55追っかけ
とりあえず、三人は作曲の出来具合が心配だったので、兵藤の家に様子を見に行った。ドアホンを鳴らすと、酒井が出た。
酒井「あっ、いらっしゃい。雪さんも来てるわよ」
大輔達は兵藤の部屋に入った。
兵藤「……どう?」
大輔「……どう……とは?」
兵藤「……作詞」
大輔は正座してひと息ついた。
大輔「……何にも思いつかなかった」
兵藤「……で?」
大輔「……いえ……何でも無いです」
兵藤「はぁ……まぁ、そうやって思い詰めても浮かばない時は浮かばないからねぇ……アレをやるしか無いか」
大輔「アレ……って何ですか?」
兵藤「明日は……土曜日か……じゃあ、明日は知多半島に行くから朝八時に駅に集合ね」
大輔「はぁ……」
次の日、八時に兵藤の家にみんなで集合した。そして、兵藤を先頭に知多半島に電車で向かった。
修「今日は一体どこに行くんです?」
兵藤「……南知多ビーチランド」
亮太「なるほど!海を見てインスピレーションを呼びおこそうって言うんですね」
酒井「……」
南知多ビーチランドに着いた。
大輔「ここって……」
兵藤「うん。バンジージャンプ」
修「な、な、バンジー……ええっ」
亮太「どどどうしてバンジージャンプになるんですか!」
兵藤「やっぱり刺激がないと、インスピレーションも……」
大輔「い、嫌だ嫌だー!そんなの嫌に決まってるでしょ!」
兵藤「じゃあ、諦めるの?」
大輔「……ほ、他の方法を」
兵藤「……駄目」
兵藤の顔はこれ以上無いくらい笑顔だった。
店員「はい、これ書いて下さいね」
大輔「……何ですか?これは」
兵藤「まぁ、要するに死んでも責任はあんたにあるってこと」
大輔「えっ?えっ?それってどう言うこと?」
兵藤「いいから……ほら、サインして」
大輔「うう……何でこんなこと……やっぱりおかしいよ!」
雪「はいはい。男らしくサッサとやる!」
大輔「……ちなみに雪と酒井さんは?」
酒井「私達は……ねぇ……?」
雪「女の子だし……ねぇ」
大輔「そんなの関係無いよ! やってよ」
雪「……じゃあ、ジャンケンで負けた人だけにする?」
大輔「それいい!是非そうしよう」
雪「じゃあ、ちょっとまって」
雪は大輔以外の人に耳打ちした。
雪「じゃんけーんポイ」
大輔「ポイ………………何でだーーーーー!」
三十分後、大輔は紐を縛られて兵藤と共に釣り上げられていた。
大輔「……嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ」
兵藤「いい加減に諦めて作詞の事を考えなさい!何か閃くように!」
大輔「そ、そうですね……よ、よーーし」
店員「あっ……」
そう呟いた途端に、二人を釣り上げていたロープが上がり始めた。
大輔「て、店員さん!今、あっ……て言いませんでした?いいませんでした?」
ロープは構わず二人を載せて上がって言った。
大輔「あっていいーーーー!」




