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我、異世界にて暗躍ス  作者: 聖 ミツル
第3章 封印の謎

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第85話 孤島




 広く白い波飛沫を立てた透き通るような青い海。

 細かく砕けたサンゴでできている白い砂浜。

 地平線が緩やかなカーブを描いて、柔らかそうな白い雲を押し出している。


 ここは、ミスティナ皇国の遥か西にある大陸の外れだ。


『ナイト・フォグ』本部である天空の島を調達してもらった古竜との約束でこの海の先に封印されている海龍神王の封印を解く為、本部ごと空からやってきた。


 今は、みんな思いっきり海で今日1日限りのバカンスを楽しんでいる。


 俺は、砂浜に寝そべって皇都の貴族相手で精神的に疲れた身体を休めていた。

 すると、セレーネが特製のトロピカルジュースを持って来てくれた。


「ライル様、どうぞ」

「ありがとう。セレーネも俺に構わずみんなと遊んできなよ」

「いいえ。私は泳げないので〜〜」

「でも、せっかく可愛い水着着てるんだから」

「か、可愛いなんて……」


 何故、女性は俺の意思とは違う反応をするのだろう……


「ミルフィーの様子はどうだい? 」

「ライル様とロワード帝国から戻ってきた日は、元気がありませんでしたけど今は、あの通りです」


 ルナとリールそしてニュイと一緒に波打ち際で水をかけっこして遊んでいた。


「そうか……」


 俺がやっても良かったのだが、ミルフィーに敵討ちをさせたのは良く無かったかな……


 でも、それは杞憂だったようだ。


 俺の隣には大胆な水着を着たメンデル長官が日光浴をしている。

 その隣では、酒を煽るほど飲んで酔っ払って寝ているオッさん、いや、シド室長がいびきをかいて寝ていた。


 本でもあれば最高なんだがな……


「主任、今、本が読みたいと思っているでしょう? 」

「何でわかったんだ? 」

「青い海、白い砂浜、そんな『リア充爆発しろっ』て場所に来て、何もしないで寝そべっている主任の考えそうな事は、このユオ様がわからないはずないじゃないですか〜〜。というわけで本をお持ちしました」

「よくわからなかったが助かるよ。ありがとう、ユオ」

「いいえ。より優りの品々です。ご活用下さい」


 そう言って本を置いていったユオは、みんなのところで砂遊びに励んでいる。

 俺はユオの本を取り、題名を見ると……


『カラマー族の強打いいヨ〜〜』 著者 ユオエフスキー

『垢とり九郎』著者 スタンダード・ユオ

『蝶々夫人の10日間で絶対痩せるダイエット』 著者 ユオ


 う〜〜ん、パクリだし、捻りがないな……


 結局、俺はユオが持ってきた本を枕がわりにした。





 その夜、皇都にあるヒュール商店から指令室に連絡があったようだ。


「ライル様、ルルリーからの連絡でランドル家の侍女エリスさんが用があるそうです」


「わかった。行ってみるよ」


 ニュイを探したがルナと一緒にお風呂に入っているようだ。


「ミルフィー、ニュイの事頼んでいいか? 」


「わかりました。御安心してお出かけ下さい」


「すまん。何かあれば連絡してくれ」


 俺は、ニュイをおいて皇都の屋敷に転移する。

 すると、俺が来るのを待ってたかのようにエリスが


「ラビス様、お戻りになられたのですね。良かった〜〜」

「どうかしたの? 」

「はい。王家執務長のロワードさんから呼び出しがかかっております。明日にでも登城下さいとの事です」

「そうなんだ。わかったよ。それとエリスにこれを渡しておくよ。魔力を通せして相手の事を思うと連絡できる魔法具だよ」

「私に頂けるのですか? 」

「あぁ、その方が都合が良いからね」


 嬉しがっているエリスを横目に、執務長が俺に何の用があるのか気になっていた。



 翌日、王城に赴くと、王家御用達の応接室に通された。

 しばらく待っているとロワード執務長がやってきて、


「ラビス君、今日は呼び出しに応じてくれて感謝する」

「いいえ。構いません」


 呼び出された理由が思いつかない。

 しばらく雑談した後、本題に入った。


「ラビス君は、今ランドル家に滞在しておるのだね」

「はい。そうです」

「実は、今日、君を呼び出した件なのだが、君はソフィア王女とソレイユ王女に随分と信用されているようだね」

「おっしゃる意味がよくわかりませんが……」

「実は、昨日、王様から相談されてね。ソフィア王女が君と暮らしたいと言っているようだ」

「はい!? 」


 そう言えばダンスの時、そんな事を言っていたが……


「その様子だと寝耳に水と言った感じかな? 」

「実は、ダンスのお相手をさせて頂いた時にソフィア王女からそのような事を言われました。ですが、あまりに突飛なお話だったもので冗談かと思っておりました」

「まぁ、普通はそう思うだろうなぁ……」

「はい……」


「ソフィア王女は言い出したら聞かない性格なんだよ。困った王様が私に相談してきたというわけだ。何でそんな話になったのかい? 」


「私がソレイユ王女から信用されていると勘違いされて、妹と仲良くなりたい一心で私を知りたいとおっしゃってました」


「そうか、そんな理由があったのか……で、ソレイユ王女にはどうして信用されたのかい? 」


「良くはわかりませんが、精霊視というギフトをお持ちのようでそれで私を見ると不思議な色に見えるらしいのです。そんな事から興味を持たれたのかもしれません」


「そうか、ソレイユ王女はそんな事まで君に話したのか……」


 ロワード執務長は随分と悩んだ末に、


「話はわかったよ。だが、未婚の王女達を君と暮らさせるわけにはいかない。どうかこの件は忘れて欲しい」


「もちろんです。私もそう思いますので」


「君は理解が早くて良い。確かるよ」


「いいえ。当然なお話だと思います」


「だが、王女達は納得してくれないだろう。特にソフィア王女はね」


「はい……」


「君は剣の腕前が相当なようじゃないか。ヘンリー辺境伯のお墨付きだと聞いている」


「大森林で生き残るための我流ですが……」


「そうだったね。実戦の剣のようだ。ソフィア王女は君に剣の稽古もして欲しいと頼んできている。どうだ? 剣の指導という事で皇都の別宅の屋敷に通うというのは可能かい? 」


