第12章 初恋の続きを、私が決める
日曜日の朝、午前六時半。 目覚まし時計の電子音が鳴るよりも前に目が覚めた俺は、静まり返った台所に立ち、一人で卵を焼いた。 昨夜、日菜子が泣き腫らした目で頼んできた、甘い味付けの卵焼きだ。みりんを多めに入れ、砂糖をふたつまみ溶かした溶き卵を、熱した四角いフライパンに三回に分けて流し込む。菜箸で手前へと巻き寄せるたび、甘く香ばしい匂いが湯気とともに立ち上った。
焼き上がった卵焼きをまな板の上で等分に切り分けると、端っこの小さくて不恰好な一切れが、まな板の隅に残った。 普段なら、「お父さん、味見!」とパジャマ姿の日菜子が背後から手を伸ばしてきて、どちらが先につまみ食いするか箸先で小競り合いになるところだ。 身支度を整えて洗面所から出てきた日菜子は、まだ少し赤みの残るまぶたを伏せがちにしたまま、お弁当箱のフタを開けて調理台の横に立った。
「日菜子、これも隙間に入れていいか?」 「……入るかな」 「ご飯を少し右に寄せれば、すっぽり収まるぞ」 「じゃあ……お願い」
日菜子は箸を差し出し、白いご飯をぎゅっと寄せて小さな四角いスペースを作ってくれた。俺がそこへ、少し焦げ目のついた端っこをそっと押し込むのを見届けると、娘は何も言わずにパチンと両側の留め具を鳴らしてフタをした。
「行ってきます」 「ああ。いってらっしゃい、気をつけてな」
玄関まで見送りに立つべきか迷っているうちに、重いアルミドアがバタンと静かに閉まった。 流しに残された卵焼き器に水を張り、スポンジで焦げ付きを落とす。俺の分の朝食は、残った白いご飯の上に納豆を乗せただけの、味気ないものになった。
その日の正午過ぎ、会社の社用携帯ではなく、個人のスマートフォンがポケットの中で短く震えた。 画面を見ると、明美ちゃんからのメッセージが届いていた。
『海斗さん、こんにちは。急なお願いで申し訳ありません。来週の土曜日の午後、駅前の市民ギャラリーへ来ていただけないでしょうか』
先週の夏祭りの夜、彼女から「文化祭が終わったら、料理をしている海斗さんの手元の写真を撮らせてください」と頼まれていたのを思い出した。 俺はすぐに返信を打った。
『先週約束していた、写真の撮影の件かな? どんな服装で行けばいいか教えてくれれば、それに合わせるよ』
送信して数分後、少し間を置いて、彼女から折り返しの通知が入った。
『今度は、写真の撮影ではないんです。海斗さんと、少しだけお話ししたいことがあります』
文末には、小さな水色のペンギンが両手を腹の前で揃え、深々とお辞儀をしているスタンプがひとつ添えられていた。 日菜子のスマートフォンにも入っている、お揃いのスタンプだ。昔から、あの二人が親や先生に対して、どうしても断られたくない大事なお願いをする時にだけ使う、彼女たちだけの特別な流儀だった。
*
迎えた土曜日の午後二時。 駅前の再開発ビルの二階にある市民ギャラリーへ足を踏み入れると、ロビーの奥の柱の陰に、いつもの一眼レフカメラを首から提げた明美ちゃんが一人で立っていた。 白い半袖のブラウスに、落ち着いたチャコールグレーのプリーツスカート。夏休みの制服姿とは少し違う、どこか背伸びをしたような清楚な私服姿だった。
「明美ちゃん、待たせてすまない。今日は写真の撮影じゃないって聞いたから、こんな普段着で来ちゃったよ」
俺は首回りが洗濯で少し伸びた、着古した紺の開襟シャツの襟をつまんで見せた。少しでもその場の空気を和ませたかったのだ。 明美ちゃんは困ったように小さく微笑み、首のストラップを指先でなぞった。
「人は撮りません。……今日、私が撮りたいのは床です」 「床?」 「はい。あそこ……見えますか?」
彼女が細い人差し指で指し示したのは、吹き抜けになったギャラリーの大きな北向きの採光窓だった。 高い桟の影が、磨き上げられたリノリウムの床の目地を斜めに横切っている。その上を、シルバーの手押し車を押した年配の女性がゆっくりと通り過ぎていき、ゴムの車輪が、黒い影の線をひとつずつ順番に踏み越えていった。
「あ、綺麗な瞬間だったな。先にカメラで撮ればよかったのに」 「いいんです。シャッターを切る前の、じっと待っている時間がいちばん面白かったりしますから」
そう語る彼女の横顔は、まぎれもなく一人の真剣な表現者のものだった。 ギャラリーの壁面には、地元の郷土史同好会が主催する『昭和の駅前商店街』と題されたモノクロ写真のパネルが、何十枚もずらりと並んでいた。 昭和三十年代の古い写真の中では、映画館の巨大な看板を手描きする職人が、屋根まで届く長い木製の梯子に男二人で上り、太い刷毛を振るっている。 俺は明美ちゃんと並んで、展示の通路をゆっくりと歩いた。彼女は俺の方が地元の古い歴史に詳しいと期待していたようだが、写真のキャプションの日付を見れば、昭和三十五年。まだ俺の両親が出会う前、俺自身が影も形もない頃の記録だ。
「なんでも知ってる生き字引だと思ったかい?」 「少しだけ、期待してました」 「俺だって生まれてないよ。でも、あの巨大な看板をロープで引っ張り上げる時、どんな歓声が商店街に響いていたのかは、ちょっと聞いてみたい気がするな。今はもう、こうして無音の写真でしか残っていないけれど」 「私のお母さんは、この写真を見た時、下で梯子を必死に押さえている助手さんの上着を気にしてましたよ。『上から白いペンキが点々とこぼれて、クリーニング代が大変そうね』って」
言われて目を凝らすと、確かに下で梯子を支える男の黒いジャンパーには、星空のように白いペンキの飛沫が散っていた。いかにも現実的な家計を預かる霧子さんらしい視点に、俺は思わず吹き出してしまった。
展示を見終えたあと、俺たちはギャラリーの奥に併設された、ガラス張りの小さな喫茶室へと向かった。 レジカウンターの前で、明美ちゃんは千円札を財布から素早く取り出し、「ここは私が頼みますから」と自分のアイスティーを先に注文してしまった。俺はその背後から並び、ホットコーヒーを注文して別々に会計を済ませた。 窓際の席の向こうの通路では、母親に手を引かれた小さな男の子が、自動ドアのセンサーの前を行ったり来たりして遊んでいた。真ん中で立ち止まると、自動ドアは挟まないように律儀に開いたまま、じっと子どもの動きを待っていた。
奥まった二人掛けのテーブル席に腰を下ろすと、明美ちゃんはトレイの上のグラスの位置を手で少しだけ回した。 紙袋に入った一本のストローが、テーブルのちょうど真ん中、俺と彼女の境界線のように置かれる。
「私……今日は、途中で食器を運んだり、お茶を淹れ直したりしなくていい場所がよかったんです」
明美ちゃんがぽつりと呟いた。
「海斗さんのお家や、うちの居間だと……何か大事なことを話そうとしても、『お茶のお代わりいるかな』とか『流しの洗い物、先に片付けた方がいいかな』って、手が動いちゃって、気になっちゃうから」 「そうだな。ここなら、どっちが飲み終わっても、閉店まで好きなだけ座っていられる」 「はい。……日菜子とお話しになりましたよね、先週の夜」 「……ああ。ちゃんと話したよ」 「中身は、聞かなくていいです。今日、海斗さんをここへお呼びしたのは……日菜子のことじゃなくて、私自身の気持ちを、私の口から直接言いに来たからです」
