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我、異世界にて暗躍ス  作者: 聖 ミツル
第2章 暗躍編

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閑話 冒険者『純情可憐』Aランク シェリーの憧憬





 私は、シェリー=シュプール。ライアット国の公爵家の二女です。

 クロウ勇国の学院に入学したのは、数えきれないほどのお見合いを断る為です。

 ライアット国にも学院はあるけど、女子は殆ど勉強や剣術または魔法の勉強をしないわ。

 女子にとっては、殿方との出会いのための婚活学院と成り果てているのです。


 だから、遠方であるクロウ勇国に来たのだけど、どうしてか、仲の良い友達が思うようにできなかったのです。


 ボッチじゃないですよ〜〜

 お天気の話とかは、普通にクラスメイトとしてましたし〜〜


 でも、なんで?

 話し方がいけないのかしら……


 随分悩んだけど、理由はわかりませんでした。


 そんな時、季節外れの転校生がやってきました。

 少し、そばかすのある可愛い女の子でした。


 その子は、私の席の隣になり、ちょっと話しただけで、私が貴族ってバレました。


 友達作る為に、隠していたのに〜〜


 でも、その子も貴族の子女でした。

 男爵家の長女と言ってましたけど、私みたいにお見合いから逃れる為に来たのではないと感じました。

 彼女の目には強い意志が備わっていたからです。


 すると、彼女は、冒険者になりたいと言いました。

 私も、憧れてはいましたが、あんなに嫌っていた貴族の子女としての責務(他家の貴族と結婚する事)が頭から離れませんでした。


 それは、お父様から15歳までに有力貴族と婚姻関係を結べなければ、それ以降の援助はしない、と言われてたからです。


 私1人で、もちろん侍女もいましたけど、生活できるとは思えなかったのです。


 でも、その女の子の強い意志に惹かれたのか、私も冒険者になって頑張ろうっと思えるようになりました。


 その子は、母親の実家からこの学院に通っていました。お家に行く機会があり、その子の実家に訪れてびっくりした事を今でも覚えています。


 その子のお家は、クロウ勇国の3名家の1つ、サスケ家だったのです。そして、現当主であるお祖父さんにお会いしてさらに驚きました。


 顔も猿なら、心も猿でした。


 そして、彼女とは、気兼ねなく話す事ができ、いつの間にか唯一無二の親友となっていました。


 彼女と一緒に冒険者登録をする事になり、最初は、彼女と2人で薬草採取とか街中の届け物だとかそう言った低ランクの仕事をきっちりとこなしていきました。


 彼女は、普段は無茶振りが酷いのですが、冒険者の仕事に関しては慎重でした。


 彼女曰く


「冒険者の仕事は、簡単そうな仕事でも命を落とす危険がある。私は、まだ、死ぬわけにはいかないから慎重なのよ」


 と言ってました。


 確かに、危険そうにみえなくても、どこで命を落とすかわかりません。

 そう言った慎重な姿勢が、彼女の強さなのでは、と思っていました。


 彼女は、常に、剣を2本持っていました。1つは普通の剣でしたが、もう1つは、クロウ勇国ではよく見かける刀の脇差のような剣でした。でも、その剣は、何かの骨でできてるみたいで白い剣でした。


