31狩り目
何度目かの覚悟を決め、真っ直ぐに東山君の方を向いた。
「何度もごめんなさい。ありがとうございます。もう、大丈夫です」
走って来てくれた事でか、私の手よりも暖かな東山君手が離れるのは少し寂しかったけど、これ以上はまた決心が鈍る。
「話して置きたい事があるんです。私の話、聞いてくれますか?突拍子も無い事ですし、もしかしたら、私と一緒に居たくなくなるかもしれないんです」
「でも、聞いて欲しいんです。貴方に」
そう、貴方だけに。
すると、東山君はその無表情を少し戸惑ったように変化させたけど頷いてくれた。
「私、ずっと、ずっと思ってたんです」
「貴方のそれが惜しすぎるって!!!」
そう……私は思っていた。
彼は、その微妙に見せる感情の見せ方が惜しいって。
そう叫んだ私に東山君は目を瞬かせいつもより大きな感情の揺れを表した。
「………………俺の、それってなんだ?」
まぁ、気になるであろう事ではあった。
もちろんこの作戦を考えた時点でぶっちゃけるつもりだった事なので用意している言葉がある。
「私は、貴方を初めてお見かけした時から貴方の事を……なんて惜しい人なんだろうと思っていました。それは、貴方の感情の出し方です!」
流石に前世の乙女ゲームで初めて貴方を見たなんて事は言えない。
「感情の、出し方?」
こくり、頷いて話を進める。
「私は、今の貴方の感情の変化が分かります。今の貴方は戸惑っていますよね!流石にこれ位なら誰でも分かります。しかし、しかしですよ!ここから重要なお話になってくるのでよ〜く聞いて下さいよ?」
勢いよく全てをぶち撒けると東山君は取り敢えず落ち着けと言った。うん、ちょっと慌て過ぎたね。
テヘペロ……なんつって。




