閑話 リール、迷宮都市へ
ミスティナ皇国北部にある迷宮都市は、迷宮と呼ばれる魔物が溢れ出てくる地下洞窟を中心に栄えた街である。
冒険者達は、迷宮で魔物を倒し、その素材を売って生活している。その為、商店や飲食店、宿屋などができて、いつの間にか街として栄たようだ。
リールは、現在、迷宮都市で依頼の手紙を探している。
ここに依頼の手紙が掲げられているとミルフィーに言われたからだ。
いつもなら、ライルの役目なのだが、サウザンド国の問題や家族との時間を大切にしてもらいたいというみんなの意見で、リールが向かう事になった。
「無いなぁ〜〜、確か、冒険者ギルドの裏手の道を進んで、右に雑貨屋さん、左に八百屋さんがある十字路を過ぎてはじめてのT字路を右に入って3軒目って言ってたのに〜〜」
リールは、これでも方向感覚に優れている。記憶力もずば抜けて良い。
IQを調べれば、きっと天才と言われる数値を弾き出していただろう。
「あっ、これかな? 」
リールは、家の庭に、竹の棒の先に取り付けてある手紙を見つけた。
まだ、昼なので人通りもチラホラある。
「夜まで待つか〜〜」
リールは、場所の確認が終わり、夜まで待つつもりだったがせっかく迷宮都市に来たのだから、迷宮に潜りたいと考えていた。
リールは、その足で、迷宮の入り口まで向かった。
「迷宮、迷宮、ラララン♫ラララン♫」
魔物を狩れる嬉しさのせいか、歌いながら、スキップしてるとガラの悪い冒険者達に目をつけられてしまった。
「おう、姉ちゃん、何だ、小娘じゃねぇか」
「兄貴、こいつ、ダークエルフですぜ」
「小娘って割には、出るとこ出てるじゃねぇ〜か」
「おい、無視すんな、お前だよ! このエロガキ! 」
リールは、浴びせられた言葉を無視していたが、エロガキと言われた事には、少しムカついてた。
「何? オッちゃん達、私に何か用なわけ? 」
「あぁ、そんなに嬉しそうにどこ行くんだい? 」
「俺たちが、遊んでやろうか? 」
「もっと楽しい事俺達が教えてやるよ〜〜」
「さっさと、俺たちとくりゃあいいんだよ。このエロ小娘」
ゲスな男達が、リールを舐めるように見渡す。
「げっ! キモいおっさん達だな〜〜。私は、用があるの、おっさん達と遊んでる暇なんかないんだよ」
「何、すぐ済むぜ、痛いのは最初だけだからよ〜〜」
「俺なら速攻、終わらせてやるよ」
「馬鹿野朗!速さなら、俺は、誰にも負けねぇぜ」
「兄貴達〜〜速さは、自慢じゃないっすよ〜〜」
おっさん達は、何の自慢をしているのやら……
「もう、しつこいなぁ、私は、早く行きたいんだよ。迷宮に! 」
リールもそろそろ限界に近づいてきた。これ以上、邪魔されたらキレそうだ。
そんな時、突然、声がかかる。
「君達、やめ給え、女の子が困ってるじゃないか! 」
みんな、声をかけた人物を見た。
そこには、イケメンの騎士がいた。
しかも、10人程の美人騎士を引き連れたハーレム男である。
「ケッ、イケメン騎士様が俺達に何か用か? 」
「チェッ、ハーレム野郎かよ〜〜」
「う、羨ましくなんかねぇぞ、俺だって〜〜」
「兄貴〜〜、こんな美人達、初めて見たっす」
そのイケメン騎士は、リールを見て、
「もう、大丈夫だからね。キラッ」
特上の笑顔を向けた。そして、ガラの悪い冒険者4人に向かって、
「幼気な黒ギャル……違っ、幼気な女の子に向かって、暴言を吐くなど言語道断、冒険者ギルドに報告して厳重な処分をしてもらおう」
イケメン兄さんが助けるんじゃないの、ってリールは、思っていた。
「兄貴〜〜ギルドに知られたら俺達、やばいっすよ〜〜」
「まぁ、そうだな」
「今日のところは、勘弁してやるか」
「おととい、きやがれ〜〜」
でも、効果はあったようだ。ガラの悪い冒険者達はそう言い残して去って行った。
一応、礼を言っとくか……
「ありがとうございました」
「正義は、勝つものだからね。キラッ」
イケメン男の笑顔攻撃が続く。
「怪我はないですか? 」
教会の巫女服を着た優しそうな女性が尋ねた。
「大丈夫です」
「下品な奴らもいるもんだな〜〜」
綺麗な女性騎士がそう言った。
「では、リヒト様、参りましょう」
巫女服を着た女性がイケメン男に言った。
「では、君も安心していくがいいよ」
イケメンハーレム男は、美人女性を引き連れて迷宮に入って行った。
その時、イケメン男は、
「黒ギャル、最高ーー! 」
と、リールには、訳のわからない言葉を残して行った。
「今日は、迷宮潜るのやめとくか〜〜」
リールは、すっかり、ヤル気をなくしていた。
そして、真夜中、リールは手紙を回収する。
依頼内容を確認すると、
……………………
使者さま
俺や兄貴達に彼女ができますように、
それと、兄貴達の早漏が治りますように
ゴンタ
……………………
と、書かれてあった。
「マジか……帰ろ〜〜う。でも消化不良だし……」
リールは、迷宮都市にある宿屋に泊まる事にした。
リールの去った後には、破り棄てられていた手紙が散乱していた。




