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ゴラリ・エージェント  作者: Adrashika
第七章 ― 色褪せた顔
34/35

パート34

— 始まり。


「日本・東京から衝撃的なニュースが入ってきました……。十九歳の少年がライフルを持って家に押し入り、一族を皆殺しにしました。女性と子供だけを残し、その血筋は完全に消し去られたとのことです……。」


東京の街では、人々が今日のニュースを見つめていた。

今日、テレビ局はどこも同じ空気に包まれていた。


「情報によりますと、この惨劇を引き起こした人物はジカシ・マヨラと見られています。現在も捜査が続いており、マヨラは行方不明となった妹を救うために犯行へ及んだとされています……。なお、彼は以前から妹の失踪届を提出していました。」


人々は重苦しい会話を交わしていた。誰もが同じ話題を口にしている。

どの家でも同じニュースが流れていた。

その事件は、日本中へ火のように広がっていった。


その頃、ミス・ジカシは自分のアパートへ戻って来ていた……。


部屋の扉が開く。

室内には粘りつくような静寂が張り付いていた。

彼女はバッグを置き、コーヒーを淹れ始める。タイマーをセットし、テレビを点けた。


そこでは例のニュースが流れていた。最初は内容が理解できなかった……。


「事件が発生したのは昨夜十一時頃――。被害者宅では、当時息子の結婚式の準備が進められており、多くの招待客が訪れていました……。犯人は女性と子供を除き、その場にいた全員を殺害。被害者の証言によれば、彼は襲撃の最中ずっと妹を探していたとのことです……。


その夜に使用された凶器はロシア製ライフル“アバカン”。さらに現場では、犯人と共に彼の妹も発見されました。繰り返します――この連続殺人事件の犯人は、ジカシ・マヨラです。」


呼吸が止まった。

胸が重く沈む。目が震えた。


「マ……ヨ……マヨラ……? 私の息子が……? どうして……?」


突然、ミス・ジカシの胸に激痛が走る。

痛みに耐えきれず、そのまま床へ倒れ込んだ。


その瞬間、彼女の視線が天井へ向く。


心臓の鼓動が異常なほど早くなり、その音が耳に響いていた。

視界がぼやけていく。テレビの音も次第に遠のき、やがて完全に消えた。


ミス・ジカシの目の前には、無数の刃がぶら下がっていた。


その時――奇妙な何かが天井から降りて来た。


それは少女だった。

真っ白な身体。異様な瞳。そして背中から蜘蛛の脚のように伸びる棒――だがその正体は全て刃だった。


汗の雫が身体を離れるより先に、血の雫が床へ落ちた。


一撃。


血が壁一面へ飛び散る。

何かを支えようとする間もなく、次々と攻撃が叩き込まれた。

その圧力に身体は耐えきれず、ミス・ジカシの身体は裂け散った……。


その後、ゴラリは窓の外へ消え去り、家具や部屋の物が床へ散乱していった。


ちょうどその頃――。


刑罰のためマヨラを護送していた車両が停止させられた。

警察官を装ったタガヤが現れ、そのまま彼を自分たちのエージェンシーへ連れて行った……。


夕方――。


タカオの学校が終わった。

校門を出た彼は、いつものように母親が迎えに来ていないことに気付く。


違和感を覚えながら、彼は家へ向かって歩き始めた。

その道中、心の中では不安が渦巻いていた。


「今日はどうして母さん迎えに来なかったんだろう……? 仕事が忙しかったのかな? いや、そうなら学校に連絡してくるはずだ……。もしかしてサプライズ? ……いや、この時間にそれはないよな……。」


そんなことを考えながら、彼はアパートへ戻った。


部屋の扉が開く。


室内は異様なほど静かだった。


タカオが完全に扉を開いた瞬間、正面の窓から冷たい風が吹き込んでくる。

胸が締め付けられ、喉が乾いていく。


部屋へ足を踏み入れると、物が散乱していた……。

家具は壊れている。


さらに奥へ進み、右を向いた瞬間――。


そこには死体があった。


タカオは恐怖で震え、そのまま外へ逃げ出そうとする。

だが突然、足を止めた。


「母さんは……どこ?」


遺体はバラバラに切り裂かれており、タカオ自身ですら誰なのか判別できなかった。

そして翌日――警察でさえも。


「こちらが遺体の報告書です……。全ての検査の結果、この遺体はタカオの母親であると確認されました。」


その頃、タカオはニキンの家で空を見上げていた。

すると扉がノックされる。


扉を開けると、そこにいたのはニキンの母親だった。

彼女は、誰かが下でタカオを呼んでいると伝える。


タカオが下へ向かうと、そこには黒い服を着た人々が立っていた。

その姿を見て、彼は少し怯える。


だが彼らは、そのままタカオを連れて行った。


ニキンは必死に話しかけようとするが、誰一人耳を貸さない……。


車の中で、タカオは初めて知らされる。

彼らはゴラリのエージェントであり、彼に“特別な提案”があるのだと。


その頃には、マヨラも既にエージェントとなっていた。


「新入りが来る……。できれば色々教えてやってくれ。俺は長い間この組織にいるからな……。」


マヨラは周囲へ説明していた。


その時、エージェンシーの前に一台の車が止まる。

タカオを乗せた車だった。


ちょうど同じ頃、警察はタカオの家へ到着していた……。


だがタカオは見つからない。

警察の保護下にいたはずの少年が突然消えたことで、警官たちの間には緊張が走っていた。


そして――。


警察の事情聴取を装い、タカオを連れ出した人物こそ、オカイラだった……。


数日後。


マヨラ、タガヤ、そして東京本部のエージェントたちは、一つの任務へ向かう。


東京郊外――小さな森の中に建つ屋敷へ……。


「何があっても、俺は母さんを殺した犯人を見つけ出してみせる……。」


そう心に誓いながら、タカオは屋敷へ足を踏み入れた……。

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