20『伊能、謎の少女の正体を暴く』
向かった先は、転生直後に見つけたミスリル鉱石の出る洞窟である。
「【灯火】」
リリンが詠唱すると、松明くらいの明かりがふわりと浮かんだ。
「おお、おおおっ、本当にあるのじゃ――じゃなかった、あるではないですか!」
振り向いたリリンが、ギョッとなった。
退路を塞ぐような位置で伊能が正座し、頭を垂れていたからだ。
「こたびの無礼、まこと申し訳なくござ候。本来ならばこの首をもって償うべきところですが、拙者には村を率いる仕事がございまする。ここのミスリル鉱石をもって、償いの代わりとさせてはいただけませぬか」
「ちょちょちょっ、いきなり何を!?」
「…………」
リリンがなおも猫を被ったが、伊能は動じず、頭を下げ続ける。
「ふぅ~……顔を上げよ」
次の瞬間、リリンの雰囲気が変わった。
年相応の幼女の顔が、冷徹な為政者の顔になった。
「いつからじゃ?」
「ひと目見たときからでござりまする」
「なぜ?」
「御目を拝見すれば分かりまする。あなた様の目は、幼子の目ではない。為政者の目でございまする」
「よもや、そんな理由で見破られるとはのぅ」
それから、リリンが伊能の前に正座した。
「こちらこそ、大変な失礼をした。よもや神様に頭を下げさせてしまうとは」
「へ? 神様?」
予想外の単語に、伊能は首を傾げた。
「ん、違うのか? この世界にはときどき、人ならざる者が人の姿を借りてご降臨なさるときがある。あなた様もそのような存在なのでは?」
「あ、えーと……」
「失礼ながら、調べさせてもらったのじゃ。この辺りではすっかり枯れ果てていたと思われていたミスリル鉱脈を発見し、同鉱石を度々発掘。短期間で癒し一角ウサギを何羽も獲得。極めつけには、死にかけの村を率いて盗賊団を壊滅。……それを成したのが、若干十数歳の娘だという。とても人間業ではない」
「あー、いや、神かどうかと言われれば、一応は神? 的な? じゃが……」
「うむ? どういう?」
「……ふぅ、仕方ない。事ここに至っては、すべて話すほかありますまい」




