第十四話 私が反抗期になったら
文化祭が終わって2日後の日曜日。
時刻は18時。
僕は綾地紡から届いた「うちきて」という4文字のメッセージを見て、彼女の家の前まで来ていた。
2階建てで、外壁は黄色で、屋根が茶色。
形は直方体の、カステラのような家である。
インターフォンを押す。
「おお、お早いですな。」
綾地紡は、上下とも黒の長袖と長ズボンというラフな格好で出迎えてくれた。
リビングに入ると、非常に物が多く、生活感のあふれた空間が広がっていた。
物が多いっていいなと、素直に思った。
綾地の母は不在で、父親だけがいた。
ちなみに父は警察官、母は弁護士らしい。
綾地の父親は、物腰も声もとても柔らかい。
彼は40代らしい精悍な顔立ちに亜麻色の短髪が映えるような、いわゆる「イケオジ」と呼ぶに相応しい風貌をしている。
「まぁ、まずは男同士の会話をしようか。紡は邪魔だから自分の部屋にでも行きなさい。」
「私が反抗期になったら、パパは邪魔って言われるんだよ?人に言われて嫌なことは言ってはいけないんだよ。」
それ、ちょっとおかしくないか?
しかし、彼女はそんな軽口を叩きながらも、素直に自室へと向かった。
「娘が世話になってるみたいだね。そして態度も柔らかくなった。それも君の影響なのかな?」
「それは彼女が勝ち取ったものですよ。」
これは謙遜でもなんでもない。
彼女が自分の意思で選び取ったものだ。
僕は彼女と初めて出会った時のことを思い出していた。