俺は足元に置いた革の鞄の位置をそっと直した。 木製の椅子がきいと小さく軋み、喫茶室のエアコンの低い唸りだけが耳に残る。俺は背筋を伸ばし、彼女の言葉を待った。
「海斗さんが好きです。私は……海斗さんの恋人になりたいと思ってます」
その瞬間、遠くの窓際の席で、誰かがパフェ用のアイスクリームスプーンを床に落とした。 カラン、という金属の高い音が店内に響き渡った。 けれど、明美ちゃんはその音に視線を動かすことすらなく、ただ真っ直ぐに、吸い込まれそうなほど真剣な黒い瞳で、俺の目を捉えて離さなかった。
「小学生の時からです。あの秋の運動会の話は、この前しましたよね。でも……たぶん、あの一回きりの二人三脚だけだったら、私、大きくなるにつれてただの『親切にしてくれたおじさんとの思い出』として、綺麗に忘れていたと思うんです」 「うん」 「去年の冬……私が手袋をしたまま、大事なカメラの予備バッテリーを、道路の側溝の深い溝の中に落としちゃった日のこと、覚えてますか?」 「ああ……覚えているよ。コンクリートの重い蓋を、二人で腰を痛めそうになりながら持ち上げようとしたやつだな」 「そうです。あの時、海斗さんは私の泥だらけの手を見て、一番最初に『明美ちゃん、SDカードの写真は無事か?』って聞いてくれたんです。高いバッテリーを買い直すお金がいくらするとか、どうしてそんなドジな落とし方をしたんだとか、そんなこと一つも責めないで……私がその時、何を一番心配して泣きそうになっていたかを、真っ先に一緒に考えてくれた」
よく覚えていた。 あの日の冷たい雨上がりの夕暮れ、コンクリートの側溝の蓋には指をかける隙間がなく、びくともしなかったのだ。 結局、明美ちゃんが道端から拾ってきた二本の細い木の枝を器用に菜箸のように使い、暗い泥水の中からバッテリーを挟み上げて救出したのだった。俺は冷たいアスファルトの上に両膝をついてズボンを泥だらけにしながら、「こんなに苦労したんだから、どうせなら出前で特上カツ丼でも頼んでくれよ」と腰を押さえてぼやいたのだ。
「あの時、どっちかっていうと一番活躍したのは明美ちゃんの方だったけどな。俺のぎっくり腰の救助も含めて」 「ええ。だから……私にとっては、あれが一番大切な、大好きな思い出なんです」
彼女は懐かしそうに少しだけ微笑み、そして次の瞬間、キュッと強く唇を結んだ。
「大人になっても、かっこつけないで、一緒になって泥だらけになってくれる人がいい。私は……そういうふうに、海斗さんが好きなんです」
胸の奥が、熱く焼けるように痛んだ。 俺が自分で思い返す過去の自分の姿など、いつだって見栄えが悪く、泥臭く、情けない場面ばかりだ。 それなのに、膝を擦りむいて腰をさすっているようなみっともない俺の隣で、それをかけがえのない宝物のように胸に刻み込み、大切に育んできてくれた少女がいた。彼女がまっすぐに差し出してくれたその純粋で美しい想いは、俺一人ではどう足掻いても見ることのできない、眩しすぎる景色だった。
「……話してくれて、本当にありがとう。あの冬の日のこと、俺もすごく大好きな思い出だよ」
俺は運ばれてきていたブラックコーヒーのカップに手を伸ばしかけ、触れずに引っ込めた。 背筋を伸ばし、逃げずに彼女の顔を見つめ返す。
「でもな、明美ちゃん。俺は、明美ちゃんと恋人になる気持ちはないんだ。あの冬の溝の蓋を二人で持ち上げようとした時も、こんなに大きく、頼もしくなったんだなって、隣で心から嬉しかった。俺にとって君は……これからもずっと、隣で見守り、応援していきたい大切な存在なんだ」 「……私が、まだ十六歳の子どもだからですか?」 「そういう立場で俺は君と出会ったし、十年間、日菜子の親友としてそばにいてくれた。そこに年齢や立場の差があるのは事実だ。でもな、あと何年待って大人になってくれたらとか、そういう時間稼ぎの話をしているんじゃない。俺が……君とは、そういう関係でいたいんだ」
