パート25
— Believe
「覚えておけ。俺がお前を助けたんだ。だから、その代わりに俺の言うことは全部聞いてもらう。」
「でも……俺は何をすればいい?正直、お前のこともまだよく分かってない…」
フラダはその男を連れて、江戸の外へ出た。
「まだ安全じゃない。街中がまだお前を探してる。」
男はかなり怯えていた。それがフラダには分かっていた。
(もしこいつに少しでも信用させられたら、一生俺に縛られる…。そうなれば組織も作れる…
いや……フラダ、それでも人殺しを助けるのは間違ってる。だが……もう他に道はない。)
その頃、江戸の別の場所では役人たちが調査を進めていた。
その一角には妙な静けさがあった。そこを通る人間は皆、同じ路地へと視線を向けていた。
一人の男もまた、その路地を見ながら歩いていた。
「すみません、少しお聞きしてもいいですか?」
「町奉行の方ですか?はい、協力します。」
昨日の殺しについて、周辺の住民から情報を集めていた。役人たちは人を道の端に連れて行き、話を聞いていた。
「その日、何があった?誰か覚えている者はいるか?」
「はい…。仕事の帰りでした。その時、後ろの路地から一人の男が走ってきて、誰かにぶつかって…。正直よく分からなかったんですが、気づいた時には自分も追いかけようとしてました。でも、人混みの中に消えてしまって…」
役人は少し考え、帽子を被りながら言った。
「協力感謝する。良い一日を。」
そう言って、その場を後にした。
— 町奉行所・南
「今回の殺しに使われたのは家庭用の包丁ではない。もっと頑丈な…山で使うような刃物だ。」
この事件の責任者は影正だった。机に座り、深く考え込んでいた。
その時、扉が叩かれる。
「入れ、開いている。」
「はい…今回も、大きな進展はありません。ただ一つだけ…」
影正は机を叩き、頭を抱えた。
(犯人はあの場所から逃げて、ある集落に入った…そこから消えた?
役人に怪我人はいない…?いや、何を考えている…そんなはずはない…
なら、どこで間違えた…?)
その答えを知らぬまま、フラダは男と共に大阪へ向かっていた。
「一つ聞くけど…なんで俺を助けた?何度も聞いてるのに、ちゃんと答えてくれない。」
フラダは男を見た。
(こいつ…何が欲しいんだ?同じことを何度も言ってるのに、まだ納得していないのか…)
しばらく二人は無言で歩いた。
その時、フラダは顔を上げ、突然男の手を掴み、別の方向へ走り出した。
「おい、何してる!?」
フラダは何も言わず、横道へ引き込む。
「どういうことだ!?なんでこんな無理やり引っ張った?」
フラダは少し驚いたように彼を見て、手を離した。
「あそこに役人がいた。あのまま進んでたら、確実に捕まってた。」
「……そうか。じゃあ、名前くらい教えてくれ。呼び方がないと落ち着かない。」
男は少し俯き、息を吐いた。
「……カメズだ。」
冷たい風が吹き始める。夕方はすでに夜へと変わりつつあった。
「行くぞ、カメズ。夜より昼の方が動きやすい。昼なら人混みに紛れられる。」
カメズは立ち上がり、フラダの後を追った。
その夜は農場で過ごすことにした。
“マザー・シヴァ”という古い農場だった。
フラダはカメズに先に中を確認させる。
(こいつの言葉は、全部疑ってかからないといけない…
あの質問で、もう怪しいと分かっている。)
カメズは先に中へ入り、周囲を確認した。
「……大丈夫だ、入れ。」
低い声で呼ぶ。
フラダが中へ入る。その様子を、カメズはじっと見ていた。
(こいつが用済みになったら、すぐに切る。
もし役人が来たら…全部こいつに被せればいい。)




