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我、異世界にて暗躍ス  作者: 聖 ミツル
第2章 暗躍編

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第74話 皇都での依頼(3)




ソレイユ第二王女の予知が本当なら、依頼主のステラの件はこれに関わっているという事になる。


事前に解決できれば誰も悲しい思いをしないで済むのだが……


王城の執務室に入りこむと懐かしい顔を見かけた。


父さん……

少し老けたな……

白髪もあるし……


父さんは、この国の総務部で働いているようだ。


ここには、ターゲットはいない……


一瞬父さんと目があった気がしたが、気のせいだろう。

俺は後ろ髪を引かれる思いでこの部屋を出る。


しかし、ターゲットの外交部はどこにあるんだ?


衛星で確認すると、王城に隣接する迎賓館に事務室がある。


もしかして、そこが外交部か……


今度は迎賓館の潜り込む。


広い事務室に多くの人達がいた。その中で偉そうに周りの人達に指図している30代後半の男を鑑定すると

………………………………

シモンズ=ブリュッセル(38)男性

ブリュッセル伯爵家当主 

ミスティナ皇国外交部責任者

Lv 35 

HP 62/85

MP 35/75

……祝福……

剣技

……スキル……

ブレイドスラッシュ

礼儀作法

身体強化

………………………………


ビンゴだ……


俺は衛星からこの男にチェックを入れる。

これで、どこにいてもわかるはずだ。


しばらく話の内容を聞いていると学院の武術大会に賓客としてロワード帝国、ライオット国の貴族を賓客として招くようだ。

外交部は、その対応に追われていた。


俺はここではこれ以上の情報は集まらないと判断して皇都の宿屋に転移して戻った。





宿に戻り、みんなの情報を照らし合わせる。


「依頼主は、殆ど部屋を出なかったとニュイちゃんが言ってましたニャン」


依頼主は相変わらずか……


「街での噂ですが、先代ブリュッセル伯爵はとても有能な方だったようです。ですが病に倒れ今は寝たきりのようです。現当主は、殆ど噂がありません。先代と比べると影の薄い存在らしいです」


「ミルフィー、よく調べられたね」


「はい。貴族が通いそうな服飾店を回りました。少し、散財してしまいましたが……」


「それは気にしなくていいよ。じゃあ、俺が掴んだ話をしよう。実は……」


王城で出会ったソレイユ第二王女の件、迎賓館での話をみんなに話す。


「それが本当なら、早速行動しないといけませんね。私は司令室に戻ります。ナハト様ユオ様にも連絡を入れなければなりません。それに、迷宮に潜っている長官にも話さないとーー! 」


