樫の樹のある公園
「それで芽依ちゃん、忙しいと思うのだけど…」
「ちゃんとわかってるよ。詩ちゃんに会って数字の秘密の話をしないとね。ごめんね、遅くなって。」
「こちらこそ、ごめん。この週末は実家に行く用事があったから、なかなか予定が合わなくて。」
「妹さんの大事な顔合わせの集まりなんだから、帰省するのは当たり前じゃない。」
「いつも、ありがとう。催促するのも悪いのだけど、ねえ、今度いつ会えるかな?」
すると、芽依ちゃんがおもむろにこう提案してきた。
「そのことなんだけどさ、話題になっている公園で会えないかな。」
「え、公園?」
「そう、樫の樹のある公園。」
芽依ちゃんの提案に詩は少し驚いたが、断る理由はなかった。
「もちろん良いよ。プチも連れていって良い?」
「うん、プチも一緒に来て欲しい。」
「ありがとう、プチも芽依ちゃんとお出かけなら喜ぶと思う。」
詩の返事を聞いた芽依ちゃんが嬉しい提案をしてくれた。
「やった、決まりね!だったら、そこで詩ちゃんのお誕生会をしようよ。」
「え!お祝いしてくれるの?」
「だって、来月は詩ちゃんのお誕生日でしょ。」
詩は、芽依ちゃんの心配りが嬉しくて、涙が出そうになった。
「芽依ちゃん…ありがとう。」
「プチもいるから盛り上がるよ!」
「うん、本当にありがとう…」
詩の喜ぶ雰囲気を感じて芽依ちゃんは、更に言葉をつないだ。
「私ね、その樫の樹の模様を見てみたいの。」
詩は、ドキドキした。
「あの数字の謎を解き明かしてくれるのね。」
「うん、これまでに私が理解したことの全てをそこで話すね。」
芽依ちゃんが樫の樹の下で、すべてを明らかにしてくれる。いよいよ、神様の秘密が明らかになる。詩の胸がときめいた。
しかも、その場所が樫の樹の下なんて。なんと素敵な舞台設定なのだろう。詩は、芽依ちゃんの粋な計らいに感動した。
樫の樹といえば、ヨーロッパには樫の樹の信仰があることを思い出す。ヨーロッパで常緑樹の樫の樹は一年中、緑の葉を茂らせる神聖な樹とされている。その樫の樹の信仰があって、クリスマスカラーの緑は「永遠の命」を意味する樫の樹の緑に由来するという。
その樫の樹は、謎の民族の国であるバスクの旗にも描かれている。赤の背景に交差する緑は樫の樹の緑だ。それは、まるで四つの世界を隔てる稜のように見えた。
参考: Pomegranate I
第五章約束 樫の古木
バスク料理のお店
第六章終章 樫の樹の中




