表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゴラリ・エージェント  作者: Adrashika
第4章:血の檻に繋がれた絆
19/35

パート19

— Optional Human (選ばれし人間)

「マヨラ・ジカシ……法を軽んじ、自ら裁きを下したことで、お前は自分自身の人生だけでなく、姉の人生までも犠牲にしたのだ」

裁判長が判決を下していく。マヨラはただ立っていた。彼の中にはもう、怒りも喜びも、誰かに寄り添ってほしいという期待も残っていなかった。

「正義の観点から言えば、両者とも過ちを犯した。クローチとその仲間たちの所業は、あまりにも重い罪だ……。そしてマヨラ、お前もまた、道を踏み外した。お前が望むような言い訳など存在しないが、慣習に従い、両者に最後の一言を許す……」

遺族を代表し、クローチの母親が前に出た。彼女はマヨラを指差し、罵声を浴びせながら罪をなじった。裁判所は発言を許したが、指を差すことや声を荒らげることは厳しく禁じた。裁判長は彼女の言葉を記録し、そしてマヨラの番が来た……。

「ジカシ、弁明があれば聞き届けよう。お前の最後の言葉を……」

一瞬、シンがマヨラの方を見た。だが、マヨラは項垂れたまま、顔を上げることはなかった。誰もが、マヨラが何を語り出すのかと息を呑んで待っていた。

「……水を一杯、頂けますか」

その場にいた全員が耳を疑った。弁護士も傍聴人も、衝撃に包まれた。法廷という場所で、裁きや許しではなく「水」を求めた者など、前代未聞だったからだ。

水が運ばれてきた。シンの視線も含め、すべての目がマヨラに注がれる。後方に座っていたタガヤ氏だけが、微かに口角を上げた。

「俺が全員殺した。外から銃を持ち込み、すべて俺がやった……」

積み上げられた弁護書類も、捜査記録も、その一言ですべてが空虚なものとなった。裁判長は眼鏡を外し、ペンを置いた。マヨラは静かに言葉を継いだ。

「もう……何も聞きたくないし、何も言うことはない」

マヨラの最後の望みは聞き入れられた。審理は引き延ばされることなく、彼に刑が言い渡された。

皆の視線が刺さる中、マヨラは連行されていく。シンの傍を通り過ぎる瞬間、彼女の微かな啜り泣きが聞こえ、マヨラは一瞬だけ足を止めた。だが、背後から突き飛ばされるように促され、彼は護送車へと押し込まれた。

— The Hazy Expectation (霞む期待)

護送車が刑務所へと向かっていた。だが、あるカーブに差し掛かった時、数台の黒塗りの車が道を塞いでいた。

「報告します……マヨラ・ジカシはこの車両に」

警官たちはマヨラの身柄を「彼ら」に引き渡し、護送車は走り去った。マヨラは黒い車の中へと移される。

頭に被せられていた布が剥ぎ取られた。突き刺さるような強い光に、マヨラの目は赤く染まる。彼は汚れ果てた自分の服を眺め、静かに土を払った。隣に目を向けると、ゴラリ・エージェンシー(Gorari Agency)のタガヤが、煙草を燻らせながら座っていた。

「急げ、本物の警官が来る前にな……」

車が加速する。

「傷ついているからこそ、お前は致命的デッドリーだ……ジカシ」

タガヤはそう告げた。車はそのままエージェンシーの深部へと滑り込む。そこでマヨラに組織の全容が語られた。

その日から、マヨラ・ジカシは東京エージェンシーの「メインリード」となり、タガヤはその背後で糸を引く指揮官となった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