第十二話 うちの子にならない?
「どうも皆さんこんばんは!綾地紡のノベルゲーム実況解説チャンネルのライブ配信にようこそ。今、同接を確認してまーす。あっ、いるねいるね!今回はゆ◯ソフト8th projectのサノ◯ウィッチ、メインヒロイン攻略耐久RTAを皆さんにお届けしたいと思っていまーす。」
「普通に画面共有の確認をしろ。」
時計は22時を回っていた。
僕はベッドに寝転んで、綾地紡と通話している。
そして何気に、寝落ちどころか、本当に寝られないことが確定した。
何時間かかると思っているんだ…。
ちなみに彼女がプレイするのは全年齢版である。
悪しからず。
「僕の視点だと君の音声は聞こえるけど、ゲーム画面が見えないな?」
「じゃあ私が実況するから、それを楽しむしかないね。じゃあ準備おっけー。」
スルーされた。まぁいいだろう。
「問題ない。君が読んでくれたら、立ち絵の動きとイベントCGは頭の中で再現される。」
「牛丼屋の換気扇の香りでご飯を食べるみたいなものだね…。」
彼女は若干、引いていた。
褒め言葉として受け取っておこう。
「じゃあ最初からスタートするね。」
えっ、共通ルートからなの?
下手したら24時間かかるんじゃないのか?
ちなみに、メインヒロインの苗字が「綾地」であることを弄ったら口をきいてもらえなくなった。
彼女はテキストを読み上げるだけである。
ただ、気まずかった。ノンデリはよくない。
紳士諸君も気をつけてほしい。
攻略ルートに入ったところで、ようやっと彼女は口を開いた。
「君がよかったら、うちの子にならない?」
彼女から発せられた突然すぎる言葉に、僕は困惑するしかなかった。




