95, でも、でも……。クリプトによる数学的な証明を伏せたまま……、やり過ごせるのかしら?
一番大事なのは――クリプトによる数学的な証明。その詳細を伏せたまま……やり過ごすこと。
……でも。でも……。
本当に、そんなことが可能なのかしら。そんな、ほんの一瞬の迷い。
それを――数学の女神。パランティーリは、即座に察知したわ。
次の瞬間には、もう……。その迷いを、この場で捨て去るように。強く、わたしへ要求してきた。
しかも――パランティーリ自身の「欠点」を明かしてまで、よ。
……。パランティーリの欠点。
それは――石が映し出す真実を正しく解釈するには、十分な力を持つ「女神」が必要になるということ。
でも――十分な力を持つ女神が、それに触れた場合。
今度は逆に――。
他の石へ「何を見せるのか」。そして、「何を隠すのか」。
それすら選択できてしまうという……危険性が存在する。
つまり――一つの石が、そのような「怠惰な女神」の手に落ちた瞬間……。
結果は、明白。他の石すべての有用性すら、疑わしいものへ変質してしまうのよ。
……。実際に――この現象によって、パランティーリそのものが機能不全に陥った時代も存在した。
そのときは――すべて、沈んだ。
……そういうことだったのね。それで……。
わたしは、「十分な力を持つ女神」だった。……そういうことなの?
もちろん――それは、クリプトに対する聖霊様。サトシとの、この「密約」。
それを遵守できることが前提……そういう意味なのでしょうね。
それとも――怠惰の女神……。
……その可能性すら、試されているのかしら。