「毎日は無理ですが……」


「そうか、そうか。それでは、妥協案としてラビス君。君に王女達に剣の指導を要請する」


「えっ、私よりもっと適任がおられると思うのですが……」


「王女達は、実戦の剣を望んでおられる。どうだい?引き受けてくれまいか」


「私でも構いませんが、指導に来れないときは私に剣を教えてくれた人物でもよろしいですか? 」


「君に剣の指導をした人物か。それは誰かな? 」


「ローレンス伯爵の末娘でメンデルさんと言います」


「あのメンデルが君に剣を教えたのか? 」


 執務長はメンデルさんを知っているようだ。


「はい。記憶を失っていた私を、当時冒険者だったメンデルさんが親代わりに育ててくれて剣を教えてくれました」


「そうだったのか、どうりで皇国の剣に似たようだとヘンリー辺境伯が言ってたわけだ。わかった。それは構わない」


「それとソレイユ王女ですが、魔法をお使いになるのですよね」


「そうだ。だが、特殊な魔法らしく学院の先生方も教え方に悩んでおられたよ」


「同じ精霊魔法を使える女の子を知っております。ダークエルフの子ですが身元は私が保証します」


「ダークエルフだと。まさか、人族の君と知り合いなのか? 」


「大森林で会いました。お互い身寄りがなかったものですから一緒に旅をしておりました」


「そうか、それなら願ってもない。わかった。私が許可をしよう」


「ありがとうございます」


 メンデルさんやリールの許可を取ってないけど、構わないよな……


「一週間後にまた来てくれるか? 」

「はい」


 王城を出て、路地にランドル家の屋敷に戻る。

 しばらくエリス達とさっきの話をして俺は本部に戻った。




 本部司令室で、先程の話をすると、


「え〜〜! 王女様の相手なんて面倒くさ〜〜い」


「私も、今更皇国の貴族の相手は、特に、王家の人間と接するのは正直、面倒くさいな」


 リールもメンデルさんも乗る気ではなさそうだ。


「毎日というわけではありません。俺が依頼や他の用事の時代わりに教えてくれるだけでいいのですが」


「そうか、だが、私はともかく、リールは敬語すら使えんぞ。王女達にどんな失礼を働くか気が気ではない」


「長官、それ、どういう意味〜〜! 私だって、敬語ぐらい使えるってば〜〜」

「なら、リール。私に敬語を使ってみろ」

「良いわよ。いくわね。本日は、お天気がすっごくいい感じですわね……」


「みろ! ライル。こいつをどうやって一週間で敬語を使えるようにするんだ? 」

「別に使えなくても構わないと思いますよ。リールはリールだし」

「そういう訳にはいかない。これでは『ナイト・フォグ』組織の恥になってしまう」


「えーー! 今のちゃんとできてたよね〜〜そう思うでしょう? ミルフィー」

「18点です」

「ガーーン! それって、赤点じゃん。留年だよ。も〜〜う」


 それから、一週間、リールの言葉遣いをはじめとする礼儀作法教室が始まった。教師はミルフィーだ。


 勉強中は、時々鞭で床を叩く大きな音とリールの絶叫が聞こえたという……




 リールが一生懸命言葉遣いと礼儀作法を勉強している間に、俺とニュイは大陸から250キロ程離れた孤島に来ていた。


 ミスティナ皇国から見ると南西方にあたり、気候は温暖というより暑い。


「まるでジャングルだな……」

「ジャングル? 」

「そうだよ。木が生い茂って人が容易に入り込めない未開の地の事だよ」

「そう。ジャングル、ジャングル、ジャングル……」


 ニュイなりにいろいろな言葉を覚えている。


 木を切り倒し、下草を風魔法で刈りながら前に進む。

 目的地と思われる人魚が棲むと言われている入江は三ヶ所。俺達はそのひとつに向かっていた。


 木の枝に色鮮やかな、いかにも猛毒を持っていそうな蛇がこちらを威嚇している。


「綺麗……」

「ニュイ、それ触っちゃダメだぞ。きっと毒を持ってるから」


 ニュイは、うさぎを操り蛇の方に向かわせる。

 蛇は、敵が来たと思い鎌首を上げてうさぎに噛み付いた。

 しかし、蛇の牙は欠けてしまったようだ。

 慌てた蛇は、一目散に逃げて行った。


「噛んだ……」


 ニュイはうさぎが噛まれたのがショックだったようだ。

 蛇と仲良くなりたかったらしい。


 この島には、魔獣も存在する。

 今まで見たこともない色鮮やかな種類のものが多いが、鑑定すると殆どが毒持ちだった。


 すると目の前に大きな蜘蛛が現れた。

 背中の模様が人の目の様になっている。


 ニュイが蜘蛛を浮かせて。俺が風魔法で斬り裂く。

 遺体を亜空間収納にしまい、先に進む。


 そんな感じでニュイと共に亜熱帯の孤島を進んで行った。







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