーマーも剣も帯びていない今のサムソンでは、押しきれない。
「イノーちゃん、西村の入口に急いで! もうすぐ『あれ』が来るはずよぉ~ん」
「『あれ』か!」
伊能はジスカに手伝ってもらいながら、木から降りた。
そして、西村の入口へひた走る。
果たして――
「銀髪に東洋風の出で立ち――あなたがイノー村長殿ですか?」
10門の大砲、
10頭の馬、
そして10人の従士。
リリンが派遣してくれた騎馬砲兵隊が、そこにいた。
「よう来てくださった! サムソン殿がゴブリン・キングと戦っておるのじゃ!」
「急ぎましょう」
先頭に立っていた年若い従士が、大砲を1門引いて進む。
馬を落ち着かせるために5人が残り、他4名が大砲に続いた。
この5人という人数が、大砲1門を運用するための最低人数ということなのだろう。
「サムソン将軍殿! 騎馬砲兵派遣隊、現着しました!」
「待ってたわぁ~ん」
素手でゴブリン・キングと渡り合いながら、サムソンが応える。
「すぐに撃ってちょうだ~い」
「はっ」
従士たちがテキパキと準備していく。
大砲を平らな地面に設置し、装填手が火薬と砲弾を装填し、照準手が狙いを定める。
「撃てます!」
「今よ!」
サムソンがゴブリン・キングの棍棒を大きく弾き返した。
ゴブリン・キングが万歳をするような姿勢になり、胴体ががら空きになる。
サムソンがその場に伏せた。
と同時、大砲が火を吹いた。
ゴブリン・キングの胴体に大穴が空き、四肢が吹き飛んだ。
伊能たちは、勝ったのだ。




