パート35
— 分裂した支配。
オフィスのドアが勢いよく蹴り開けられる……。室内は物で散乱していた。カツネリと他の捜査官たちは片付けをしており、その中でカツネリは使えそうな書類を選別していた。
「カツネリ……!
どんどんプレッシャーが増しているのに、まだ一つも決定的な証拠を見つけられていないのか——」
「——落ち着いてください。血圧が上がりますよ……。ちゃんと探しています。」
カツネリはそう答える。ヘッドはこんな返答を予想していなかったが、それでも椅子に腰を下ろした……。
「まもなく警察も本格的に動き出す。捜査は急速に進んでいる……。
このままでは、この事件で警察がお前より先に進んでしまうぞ……。
だからこそ私はJIBを関わらせたんだ。この件を理解できるのはお前しかいないと思ったからだ……。」
ヘッドは両手で頭を抱える……。
「警察署では皆、お前がこの事件を担当していると知っている……。だが、お前は少し時間をかけすぎた……。」
「マヨラは本当に死んでいます。」
カツネリのその言葉に、その場にいた全員が驚いていた。彼の部下たちですら、カツネリがそんなことを口にするとは思っていなかった。
「私は全ての書類や報告書を確認しました。全部正しいです。」
ヘッドは何か言いかけて止まり、勢いよくドアを閉めて部屋を出て行った。カツネリは集めていた資料の中から数枚の紙を抜き取り、ポケットへしまう。その時、部下たちは誰もそれに気づいていなかった。
夕方になる頃、カツネリは自宅へ戻る。部屋へ入り、ジャケットを脱いでドアの近くへ置き、そのまま進みながらシャツも脱いでベッドへ放り投げた。そして部屋の隅にあったゴミ箱を足でベッドの近くまで引き寄せると、ベッドに座りながら、その書類をゴミ箱の中で燃やし始めた。警備付きで届けられたあのファイルも一緒に……。
「全て、お前の思い描いた通りに進んでいる……ジカシ。」
その日の夜、マヨラの部屋のドアがノックされる。鍵は開いていた。ツネリが部屋へ入り、バルコニーへ向かう。そこにはマヨラが座っていた……。
「来たか?」
ツネリは静かに頷くと、まずドアに鍵を掛け直し、その後マヨラの隣へ腰を下ろした……。
「俺たちのエージェンシーは分裂した……。お前の言った通りにな。メンバーの半分以上が東京本部へ送られた……。」
「何人だ?」
マヨラはコーヒーに砂糖を混ぜながら尋ねる。しかし途中で止まり、さらにスプーン二杯分の砂糖を加えてかき混ぜ始めた……。ツネリが答える。
「タガヤさんを含めて十八人だ……。」
マヨラはコーヒーを一口飲み込む。
「その中の十一人を、犯罪者プロフィール付きで三、四日おきに殺し続けろ……。」
ちょうど煙草に火をつけようとしていたツネリの手が震え、煙草が床へ落ちた。彼は怯えた目でマヨラを見る。マヨラは二口目を喉へ流し込む……。
「もう逃げ切るのは不可能だからだ。ユリナ……“ブレード・ゴラリ”を密かに始末できるほど簡単じゃない。
エージェンシーが分裂した今、俺が率いる側はブレード・ゴラリに集中する。もう片方は……言った通り、犯罪者プロフィール付きで自分たちの人間を殺せ……。
そうすれば日本犯罪捜査局の目はお前たちへ向く……。その間に俺たちはユリナとぶつかることになる。
忘れるな。お前が殺す奴らは善人じゃない……。それが奴らに相応しい結末だ。」
ツネリは部屋を去っていく。マヨラはカップの最後の一口を飲み干し、部屋へ戻った。その時、スマホにカツネリからメッセージが届く。明日会う時間が書かれていた。マヨラは微かな笑みを浮かべながらスマホを脇へ置き、バスルームへ向かった……。
彼の頭の中では、ユリナの事件のパターンが巡っていた……。
「ブレードが今まで殺してきたのは、全員カップルだった。しかもそのほとんどが、自分の恋人ではなく他人の恋人とデートしていた奴らだ。
つまり……関係で裏切った者は、その関係によって死ぬ……。
もうシナを手放したことに後悔はない。
今の俺には、ユリナがどこにいるのか分かっている……。」




