23『身の丈2メートルのオカマ将軍、現る』
「こんにちはぁ~ん」
翌朝、身の丈2メートルの大男がイノー西村に現れた。
「二度目ましてぇ~。そこの子供たちには、三度目ましてだったかしらぁ~ん? リリンちゃん閣下の盾にして剣、ケルブ辺境伯領従士長、領軍将軍のサムソンよぉ~ん。今日からここでお世話になるわぁ~ん」
――筋肉モリモリだ!
――モリモリの変態だ!
――男? え、女?
イノー西村の少年少女らが圧倒されている。
伊能も同じく圧倒されていた。
サムソンの言動がどう見ても女性であり、真っ赤な口紅も塗っているのに、髪型はモヒカンだからである。
(か、陰間(※)……? いやしかし、着ておるのは男装、というかプレートアーマーじゃ)
※江戸時代の女装男娼のこと。
(というか、将軍って? ――あぁ、征夷大将軍ではなくジェネラルか)
伊能は前に進み出て、この国における礼儀として握手を求めた。
「伊能忠敬でございまする。この村の名主――村長をやっておりまする」
「よろしくね、イノーちゃん。アタシ、この村にいる間はイノーちゃんの部下って扱いになるから。気軽に『サムソンちゃん』って呼んで。口調も軽く、ね」
「わ、分かったぞ、サムソンちゃん殿。だが、よいのか? サムソンちゃん殿はケルブ領の最高戦力なのじゃろう?」
「それだけこの村が注目されてるってことよ。それに、副将軍でも軍は動かせるしね」
「痛み入る」
◆ ◇ ◆ ◇
『大人』ということでサムソンを警戒していたジスカや少年少女らだったが、すぐに打ち解けた。
サムソンがものすごく気さくな人物であり、何より力持ちだったからだ。
サムソンが爆速で井戸掘りをしはじめたので、特に少年たちがあっと言う間に懐いた。
そして、少年少女らでは何日かかっても掘り抜けなかった井戸を、ものの小一時間で掘り抜いてしまったのだ。
「イノーちゃ~ん、お水、出てきたわよぉ~ん」
「まことか! おぉ、おぉ、本当に助かった! これで子供たちが腹を下す危険がぐっと下がる」
「それにしても、水が湧くポイントがよく分かったわねぇ」
「ここまでよくしてもらったのじゃ。ワシも能力を開示するとしよう。――おーい、ガドや、井戸の補強を頼めるか?」
「任せてくれ、イノー姉ちゃん!」
「うむ。――ではジスカ、狩りに行くぞ」
「うん!」
「サムソンちゃん殿も一緒に」
「自慢の【測量】スキルを見せてくれるってわけねぇ~ん? リリンちゃん閣下に共有しても?」
「もちろんじゃ。というか、そのためにお主が派遣されたのじゃろう?」
「お見通しってわけね」




