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ゴラリ・エージェント  作者: Adrashika
第七章 ― 色褪せた顔
33/35

パート33

— 色褪せた記憶。


東京の穏やかな朝と共に、孤児院では子供たちの賑やかな一日が始まっていた……。

その孤児院は一人の老婦人が経営しており、今日は娘のムズハが世話をしていた。

その日、一人の少年が孤児院へやって来た。少し怯えた様子で、身体を縮こませたシャイな少年だった。


「君の名前は?」


オーナーの娘が彼に名前を尋ねる。少年は少し沈んだ表情を見せ、視線を地面へ落とした。ムズハはどこか奇妙な違和感を覚えた。

しかし少年は、疲れ切った声で答えた。


「ジカシ・マヨラ……」


— 数十年前。


「今日はマヨラの番だ。部屋の掃除はマヨラがやるんだぞ。」


孤児院では毎日の決まりとして、一人の子供に部屋掃除を任せていた。清潔さを大切にし、綺麗に暮らすことを学ばせるためだった……。

だがそのルールには一つだけ例外もあった。もし誰かが望むなら、他の子を手伝っても良いということだ。


「ごめん、でも手伝ってくれないかな……? 前は僕が君を手伝ったよね。」


マヨラは一人の少年に助けを求める。


「悪いなマヨラ。でも友達が待ってるんだ。俺がいないと遊び始めないから……。一人でやってくれ。」


そう言い残して少年は去っていった。マヨラはそのまま掃除を始める……。

しばらくして、ムズハがやって来てマヨラを手伝い始めた。


「ここにいたんですか? でもこれはあなたの仕事じゃありません。僕一人でできます……。」


ムズハは笑いながら答える。


「そんなことないわ、マヨラ……。この孤児院は私の場所でもあるもの。私はただ、誰にも辛い思いをしてほしくないだけよ……。」


マヨラはその言葉を聞いて少し嬉しくなった。

掃除が終わった後、マヨラはバルコニーから遊ぶ子供たちを静かに眺めていた。


しばらくして、マヨラはムズハの元へ行き、外出の許可をもらう。ムズハはマヨラがどこへ向かうのか知っていたため、そのまま送り出した。

マヨラは孤児院を出ると、近くの高校へ向かって歩いていった。そして学校が終わる頃、妹のシンと合流する。マヨラはシンに、教師と一緒に待っているよう伝えていた。


その頃のマヨラは十三歳ほどだった。彼が八歳の時、母親は裁判を抱えており、それ以来マヨラとシンは家を離れ、ここへ来ていた……。


シンは教師と共に去っていき、マヨラは再び孤児院へ戻っていった。


— 五年後。


マヨラは孤児院を出て、街側に家を借り、シンと二人で暮らし始めた。

そして時代が移り変わる中、タカオにとって今日は学校の初日だった。彼は少し緊張していた。


「今日は新しいクラスメイトを紹介します。ジカシ・タカオ君です。タカオ君、みんなに挨拶してください。」


「こんにちは、ジカシ・タカオです。皆さんに会えて嬉しいです……。」


恥ずかしさのあまり、それ以上言葉が続かず、そのまま自分の席へ座ってしまった。


休み時間になっても、タカオは一人ベンチに座り、グラウンドで遊ぶ男子たちを眺めていた。

その時、一人の少年が教室へ入ってくる。


「なんで一人で座ってるんだ?」


タカオは少し間を置いて答えた。


「別に……。」


「俺と来いよ。外で遊ぼうぜ。まだ時間あるし。」


そう言って、その少年はタカオを外へ連れ出した。


「おーいみんな! こいつも入れていいか?」


皆が集まり、少し戸惑いながらも受け入れた。彼らはサッカーをしていた。

タカオはまだ少し恥ずかしそうにしていた。


試合が始まり、最初のゴールはタカオが決めた。そのことで少し気分が良くなった。

しかし次のラウンドで、サッカーボールがタカオの顔に直撃する。彼は仰向けに倒れ、鼻血を流し始めた。


皆が彼を囲み始める。


「さっきまで普通に上手かったのに……」

「どうした?」

「大丈夫か?」


周囲でクラスメイトたちが騒いでいた。

タカオは立ち上がり、鼻血を拭う。そのせいでシャツにも血が付いてしまっていた。

それでもタカオは笑いながら皆に言った。


「大丈夫だよ……。ちょっと疲れただけ。みんなは続けてて、僕はあそこで座ってるから……。」


そう言って、タカオは端のベンチへ座った。

頭に手を当てた瞬間、激しい痛みが走る。


その時、誰かがハンカチを差し出した。

それは、タカオをグラウンドへ連れて来たあの少年だった。


「俺はニキン。会えて嬉しかったよ……。大丈夫か?」


「うん、大丈夫……。僕はジカシ・タカオ。」


タカオは笑顔で答えた。


夕方になり学校が終わると、皆それぞれ家へ帰っていった。

校門を出たタカオは、自分の母親が外で待っているのを見つける。タカオは嬉しそうに駆け寄り、そのまま母親に抱きついた。


「今日はどうだった? その服の汚れは何? 初日からこんなに汚して。」


そう言いながら、ミス・ジカシはタカオの耳を軽く引っ張った。

タカオは今日あったことを全部話し、二人は一緒に家へ帰っていった。


その数時間後――東京の別の場所で、マヨラは妹の失踪届を提出していた……。


彼の手は震えていた。何も考えがまとまらなかった。


「少し前に妹のシンが言ってたんです。クラスメイトの一人が付きまとってきて、嫌がらせをしてくるって……。」


マヨラは警察を信じようとしていた。

それでも……。

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