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54追っかけ

次の日の夕方、雪は兵藤の家に一人で行った。ドアホンを鳴らすと、酒井の声が聞こえた。


酒井「あら、雪さん。どうしたの?」


雪「兵藤さんに差し入れ持って来たんですけど……」


酒井「ええ!本当に?入ってきて」


雪は家の中に入り、兵藤の部屋を空けた。そこには、酒井がスウェットで座っていて、兵藤がいつものようにヘッドホンをつけて作曲をしていた。


酒井「いらっしゃい。差し入れなんて彩女喜ぶよ。でも、今は少し集中してるから」


雪「……何か私に出来る事があればって思いましたけど、余計なお世話だったみたいですね」


酒井「そんな事無いって!本当に喜ぶんだから。彩女全然友達いないから」


雪「いや、そんな友達なんですからそんな事言わないでも」


酒井「でも、本当なんだもん。懐かしいなぁ、小学校の頃は私はいい子ちゃんだったからよくいじめられてね……音楽しか興味無い彩女しか友達いなくってねぇ」


雪「……二人は親友なんですね」


酒井「さぁ……どうかな」


そう言って、照れ臭そうに笑った。


雪「だって、酒井さんに言われて見ず知らずのアイドルグループにあんなにいい曲あげちゃうなんてよほどの仲じゃないと出来ませんよ」


酒井「ああ……あれは違うの。私がどうしても曲をあげてって言い張ったの」


雪「……なんでまた……相当モノ好きで」


酒井「彩女ってクセがあって中々友達出来なくってね……大輔さん達はクセがあるからちょうどいいかなと思って」


雪「……というより奴らクセの塊ですけどね」


酒井「お陰で彩女は少し楽しそうだった」


雪「……まぁ、退屈しない奴ではありますけど」


その時、兵藤がヘッドホンを外した。


兵藤「あっ、雪さんこんにちは。どうしたんですか?」


酒井「どうしたんですかじゃ無いわよ。差し入れ持って来てくれたのよ」


兵藤「ええ!あっりがとうございます。わぁ、美味しそう」


雪「曲の方はどうですか?」


兵藤「やっぱり、作詞までは無理だね。あいつらちゃんとやってるかなぁ……」


一方、大輔、亮太、修は再び作詞を始めていた。


亮太「もう正直何も出てこないっすね」


修「からっからですね」


大輔「無いな……」


本当に何一ついい歌詞が浮かばなかった。


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