表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゴラリ・エージェント  作者: Adrashika
第五章:血の起源 — ゴラリ
20/35

パート20

千の切り傷で血を流せ

深い青色の海が、太陽の光で緑色に輝いていた。

マヨラはその海の中に沈んでいた。目は開いているが、そこには奇妙な空虚さがある。髪、手、足が上に向かって漂い、まるで彼にふさわしい「その瞬間」を味わせているかのようだった。

その時、マヨラの目の前に泡の群れが現れた。何が起きたのか理解する間もなく、巨大な爆発が起きる。その光の中に、マヨラは母の面影を見た。

そして……あの「ゴラリ」の姿も。

それは彼に、残酷な現実という鏡を突きつけていた。

何かが壊れる音がした。マヨラは目を覚ます。自分のアパートの部屋だった。

彼はベッドから起き上がり、バスルームへ向かおうとした時、田ヶタガヤさんからの着信が入る。マヨラはスマホをサイレントにして、そのまま中へ入った。戻って確認すると、膨大な数の不在着信。かけ直そうとした瞬間、再び電話が鳴る。

「マヨラ、どこにいる……? 何度もかけているんだぞ。いいか、今すぐ市の墓地に来い」

「どうしたんですか……? 何かあったんですか?」

「来ればわかる……」

田ヶ谷さんはそう言い残し、電話を切った。マヨラは嫌な予感を抱きながら準備を整え、墓地へと急いだ。

そこには多くの人が集まっていた。田ヶ谷さんや渋谷エージェンシーの面々も。日は沈み、風は止んでいた。マヨラが進むにつれ、棺が見えてくる。ガラス越しに見える遺体は、まるで体中の血が流れ出たかのように、血の海の中に浮いていた。

マヨラの脳裏に様々な顔が浮かぶが、確信は持てない。しかし、ある場所で彼は足を止めた。まるで自分が無力で、孤独になったかのように。

目の前にあったのは、無残にも数千回切り刻まれた「オカイラさん」の遺体だった……。

頭が真っ白になる。マヨラは田ヶ谷さんの隣に立った。

「さん……これは……?」

田ヶ谷さんは手で軽く「落ち着け」と合図する。

しばらくして、田ヶ谷さんに電話が入った。マヨラの目は、棺の中の遺体に釘付けだった。皮膚は剥がされ、肉は抉られ、切断された片足が遺体の横に無造作に置かれている。

マヨラの手が震え始め、鼓動が激しくなった。

田ヶ谷さんは少し離れて電話に出る。

「……なぜこんな時にかけてきた。状況はわかっているはずだ」

電話は田ヶ谷さんの妻からだった。

「ごめんなさい、でも今からクリニックに行くから伝えておきたくて……実はサイナの耳から血が出ていて、あの子すごく怖がっているの」

田ヶ谷さんは電話を切り、マヨラに「先に行く」と告げる。マヨラはそれを引き止めた。

「待ってください、伝えたいことがあります……。これ、あの『ブレード・ゴラリ』の仕業です。間違いない。耳の傷を見てください、奴らの印があるはずだ……」

田ヶ谷さんはその言葉を聞き、マヨラをじっと見つめる。

「たった一度の遭遇でそんな風に振る舞うとはな。……正直に言えば、今すぐお前を殴りたいところだが、お前は信頼できる男だ」

そう言い残し、田ヶ谷さんは去っていった。マヨラは葬儀に意識を戻す。

棺が下ろされ、墓が作られていく。マヨラは遠くからそれを見守っていた。

「手に入れば土、失えば金(宝)」

墓石にはオカイラの名前があり、花が供えられた。マヨラはそれを見て、小さく微笑んでいた。エージェンシーの若い男が隣に来て言った。

「オカイラさんは君をすごく信頼していたんだ。苦しみの中でも立ち上がる君の姿に、今の俺たちは救われているんだよ……」

マヨラは腕を組み、深く息を吐いた。

「……生きていた時に、誰か一輪でも花を贈ったか? 笑わせようとしたか?」

男は黙り込んだ。マヨラはその男を見つめる。マヨラが何を言いたいのか、男には伝わっていた。

「さんは言っていたんだ。……もし君が何度も自分を真っ先に立て直そうとするなら、それは自分勝手なんかじゃない。それは、次に倒れるのが自分だと分かっているからだ、とね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