20追っかけ
木曜日、3人は日本テレビで出待ちしていた。3人の他にも女の子達が4、5人いた。
修「本当にやるんですか?梨元プロデューサーの出待ちなんて」
大輔「……出来ればこんな手は使いたくなかったが、と言うより成功の確率はほぼ0パーセントだろうな」
亮太「……それ、雪さんに言ったら殺されますよ」
大輔「ところで雪は何してる?」
亮太「ひたすら、メール打ってますよ」
大輔「まったく….…この作戦の要だと言うのに……修、そろそろ呼んで来てくれないか?」
修「えっ、僕がですか?」
大輔「……嫌だったら別にいいけど、じゃあ、亮太行って来てよ」
亮太「えっ、僕見張ってますから大輔さん行って来て下さい!」
大輔「えっ、ええっ!そんなに雪嫌われてるの?ああ見えていい子だよ」
修「そんな事……百も承知ですよ。でも……やっぱり俺ら怖くて……」
大輔「……分かったよ。梨元プロデューサーが来たらすぐに呼んでくれよ」
そう言って雪のいる近くの喫茶店に向かった。喫茶店に入ると、雪が不機嫌そうにカフェオレを飲んでいた。
雪「何で……何で日本テレビの前で出待ちなんかしなくちゃいけないわけ?」
大輔「本当に雪には悪いと思ってるよ。でも、俺たちみたいなオタクがいくら梨元プロデューサーに訴えても無駄だと思うんだ。ここはチョットでも可愛い子の方が目を引くと思うんだ」
雪「それだけの為に……東京まで連れて来るんじゃ無いわよ!ああ……お母さんに何て言い訳しよう」
雪は頭を抱えた。その時、亮太が必死な顔して喫茶店に入ってきた。
亮太「今、収録が終わったそうです」
大輔「よし、行こう!」
雪「あーもう!分かったわよ」
日本テレビの前に着くと、ちょうど梨元プロデューサーが出てくる頃だった。梨元は恐らくアイドルになりたいであろう女の子達に自作のDVDを渡されていた。
大輔「梨元プロデューサー!梨元プロデューサー!」
修「梨元プロデューサー!」
亮太「梨元プロデューサー!」
必死3人は呼びかけたが、完全なる無視だった。しかし、雪の方向に視界がいくと、雪に気づいて歩きだした。
梨元「君は自作のDVDとかは無いのかい?」
雪「い、いえ。今日はこの3人の付き添いで」
梨元はチラリと大輔たちを見たが、すぐに雪に視界を戻した。
梨元「テレビに少しでも興味があるなら、ここに電話しなさい」
そう言って、名刺を差し出した。
大輔「梨元プロデューサー!あなたにお願いがあります」
梨元「今、こちらで話しているだろう」
雪「そ、そう言わずに聞いてあげて下さい」
梨元「ふむ……一体何なんだ?」
大輔「吉羅里佳を……VIC7の握手会の期日を何とか一ヶ月延ばして欲しいんです」
梨元「ああ……そう言えば今週だったね」
亮太「そう言えば……」
大輔は亮太の肩を叩いて落ち着かせた。
大輔「彼女達は精一杯頑張ってます。それこそ昼も夜も休みなく……」
梨元「当たり前じゃないか。彼女達はアイドルだよ。アイドルには休みなんか無いんだ」
大輔「でも、この企画はいくらなんでも不可能です!せめて後一ヶ月……」
梨元「僕だって鬼じゃないんだ。彼女達なら出来ると思ってるからこそさ。それで出来なきゃ残念だが、見込み違いってことだよ」
大輔「そんな!」
梨元「さあ、君との話は終わったよ」
そう言って車に向かった。
雪「梨元!握手会は成功するよ!私たちが絶対成功させてみせる」
車に乗った梨元は車のソファに手をドンドンさせて笑い始めた。
梨元「クックックッ……出来るもんかよ」
一方、大輔はその場で立ち尽くした。
大輔「これも……これも駄目だったか……」
雪「さあ、愛知に戻るよ!やることはいっぱいあるんだ。それにここは視線が……」
梨元に声を掛けられた雪に女の子達からの嫉妬の視線が集中してた。4人は逃げるようにその場を去った。




