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おれごん未来の第7作執筆模様もんもんエッセイ  作者: おれごん未来


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13/23

第13話 おれごんは実兄が嫌い

 おれごんは兄が嫌いです。

 流行に聡く、いつもわたしの人生の一歩前をいく、わたしを小馬鹿にしてくるあの人が嫌いです。


 あれは一緒に帰省した際のこと。

 退屈な長距離ドライブの車内では、相手が実の兄ともなれば会話が途切れて当たり前。そんな沈黙を紛らわせてくれる存在が音楽でした。


 今では液晶が普及しましたからね、ドライバー以外は映像も楽しめますが当時はまだまだブラウン管、車中は音楽の独壇場。山深いところを通るとラジオは途切れるため、もっぱら車載の音楽プレーヤーが頼り。

 時はカセットテープがほぼ絶滅し、CD、もしくはMDに移った頃。


 兄とわたしもMDを持っており、帰省する際は運転しないわたしも持参していました。


「飽きたなあ。おれごんのMDあるって言ってたよな、入れてみなよ」


 お?


 出番がきたか。

 ふふふ、おれごんチョイスのマイベストを食らうがよいわッ!


 結果、大爆笑でした。


「なにこの曲」「これ誰よ」「知らん」「このバンドは誰?」「曲名は?」「誰」「おれごん殿はすごいね、センスがおありのようだ」


 めちゃくちゃバカにされました。


「ださ過ぎて笑える。特に、すきま? すいっち?」


 乱暴に早送りされてしまい、MDにはトータル1時間超入れてあったのに、5分も聞いてもらえませんでした。

 そもそも「聴かせてよ」じゃなくて「入れてみなよ」の時点で正当に評価される響きはなかった。おそらく斜に構えていた。


 それからだいたい1年後。

 また会う機会があって、どこかご飯を食べに行くときにやはり車内で。

 音楽が。同じ人の歌声が繰り返し流れるので、これはラジオじゃなくてMDが音源。


「スキマスイッチ買ってるじゃんか!」

「ん? ああ、いいよなスキマスイッチ」


 イヤイヤイヤ、はああああああ!?!?

 あれだけバカにしておいて?

 わたしのみならずスキマスイッチのネーミングセンスにすら言及しておいて?

 いいよな?

 はあああああああああああああ????


 しかもね、忘れている。わたしを笑ったのも、わたしが先だったのも、曲の良し悪しを聴き分けられなかったことも。

 どんなに主張しても、音楽は平等でしょくらいの馬耳東風、のれんに腕押し。


 要はね、自分の耳で判断した良し悪しではないのです。売れているか、売れていないか。

 服装もそう、髪型もそう。趣味。車。肩書。年収。徹頭徹尾マウントをとってくる。


 おれごんはこれまでファッションも髪型もバカにされてきました。でもわたしはいいと思っている。好きでやっているんだもの。


 間違いなく、彼はわたしが小説を書いていると知ったら。

 嘲笑するでしょう。読みもしないと思います。だって売れていないから。

 売れていないから面白くない。面白くないから売れていない。証明終わり。


 わたしには密かな信条があるんです。常に敗者でいたいと。社会的に弱い立場でありたい。

 おれごんは根が単純なのですぐに調子に乗ります。本来は鼻持ちならない人物。たぶん大金持ちだったならスネ夫レベルのいけすかない奴。

 だから戒めとして弱者であり続けたいと願っています。この位置でなら、わたしは自分が嫌な奴にならずに居続けられる。


 だからわたしは、わたしの対局に存在する兄が嫌いです。

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