ミルフィーは、一気に仕事モードになってしまった。


「ライル様は迷宮にいる長官に知らせてもらえますか? 私とルナはヒュール商店から司令室に戻ります。ニュイちゃんはライル様に同行して下さい」


そして、有能な秘書のように仕切りだした。

正直、助かる……


「長官達は時間的にみて18階層あたりだと思う。あと2日もあれば地上に戻ると思うからそれから話をしても大丈夫だと思うぞ」


「わかりました。長官に知らせるのは明後日にします。ライル様とニュイちゃんは引き続き依頼の件をお願いします。では、ナイト・フォグの活動再開です! 」


「ミルフィー、張り切りすぎニャン」


『ニャン、ニャン、ニャン……』ルナの変な語尾が頭の中でリフレインしだした。


 ユオが変な言葉教えるから……


「ライル様、どうしたのですか? ボーッとされて? 」


「いや、何でもない。じゃあ、本部の方は任せたよ」


『はい』『任されたニャン』


 この頭の中に渦巻くルナの『ニャン』はいつ治るのだろう……





 俺とニュイは、皇都から離れて竜の里を訪れた。

 皇都で戦闘が起きれば、ひょっとこ面では身バレする可能性がある。

 実際、激しい戦闘だとひょっとこ面がズレてしまい正直危険なのだ。

 ドワーフ職人のドドンパッチさんに新しいお面を作ってもらおうと訪ねてきたわけである。


 そう言えばリアス嬢は屋敷に慣れたかな……


 店に入り声をかける。

 中から見慣れた姿のドワーフが出てきた。


「なんだ。小僧、注文の盾できたぞ」


 そう言えばシドさん用に盾を注文しておいたっけ……


「ありがとうございます。それと今日は別の物を作ってもらいたくてお願いに来ました」


「なんだ。何が必要なんだ? 」


「お面を作ってくれませんか? 激しい戦闘でもズレない物を」


「お面か〜〜わかった。でも、材料がねえぞ」


 そうか、材料か……


「あっ、あれが使えるかも……」


 俺は迷宮で出会った亀からもらった甲羅を亜空間収納から取り出した。

 店の中が亀の甲羅で一杯になる。


「なんだ、なんだ。これはーー! 」


 ドドンパッチさんの目が輝く。

 まさに職人の目だ。


「小僧、これをどこで手に入れた? 」

「ミスティナ皇国にある迷宮です」

「そう言えば迷宮に行くと言ってたな。で、何階層でこれを手に入れたんだ? 」

「40階層のいる階層主からです」

「40階層だとーー!! そうだよなぁ。小僧は黒竜様や黄竜様に勝っちまう程の腕だったよな……」

「これで作れますか? 」

「いいのか。この素材をお面に使って? 」

「えぇ、今はそれしか無いので……」


「この甲羅1つで国が1つ買える程の素材だぞ」


 これは、この世界のジョークだ。

 この対処法は1つしか無い。


「わはははは」


「…………そうだった。小僧はそういう奴だった。わかった。デザインはお任せでいいんだろう? 何個いるんだ? 」


 できれば、ナイトフォグメンバー全員の分が欲しい……


「余裕を見て20個ほどお願いできますか? 」


「わかった。直ぐに取り掛かる。急ぎなんだろう? 」

「はい。一週間後には必要になります」

「わかった。3日で仕上げる。小僧、悪いが報酬はこの甲羅をくれ」

「いいですよ。どれくらい必要ですか? 」

「一山の半分でいい。その中からお面も作る」

「わかりました」


 亀の甲羅の山を半分にしてど首領パッチさんに渡す。

 それでも手元にはまだ大量に残っている。

 それを亜空間収納に入れ、ドドンパッチさんの店を出た。


「ニュイ、行きたいところがあるんだけどいいか? 」

「うん」


 俺はニュイを連れて木のある丘に転移した。

 リールの母親の石碑に食べ物とジュースを供え手を合わせる。


 心地よい風が吹いてきて一面を覆った。


「ライル、ここ、好きなの? 」

「あぁ、ここに来ると何故だが心が癒される」

「そう、私、好きになる」

「ニュイ、無理に好きにならなくていいんだぞ。自然と行きたくなる場所がそのうちニュイにもできるよ。その時まで待っていればいい」

「わかった。そうする」


 ニュイは座っているのに飽きたのか前にあげた亀の甲羅をフリスビーのように投げて遊び出した。


 上手いもんだ……


 上手に亀の甲羅を扱うニュイに驚きながら空を見上げると


『ライル。ライル』


 シエルとチエロが俺の魔力を感じてやってきた。


「やぁ、シエル、チエロ。リアス嬢の様子はどうだい? 」


『平気。平気』


「それなら良かった。長官達が迷宮から戻ったら連れて行くよ」


『わかった。わかった』

「そう言えば食事はどうしてるのだろう? 」

『テプタ作る。テプタ作る』

「そうか、テプタが手伝いに来てるんだったな」

『テプタ上手。テプタ美味しい』

「それは良かった。この件が終わったら少し忙しくなりそうだけどシエル、チエロ、宜しくね」

『了解。了解』


 シエルもチエロもいろいろな言葉を覚えたものだ。なるべくユオに関わらせないようにしないと……


『ニュイ、遊ぶ。ニュイ、遊ぶ』


 2人もニュみたいに亀の甲羅で遊びたいらしい。

 俺は2人に1つづつ甲羅を渡した。

 シエルとチエロは、ニュイと一緒に投げて遊びだした。


 子供達が遊ぶ声を聞きながら、


 こういう時間が一番だな……

 ここにノーチェもいてくれれば……


 俺はそう思っていた。





 ニュイと共に皇都の宿屋に戻った頃には、すっかり夜になっていた。

 1階にある食堂で夕食を済ませ、ニュイをお風呂に入れる。


 風呂から出た俺達はベッドに横になり早めにニュイを寝かせようと思っていた。


 横になりながら『衛星』今日会った人物にチェックを入れ、そしてシモンズ伯爵の動向を伺っていた。


 彼は、屋敷には帰らず迎賓館にある私室に泊まっているようだ。


 この部屋を探れば何か出てくるかもしれないな……

 それと、ステラの日記も見ておきたい……


 ステラとシモンズは、まだ起きているため、今は行動できない。

 ニュイが寝る頃には2人も寝るだろう。

 その時動けばいい……


 そう考えていると腕輪が鳴った。ユオ特性のバイブ機能にしてある。

……………………

「はい、こちらライル」

「………あの〜〜どうすればよろしいのかしら〜〜」

「もしかしたら、ソレイユ王女ですか? 」

「まぁ、本当にお話ができるのですね。ライル様ですわね」

「そうです。昼間は失礼しました」

「これはなんて素敵な魔法具なのかしら」


 俺は衛星で王女の場所をチェックした。


「王女は今私室なのですね」

「はい。これがあればいつでもライル様とお話ができますね」

「便利なのですが人目につくと大騒ぎになりますので……」

「心得ております」

「そう言えば使い方を教えてませんでしたね。腕輪に魔力を通して連絡を取りたい相手を思い浮かべればその人と話す事ができます」

「そうでしたのね。だからライル様とお話が出来たのですね」

「連絡を受信すると腕輪が震え出します。その時、腕輪に魔力を通して下されば相手の連絡を受信できます」

「わかりました。ご丁寧にありがとうございます」

「それと緊急時には音が出ますので注意してください。音を消すのも先程の方法で止めれますので」

「そうでしたか。わかりました」

………………………………


 それからしばらく王女と話をした。

 祝福を受けてから予知を見るようになり、それを口走った為気味悪がられて育った事。

 ほとんど部屋から出ないで生活していた事。

 それを見かねた王様がステラを遊び相手として引き合わせてくれた事など辛い思い出を俺に聞かせてくれた。


 話は数時間に及びその間にニュイは寝てしまったけど……


 王女は、心に抱えたモヤモヤを誰かに聞いて欲しかったようだ。


 王女との会話が終わり、日付はとっくに変わってしまった。


 俺は、それから『衛星』で確認して、まず依頼主であるステラの日記を見に行くことにした。








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