明美ちゃんはテーブルの上に置かれていたストローを指先でつまみ上げたが、飲み物のグラスには差さず、両手の平の中でぎゅっと握りしめた。細いプラスチックが、ミシリと音を立てる。
「あのさ、明美ちゃん。もし……」
これからも今まで通り、うちにご飯を食べに来てくれたら——。 そんな都合のいい大人の慰めを口から滑り出させそうになり、俺は猛烈な自己嫌悪とともにそれを飲み込んだ。今ここで、中途半端な情けをかけることほど、彼女の勇気を踏みにじる行為はない。
明美ちゃんは俺の続きの言葉を待たなかった。 手の中でくしゃくしゃになったストローの紙袋を、指先で丁寧に、四角く小さく丸め直した。
「……悔しいです」 「うん」 「もっと……もっと綺麗に、笑って振られようと思ってここへ来たんです。私、何を言われても、『ですよねー!』って笑って冗談にできるつもりで、鏡の前で練習してきたのに」 「……俺が見てると笑いにくいなら、あっちを向いてようか?」 「今そっぽを向かれたら、私、本気で怒ってこのお茶をひっくり返すと思います」 「……そっか。ごめん」 「はい」
俺たちは向かい合ったまま、どちらも目を逸らさずに座り続けた。 湯気を立てていたホットコーヒーはすっかり冷め、テーブルの上に放置された麦茶のようなぬるい温度になっていた。 明美ちゃんは氷の溶けた薄いアイスティーをひと口だけ静かに含み、それから紙ナプキンを一枚引き抜いて、赤くなった自分のまぶたの上へとそっと押し当てた。
「……ひとつだけ、約束してください」 「何だい?」 「お母さんには、私から全部話します。お母さんが海斗さんにどんな気持ちを抱いているかも、私、娘だから大体わかってます。だから……海斗さんの方から、気を遣って間に入ったりしないでください」 「分かった。今日のことは、俺から霧子さんにも、誰にも絶対に話さない。話してもいいと思ったタイミングで、明美ちゃん自身の言葉で話してくれ」 「……日菜子にも?」 「ああ。日菜子が俺にしてくれた話の内容を、俺がここで君に明かさなかったのと同じだ」
通路の自動ドアの前で遊んでいた男の子が、ようやく母親に捕獲され、「もう行きますよ!」と笑いながら抱き上げられて去っていった。 自動ドアがスーッと閉まり、ガラス越しに見える駅前の広場に、午後の柔らかな光が差し込んでいた。
「今日……ここにして、本当によかったです」 「え?」 「もしお皿や流し台がある場所だったら、私、きっと今頃、悔しさを誤魔化すために十枚くらいお皿を片付けに立ってました」 「そんなに何枚もお皿を出すうちは、ただの洋食屋の厨房だよ」
明美ちゃんは紙ナプキンを目元から離し、フッと鼻を鳴らして小さく笑った。 俺が壁の時計に目をやると、彼女はスッと先に席を立った。
「じゃあ、私……上の展示室へ戻って、もう少しだけ床の影を待ってます」 「床の影を?」 「はい。さっきの北側の窓の桟の影……あと三十分くらいすると、床のタイルの目地と、ちょうど一直線に重なるんです」
カメラを構え直す彼女の右手の指先に、学校で使ったらしい黒い製図用インクの染みが、爪の端っこに小さく残っていた。 俺に想いを打ち明けて玉砕したその足で、彼女にはちゃんと、自分の足で立ち止まってカメラに収めたい、愛しい世界の景色が残されていたのだ。 その強さと凛々しさに、俺は心の底から救われ、圧倒されていた。けれど、その安堵の気持ちまで、彼女に背負わせて持ち帰らせるわけにはいかなかった。
