17『少年少女ら、極めてまずい「やらかし」をする』
「えっさ、ほいさ」
「よいしょ、どっこいしょ」
翌日からさっそく、井戸掘りが始まった。
最果ての村の少年少女らが手伝ってくれることになったのだ。
ルーベンを始めとする大人たちは、集落跡には入ってこられない。
ジスカが嫌がるからである。
やはりジスカは、どうしても両親とは一緒に暮らしたくないらしい。
それに、彼女と同様に大人不信に陥っている十代が多くいて、こうして集落のほうに引っ越してきたのだった。
(まぁ、ここのほうが森に近くて狩りがしやすいから、ワシにとっては渡りに船じゃな)
一方、テオたち5歳前後組は最果ての村に戻った。
いや、『戻った』とは言いつつ今日も来ているので、半分ここに住んでいるようなものだが。
この集落と最果ての村は、両方併せて『イノー村』と命名された。
伊能は猛反対したのだが、ジスカと大人たちがこの一点に限っては意見が一致した。
だから、無下にできなかったのだ。
便宜上、集落のほうを『イノー西村』とか単に『西村』と、最果ての村のほうを『イノー東村』『東村』と呼ぶことになった。
(小一時間とはいえ、この距離は不便じゃ。いずれは馬車を導入するか。いや、最良は子供たちが大人たちと和解して、また一緒に暮らすことなのじゃが……まぁ、心配あるまい。そのうち、日にち薬が効いてくるじゃろう)
今は、十代の少年少女らの気持ちが昂ぶっている時期なのだ。
盗賊襲来と口減らし……からの、伊能(見た目は十代女性)登場で全部解決というジェットコースターのごとき展開が続いたことで、少年少女らが伊能を神格化して暴走気味になっているのだ。
(もう数年もすれば、綺麗事だけではままならぬということを学ぶじゃろうて。そうすれば、自然と大人を赦せるようになる。そうせねば大人の仲間入りができぬのじゃからな)
伊能としては、ルーベンの判断は――思うところはあるものの――一理あると考えている。
(今は、多感な少年少女らに寄り添ってやるべきじゃろう)
伊能はジスカのほうを見る。
すぐに目が合って、ジスカがすっ飛んできた。
尻尾があれば、間違いなくブンブン振っていることだろう。
「狩りにゆくぞ。弓と護衛を頼めるかの?」
「もっちろん!」
◆ ◇ ◆ ◇
狩りから戻ってくると、西村が騒然としていた。
子供たちが木の枝を剣みたいにいさましく振り上げて、勝ち鬨を上げていたのだ。
「おうおう、どうした? チャンバラごっこかの?」
「あ、イノーお姉ちゃん! ちゃんばらって何だ?」
やんちゃな少年・ガドが駆け寄ってきた。
14歳。
東村で大人不信に陥っていた少年少女組の中でも、最も背が高くて腕っぷしも強い少年だ。
「こっちの話じゃ。それより、どうした? ずいぶんと楽しそうじゃが」
「聞いてくれよ! また盗賊が出たんだけど、俺たちだけで追い返したんだぜ!」
「と、盗賊じゃと!?」
仰天の伊能。
「怪我はなかったか!?」
「全然大丈夫さ。あいつら、俺たちの投石攻撃の前に手も足も出なかったんだ。大人だからって、子供を舐めてると痛い目みるのさ」
「う、うむ……。それで、盗賊はどこへ逃げていった?」
「東のほうだけど」
「っ。マズい! ジスカ、行くぞ。ガドも一緒に来い!」
「え、なんで?」




