第十三話 私のボーイフレンド
「僕は夏目家の人間だが?」
僕は彼女の意図が分からないなりにそう言った。
「私の家で一緒にご飯食べない?」
「それは綾地家のお世話になるということ?
それともパーティのお誘い?」
「前者だよ。」
「それは難しいかも。」
母に、女の子の家でご飯を食べると言って認めてもらえるとは思えない。
束縛と人間不信が激しい人だから。
「え?パパとママには、もうそうするように伝えてるよ?」
「僕の自由意志はないんだね。分かりました。」
外堀を埋められていた。
彼女の両親とは顔見知りで、非常によくしてもらっている。
「でも、どうやって説き伏せたんだ?顔見知りでも、他人だろ?」
「私のボーイフレンドを連れ込みたいと言ったんだよ。君のお母さんには秘密で構わないんだってさ。まずは赤飯を振る舞ってくれるみたい。」
大きな誤解をされてるみたいだ。それより、
「事情を話したのか?」
「それとなく、のっぴきならない事情があるという事実だけは伝えたけど、内容は言ってない。」
それでよく許可を出してくれたものだ。
綾地紡は基本的に親に放任されているが、すごく信頼されているということが伝わった。
「あそこに長くいるのは良くない。」
「匂いがだめ。」
彼女は嫌悪感を隠しきれない声でそう言った。
こうなったら、折れることはないだろう。
「じゃあ、綾地家のお世話になります。よろしくお願いします。」
「君が泊まるのもいいらしいから、どんどん使ってくれたまえ。」
「よくねーだろ。」
「私の布団に入るのはダメだよ。」
「あたかも僕がそう考えてるみたいな言い方はやめてくれないか?」
そんな軽口を叩き合い、ゲームを再開した。
ちなみに当たり前だが、サノ◯ウィッチのメインヒロイン攻略耐久RTAはあまりに無謀であった。
綾地紡は無言で通話を切った。