「……じゃあ、俺は先に失礼するよ。気をつけて帰るんだぞ」 「はい。海斗さん、今日はお時間を作って来てくださって、本当にありがとうございました」
彼女はいつもの、礼儀正しいお隣の明美ちゃんとして、綺麗にお辞儀をしてくれた。 俺は一人で喫茶室を出て、階段を降りた。 一階のエントランスホールの大きなガラス窓にも、同じように斜めの長い影が落ちていた。踊り場で二段だけ立ち止まって見上げてみると、その影の輪郭は、案外ずいぶんと速いスピードで、夕方に向かって動いていた。
*
翌日の日曜日の夕暮れ。 今夜の夕食はさっぱりと冷やし中華にしようと決めていた。スーパーの生麺売り場で人数分をカゴに入れようとしたところで、ポケットのスマートフォンがピロリンと鳴った。 明美ちゃんからのメッセージだった。
『海斗さん、こんばんは。今夜は夕食へ伺えなくなりました。市民ギャラリーでやっていた写真の公開講評会、当日キャンセル枠が一人分だけ空いたので、急遽申し込みました。終わるのが夜遅くになりそうなので』
そして、数秒の間を置いて、もう一行だけメッセージが追記された。
『昨日の夜から決めていたことです。海斗さんたちに気を遣って避けているわけではないので、心配しないでください』
俺は、まさに画面に打ち込もうとしていた「無理してないか?」「気を遣わなくていいんだぞ」という過保護な文面を素早く全消去し、短く打ち直した。 『了解。遅くまでお腹が空くだろうから、パンでも買って持っていきなさい』
隣でカゴを覗き込んでいた日菜子が、横から赤いカニカマのパックを放り込んできた。
「あ、明美、今夜来られないの? じゃあ、きゅうりは一本だけで足りるね」 「日菜子、なんで明美ちゃんが来られないって知ってるんだ?」 「さっき、私に一番にLINEしてきたもん。『当日枠ゲットした! 先生に写真見せてくる!』って」
明るく答えたあと、日菜子はふと視線を落とし、カゴの中のカニカマを見つめて少しだけ沈んだ横顔を見せた。 娘たちの間で、どんな言葉が交わされたのか。俺はその場では何も尋ねず、ただ瑞々しいきゅうりを一本だけ手に取ってビニール袋に入れた。
夕方、二人きりで向かい合って冷やし中華をすすり、食べ終わる頃。 居間のちゃぶ台の上で、日菜子のスマートフォンがブルブルと震えた。 画面をスワイプした日菜子は、器に残った錦糸卵をつまみながら画面を目で追い、空になった取り皿の上で、何も挟んでいない割り箸をカチッと鳴らした。
「……明美の写真、講評のプロの先生から『あと半歩右から撮るべきだった』って講評されたんだって」 「へえ。俺なら、明美ちゃんのために半歩くらい喜んでどいてやるけどな」 「場所の邪魔の話じゃないよ。あ、でも明美、自分は絶対に左から撮るべきだったって思って、その場で先生に言い返したんだって」 「ほう。それで、どっちが勝ったんだ?」 「それを今からうちへ報告に来るんだってさ。『説明がめちゃくちゃ長くなるから、覚悟して待ってて』だって」
日菜子の声に、さっきまでの遠慮がちな影はすっかり消え去っていた。 俺は自分の皿に残っていた最後の一本のカニカマを箸でつまみ、日菜子の茶碗の端っこにそっと置いてやった。 親友の悔しそうな武勇伝を待ちわびる娘の生き生きとした笑顔を、俺は何日ぶりかで見ることができたような気がしていた。
お読みいただきありがとうございました。
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