第十八話 クラス分け
僕たちは高校2年生になった。
春休み明けの始業式。
この時期だけは、この高校で本当に良かったと心の底から思える。
「夢◯坂みたいだ!」
学校は小高い丘の上にあり、生徒が登校するときは、かなり急な坂を螺旋的に上らなければならない。そして、なんと言っても素晴らしいのが桜並木だ。さすがに夢◯坂ほどではないが、桜の花が風で舞い散るのは、とてもワクワクする。
「ふふっ、あと1年で僕も草薙◯哉か。」
「来年は幼馴染兼精神的妹という、かわいい後輩ができるのだろうな。」
「そして、もう一人の幼馴染も帰ってくる。」
「もう、ツッコんでもいいのかな?」
紡は「またやるの?このノリ?」みたいな顔をして、僕に現実を突きつける。
「夢◯坂じゃないよ?」
「階段もないし、桜並木なんてないんだよ?」
「縹は草薙◯哉にはなれないんだよ?」
せっかく想像力で補完したのに。
野暮なことは言わないでほしい。
紡は僕の現実逃避の現状補完を許さなかった。
「春といえばサ◯ラノ詩じゃないか!ここは私立弓◯学園だ!誰がなんと言おうとも!」
「ここはただの偏差値の高い県立高校なんだよ。芸術とは縁もゆかりも無い。」
「へぇ、よく知ってるじゃん?」
「体験版の実況動画を見たんだよ。」
「原作に出てる、声優の◯サラ氏のプレイ配信めっちゃ良くない?」
「それ、見たんだよ!」
僕らはサ◯ラノの詩談義に花を咲かせる。
長い上り坂だったが、あっという間に高校に到着した。
玄関前にはクラス分けの貼り紙がある。
「紡と同じクラスだ。」
そう言うと、彼女はニヤリとした。
「高校2年生の間に好きって言わせるから。」
突然、そんなことを言い出した。
彼女のニヤケ面はとてもバカっぽかったが、視線は捕食者のそれであった。
踏み込んで来なかったのはなんやかんやで、忘れてしまったからだと思っていたのだが。
どうやら、嵐の前の静けさだったらしい。
とりあえず、彼女と教室へ向かった。




