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ゴラリ・エージェント  作者: Adrashika
第8章:涙の欠片
39/43

パート39

— 手がかりの男 (— Man Of Clues)

「……生きていたのか?」

マヨラは彼の目を見つめた。そこには、かつてあったような怯えはもう存在しなかった。

「……ああ。」

男が答える。ウェイターが注文した料理を運び、テーブルに並べていく。その間、男は皿が置かれる様子をじっと見つめていた。マヨラの全神経は、その男だけに向けられていた。

「お前は……あの屋敷の料理人コックだな。俺と仲間たちがゴラリを仕留めた、あの夜の……。シナもそこにいた。お前もあの夜死んだと思っていたが、遺体が見つからなかった……。なぜか、今になって理由が分かったよ。」

男はマヨラの言葉をただ静かに聞いていたが、何も答えず、料理を口に運び始めた。男はあっという間にすべてを平らげてしまった。

「すまない、長いことまともな飯を食っていなくてね……。それにしても、あの夜の出来事を思い出すと……今でも生きた心地がしない。」

「あの夜のこと……?」

コックは外で松明たいまつに火を灯していた。そこへ、一人のエージェントが通りかかる。

『こんな夜更けに、ここで何をしている?』

『使用人たちが火を点けるのを忘れていたようで、私が代わりにやっていました。』

そんな風に、二人は他愛のない会話を交わしていた。その時、コックの耳に屋根の上から奇妙な足音が聞こえた。彼が上を見上げた瞬間、魂が凍りついた。屋根の上には、すでに獲物を狙うゴラリが潜んでいたのだ。コックがじりじりと後ずさりするのを見て、エージェントは不審に思う。

『どうした?』

だが、コックはエージェントの方を見ようともしなかった。次の瞬間、ゴラリがエージェントの上へと猛然と襲いかかった。その凄惨な襲撃に恐怖したコックは、屋敷の外へと逃げ出した。何度も転び、這いつくばり、がむしゃらに起き上がって走り続けた……。その間に、ゴラリはすでにジャングルの奥へと去っていった。エージェントの胸には太い木の手すりが突き刺さり、貫通した先端には肉片がぶら下がっていた。そこには無数のはえが群がっていた。

「あの事件の後、俺は二度とその土地の近くにすら近づかなかった。」

マヨラはコックを見つめ、その名を尋ねた。

「……ザーキだ。」

コックは自分の名前を告げた。マヨラは彼を連れて外へ出ると、タガヤさんを自宅の前に呼び出した。雨はすでに上がっていた。マヨラは彼をタガヤさんの家へと連れて行く。ザーキは怯えてはいたが、マヨラに対してどこか信頼を寄せ始めていた。

少し歩いたところでマヨラは足を止めた。そこは人通りの途絶えた、静まり返った道路だった。彼は振り返るなり、ザーキの腹部へ向けて強烈な拳を叩き込んだ。激しい衝撃に、ザーキはうずくまったまま立ち上がることすらできない。

「……これは、あの一人のエージェントの分だ。」

マヨラはそう言い放ち、手を差し出した。ザーキは一瞬躊躇したが、その手を掴んだ。マヨラは彼を支えて引きずり起こし、再び歩き出した。

タガヤさんは外に立ち、彼らの到着を待っていた。二人がそこに歩み寄る。最初、タガヤさんはザーキの正体に気づかなかったが、マヨラが事情を説明した。

「警察には行ったのか?」

「いいえ……怖かったんです。警察に話したところで、ただの作り話だと片付けられると思いました……。」

ザーキはすべての真実を吐露した。長い話し合いの後、タガヤさんはザーキに、これからはマヨラと行動を共にするよう告げた。

二人は再びアパートへと向かって歩き出す。

「……そういえば、あの時お前と一緒にいたあの少年は……助かったのか?」

マヨラは何も答えなかった。遠くで雷鳴が轟いている。しばらくすると、また微かな雨粒が落ちてきた。

マヨラはフェイスマスクを着用し、駅前通りを横切った。ザーキはただ彼の背中を見つめながら、その後を追う。二人はアパートに到着した。

「君は、ここに住んでいるのか?」

「いや……だが、かつて誰かが住んでいた。」

マヨラが答える。彼はある部屋の前で立ち止まり、深く息を吸い込んでからドアを開けた。そこには、今でもあの頃と全く変わらない景色が残されていた。そのアパートの部屋は、タカオのものだった。

「……さっき、あの少年のことを聞いたな。」

ザーキはマヨラを見つめ、それから部屋全体を見渡した。

「……もういない。」

ザーキはその場に立ち尽くした。彼の目に、タカオが母親と一緒に写っている一枚の写真が留まった。

「お前が怯えて逃げ出したあのゴラリを……仕留めたのは、あいつだ。」

ザーキは写真を手に取り、埃を拭うと、再び元の場所に戻した。

「俺は、ここに住むのか?」

「お前の自由だ……。」

その言葉を聞き、ザーキは心の中でマヨラと共に行くことを決意した。

マヨラが自分の部屋に戻ると、ザーキもそれに従った。マヨラはバルコニーに置かれた椅子に腰を下ろす。夜は静まり返り、冷たい風が吹き抜けていた。

ザーキがコーヒーを淹れて持ってきた。マヨラは、自分が指示を出したわけでもないのに動いてくれたザーキに「ありがとう」と告げた。ザーキはバルコニーの手すりに腰をかける。

マヨラはコーヒーを啜りながら言った。

「これからは、俺と行動を共にしてもらう。俺の言うことをすべて聞き、理解し、従うんだ。……それにしても、随分と濃いコーヒーだな。」

「……あんたは、どこのエージェンシーの人間なんだ?」

ザーキのその問いに、マヨラは微かに微笑み、カップをテーブルに置いた。

「俺は、渋谷エージェンシーのセカンドオーナーだ……。俺にとっての初代はオカイラさんだけだからな。過去に誰がその座にいたとしても、俺が二代目だ。」

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