 他の冒険者からは、「こいつ、ゴブリンの骨で造った剣を持ってるぜ」とか言われバカにされていました。


 でも、彼女は、そんな事を気にすることもなく、その剣を大切に扱っていました。


 その剣の本当の力を見ることができたのは、私達2人が何時ものように森に行き、薬草の採取をしていた時でした。


 森の中から獣人の女の子が走ってきたのです。まるで、何かから逃げるように……


 その子は、良く冒険者ギルドで会う子でした。話したことはなかったのですが、お互い顔は知ってました。


 すると、その子が、


「お願い、タップを助けて。仲間なの。ゴブリンに攫われたのよ」


 正直、どうするか迷いました。私と彼女は、まだ、人型の魔物を倒した事が無かったからです。


 でも、彼女は、その獣人の子の言葉を聞くと、直ぐに、


「案内して! 」


 と言ってかけて行きました。私も剣を抜き、その後を追いました。

 彼女の後ろ姿が大きくみえた瞬間でもあります。


 いつもの彼女なら、決して抜かないその白い剣を抜いていました。

 そこで、その剣の威力を初めて見たのです。


 ゴブリンが数体、女の子に襲いかかってました。

 彼女は、剣に魔力を通したのでしょうか、白い剣は黒く輝いていました。

 そして、彼女の剣は、一振りで、そこにいたゴブリンを全滅させたのです。


 初めは何が起きたのかわかりませんでした。

 でも、事実なんです。彼女の剣は、黒く輝き脇差の短さからは想像もできないほど、長く細い剣へと変わっていたのです。


 その剣を横に薙ぎ払うように振り抜いた彼女の後に残ったのは、両断されたゴブリンの死体と横になって失神しそうな顔をしたタップという女の子でした。



 それから、私達は、パーティーを組むようになりました。

 猫人族のチップとその幼馴染の人族のタップと4人で行動するようになりました。


 メンバーが増えても、身の丈に合わない危険な冒険は慎みました。

 でも、着実に依頼をこなしていくと、ギルドからは、信頼されるようになり、ランクも上がっていきました。


 今では、Aランク冒険者として、注目を集めるほどになりました。


 でも、最近、彼女が忙しそうにしているのです。


 私達と一緒にいる時間が少なくなりました。


 そして、チップとタップで馴染みの茶店でお茶といつものアイスを食べている時です。


 突然、彼女が現れ、店の中にいた少し暗そうな男の子を弟だと宣言したのです。


 確か、彼女の弟さんは、行方不明になっているはず……

 その弟さんに会うために、彼女は、自らを鍛え、精進してきたのです。


 そうか……弟さんと再会できたんだ……


 この時、私は、親友の長年の夢が叶って嬉しかったのですが、なぜか淋しくもありました。

 きっと、彼女は、もう、私達を必要としないのでは……


 彼女は、私の憧れの人です。

 強くもあり、そして、優しい人です。

 いつも、パーティーの中心にいて、みんなを笑顔にさせてくれます。

 そんな彼女が、冒険者になったのも弟さんを探すためです。


 きっと、彼女は、もう、私の事なんて……


 いつのも茶店で、ハーブティーを飲みながら窓の外を行き交う人達を見ていました。


「あ〜〜」


 いつのまにか大きなため息を漏らしてました。

 今日は、チップもタップも実家の手伝いがあるようで、ギルドに来ませんでしたし、相変わらず、彼女は忙しそうにしていて、捕まらないし……


「シェリーさん、どうしたんですか? ため息ついて? 」


 声をかけてきたのは、店の女の子です。


「ちょっとね〜〜」

「アイス食べますか? また、店長が新しいアイスを考案したんですよ」

「そうなんだ。どんなアイスなの? 」

「ゴーヤアイスって言うんですけど……」

「それって、苦い野菜よね? 」

「そうなんですけど、インパクトが大事だ、とか言って作ったみたいです」

「そうなんだ。ちょっと、遠慮しようかな、苦いのダメだし〜〜」

「そうですよね。私も言ったんですけど言う事聞かなくて」

「大変ね」

「慣れてますから〜〜」


 そう言って彼女は、厨房の戻っていった。


 今日、これから、どうしようかな……


 そんな事を考えてた時でした。


 店のドアが開いたと思ったら彼女が来て、


「やっぱり、ここにいた〜〜」

「どうしたの? メリーナ」

「あれっ、チップとタップは? 」

「お母さんが腰痛めちゃったらしくって、しばらく手伝うみたいよ」


「そうか〜〜タップのお母さん、宿屋だから大変よね。じゃあ、チップは、その手伝いか〜〜」


「そうみたい」


「ねぇ、シェリー、お願いがあるんだけど、迷宮行かない? 」

「迷宮って、首都にある迷宮? 」

「違うわ。ミスティナ皇国の迷宮よ」

「あそこか〜〜なに、メリーナは行きたいの? 」

「うん、本当は、みんなで行きたかったけど、チップもタップも忙しそうだし……」


「わかったわ。メリーナが行きたいならお付き合いしましょう」

「本当? わ〜〜い、ありがとう、シェリー」


 私も迷宮で少しでも強くなれれば……

 メリーナに追い付きたい……


 私は、メリーナの後ろをついていくのではなく、横に立ちたいのよ……


 私の思いは、メリーナは知らない。


 でも、いつか、きっと……








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