僕は化石、彼女は太陽
更新遅くなってすみません!
17年前、僕は実に素晴らしい学生時代を過ごしていた。
毎日は退屈ではなかった。
もっとも、一般的に想像される青春とは、少し違っていたかもしれない。
僕は本を読むのが好きだった。
これも流行りの漫画や小説などならよかったのだが。僕が夢中になっていたのは、古代生物の化石がびっしり載った分厚い図鑑だった。
化石に興味を持ったのは中学生の頃だ。父に連れられて行った博物館で、僕は巨大な恐竜の骨格標本を見上げた。
自分の背丈の何倍もある生物が、こちらを向いて立っている。
空洞の眼窩に見つめ返された気がした。
あれは、衝撃だった。
化石を見ていると、遥かな過去から何かが語りかけてくる気がする。
誰も知らない時代の記憶を、僕だけが拾い上げているような感覚だった。
そんなわけで、僕は晴れて化石マニアになったわけだが、当然というべきか、友達はいなかった。
放課後にカラオケへ行くことも、映画館で騒ぐこともない。昼休憩でしていることも、図鑑とのにらめっこときている。
教室の笑い声はいつも少し遠かった。
状況が変わったのは、二学期に入ってからだ。
転校生が来た。
……ここまで言えば、誰のことか予想できるだろう。
平井夏。
彼女が教室へ入ってきた瞬間の空気を、僕はいまだに覚えている。
ものすごくきれいな顔立ちをしていた。女子たちはキャキャ―騒いでいる。
「初めまして! 平井夏です! よろしくお願いします!」
彼女は太陽みたいに笑った。
「親の事情で佐賀から引っ越してきました! 福岡って大きなビルがたくさんあって、すっごくびっくりしました!」
声が明るい。
表情がころころ変わる。
教室全体に、彼女の明るさが広がっていった。
「苦手なものは辛いものです! あと、やりたいことは全部やる派です!」
その言葉に、クラスがどっと笑った。
僕の隣の男子たちは「天使じゃん」とか「やばい、かわいい」とか騒ぎ始めていた。
一方の僕はというと、机に頬杖をつきながら、その様子を眺めていた。
まるで別の世界の出来事みたいだった。
やがて教室の話題は、彼女がどの席に座るのかへ移っていった。
転校生であり、きっとクラスで一番綺麗であろう平井夏の。
誰がその隣になるのか――男子たちは、それぞれ頭の中で想像を膨らませていた。
これからは、本格的に平井夏と主人公の出会いが描かれます。乞うご期待!




