パート9
— 惨劇 (Sangeki - A Bloodshed)
朝、警官たちが家の中を捜索していた。四方に血飛沫が飛び散っている。半分になった少女の遺体と、引き裂かれた肉塊と化した少年の無惨な死体。二つの遺体はホールにあり、警官たちが現場検証を続けていた。
家の外、道路の向かい側では、多賀谷(Tagaya)が車の中に座っていた。タバコを吸いながら、その家に鋭い視線を向けている。
「慎重にやれ、肉片一つ落とすな。このバラバラになった肉を集めるのは至難の業だったんだからな…」
「…昨夜はすべてが静かでした。音も、騒ぎも何も。まさかこんなことになっているなんて、我々も気づきませんでした、警部。」
近隣住民たちは、何も知らなかったと口を揃える。警察はこの事件を特別部隊(SAT)に引き継ぐことを検討していた。これが二件目の「未解決の猟奇事件」だったからだ。
「…一件目はあるアパートだった。遺体はこの少年と同じように引き裂かれた女性のものだ。…そこには彼女の息子もいたらしい。学校の調べでは、名はタカオ(Takao)。現在、彼は行方不明だ…」
警官たちが家の外の路肩で上司と話し合っている。多賀谷はタバコの灰を自分のポケットに落としながら、静かに吸い続けていた。かなりの時間が経過したが、警察はまだそこに留まっている。多賀谷は車から降りて外に立った。
タバコが燃え尽きると、彼はそれを消してポケットに収めた。警察に怪しまれないよう、彼は車を走らせ、市内のパトロールへと向かった。
少し離れた場所で車を止め、マヨラ(Mayora)に電話をかける。しかし、マヨラの携帯は圏外だった。
多賀谷は少し焦りを感じ、先へと進む。マヨラはカフェで働いていた。彼はカフェの駐車場に車を止め、中へと入っていく。
「…かしこまりました。砂糖は多めにいたしますか?」
「…いや、いい。」
マヨラは客の対応に追われていた。仕事に完全に集中している。
多賀谷が入ってくると、あるテーブルに座り、ウェイターベルを鳴らした。マヨラはベルの音の方へ向かい、オーダーを取ろうとする。
「…はい、ご注文を。」
顔を上げると、そこに多賀谷がいた。マヨラは周囲のスタッフに視線を走らせ、二人は駐車場へと向かった。車内で多賀谷はマヨラにすべてを話した。
「死体を確認しに行っただけだ。日の出前に警察が現場に到着していたからな…。あの遺体の有様、間違いなく『ゴラリ(Gorari)』の仕業だ。だが、今回は今まで以上に残酷(Brute)だ。」
マヨラは多賀谷の前で静かに頷き、車を降りて仕事へと戻った。多賀谷もまた、車を出してその場を去った。
その頃、渋谷エージェンシーは嵐山の竹林で調査を行っていた。
森を隅々まで調べたが、何も見つからない。岡平(Okaira)はそこに座り、部下たちからの報告を受けていた。
「…この件、ウィッシュマスター(WishMaster)に報告すべきかもしれんな。」
新人のエージェンシーが先輩に尋ねる。「ウィッシュマスターって、一体何者なんですか…?」
「ウィッシュマスターは、このエージェンシーを創設した男の息子だ…。彼の祖父はゴラリに殺された。その復讐を誓ったが、誰も彼を理解しなかった。ゴラリの存在を信じる者などいなかったからだ。…今でも、我々以外は誰も信じちゃいない。」
「…じゃあ、彼が二つのエージェンシーを所有しているんですか?」
「ああ、それだけじゃない。エージェンシーの銃火器や弾薬の供給も彼が仕切っている。」
岡平はウィッシュマスターとの電話中だった。彼はすべての情報を伝えていた。しばらくその場に留まった後、彼らも森を後にした…。
夜が更けた。街は静まり返り、人々の間では事件の噂が飛び交っていた。しかし、警察が説明を拒否しているため、それ以上話が広がることはなかった。
多賀谷は帰宅し、コップ一杯の水を飲んだ。その時、非通知の番号から電話がかかってくる。
「誰だ…?」
「忘れたのか、多賀谷…? チキン(臆病者)が自分のマスターを忘れてはいけないと言ったはずだ…。教えただろう? さもなくば、マスターの意を汲んだ『シェフ・マスター』が、お前を料理(狩り)することになるぞ。」
多賀谷は息を呑んだ。深い溜息をつく。
「…あんたの不可解な言い回しは、いつまで経っても理解できないな。ウィッシュマスター…。」




