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ゴラリ・エージェント  作者: Adrashika
第4章:血の檻に繋がれた絆
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パート18

— A Hopeless (救いなき者)

「下にいるぞ、急げ……!」

「誰か警察に電話しろ!」

「ライフルを持ってる、誰も近づくな……」

人々がそう叫びながら、階段を駆け下りていく。

マヨラは傷を抑えながらライフルを拾い上げた。部屋の外へ出ると、女たちの啜り泣きが響いている。銃を手に、彼は彼女たちの前を通り過ぎるが、誰もが己の悲しみに溺れ、彼に気づく者はいなかった。

ふと、マヨラは何かに気づき足を止める。彼は振り返り、泣き崩れる一人の女にクローチの弟の居場所を問うた。その瞬間、泣き声が止まり、彼女たちの手が恐怖で震え出す。

「最後だ、答えろ……」

「……農場の、ハウスホールに」

誰かの声がした。マヨラは迷わず踵を返し、誰の視線も気にせず歩き出した。ハウスホールはすぐ近く、農場の中にあった。暗闇の中、一筋の明かりが灯っている。マヨラは畑の中の細い道を進む。

夜の月明かりが降り注ぎ、蛍が舞っていた。その静寂の中、マヨラはライフルを手に歩き続ける。連射し続けた銃身バレルは、熱で赤く染まっていた。ハウスに近づくにつれ、彼の心臓の鼓動が激しくなる。恐怖ではない、怒りだ。瞳は血走り、銃を握る手は今も震えている。彼は独りだった。

彼はゲートを力任せに蹴り破った。凄まじい音と共に扉が倒れる。そこにはクローチの弟が、腰を抜かして座り込んでいた。マヨラの姿を見た瞬間、彼の魂までもが凍りついた。

マヨラはライフルを投げ捨てると、ハンドガンを引き抜き、そいつの頭を殴りつけ、腹を激しく蹴り上げた。

「待ってくれ、兄貴……全部話すから!」

男は命乞いをしようとしたが、マヨラは何も聞きたくなかった。

彼は銃口を男の目に突き立てた。絶叫が響き渡る。それでもマヨラは止まらない。その時……。

「……あんたの妹は生きてる!」

マヨラの動きが止まった。呼吸が静かに、そして深くなる。手の震えがさらに激しくなった。

「ホールの、裏にいるんだ……」

希望の光が見えた。マヨラはそこへ向かおうとしたが、踏み止まった。そして、目に突き立てていた銃を力任せにねじ込み、引き金を引いた。

クローチの誘拐劇において、こいつも主犯の一人であることを知っていたからだ。マヨラは全ての武器をそこに捨て、ハウスの裏へと走った。

そこには、妹のシンが縛り付けられていた。口には猿轡パテが、唇の両端が裂けるほどきつく締められている。手首は針金で縛られ、逃げることさえ許されなかった。

マヨラの目に、深い悲しみが宿る。その瞳は誰かを追い求めるように大きく、その手は誰かの命を奪うために、そしてその怒りは誰かを守るためにあった。

彼が近づくと、シンは激しく泣き始めた。まるで、かけがえのない何かを失ってしまったかのように。マヨラはさらに進もうとするが、石に足を取られ、足首を挫いてその場に崩れ落ちた。シンは泣き続ける。彼女に起きたことは「過ち」などという言葉では片付けられない、あまりにも残酷な現実だった。

横たわったまま、マヨラは片手を伸ばした。満身創痍で、立ち上がることさえできなかったからだ。

しかし、シンはその伸ばされた手を見つめながらも、それを拒むように目を逸らし、ただ泣き続けた。

3日後(三日後)

「ライフルによる5人以上の殺害。日本という国で、一つの家系がほぼ根絶やしにされた……。被告人、マヨラ・ジカシです」

日本最高裁判所(日本最高裁判所)

法廷に立たされるマヨラ。弁護士たちが慌ただしく動き、裁判長助書が彼の身元を読み上げる。

女性弁護士、チンシュ・ツィデキが立ち上がり、報告書に従って口を開いた。

「裁判長……。

マヨラ・ジカシが犯した行為は、決して許されるものではありません。あの夜起きたことは、間違いなく過ちです。私は法廷に、ただ『真実』を伝えに来ました。私の目的は、犯罪者を罰から逃れさせることではありません」

裁判長はその言葉に満足げに頷いた。

「裁判長、忘れてはならない事実があります。マヨラの妹、シン・ジカシは三日間にわたり、グループによる暴行を受けました……。その場にいた者たちこそが、マヨラが殺害した男たちそのものなのです」

弁護士は言葉を続ける。マヨラの目の前には、うなだれた妹が座っていた。彼女は兄と目を合わせようともしない。シンの目には、今のマヨラはただの「人殺し」として映っていた。

その三列後ろのベンチには、タガヤ氏が座っていた。当時の彼は、まだマヨラのことを詳しく知らなかった。日本中を震撼させた事件に、これほどの意志を持って挑んだ者が初めてだったからだ。

[タガヤ氏]

「あの日、私は日本中を恐怖させた一人の凶悪犯を見に来た。だが、そこにいたのは何だったか……。ただの『殺戮兵器キリング・エンジン』だった」

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