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デジタルゴールド ―― 女神に接続された暗号  作者: パランティーリ
第十四章:金塊 ―― ゴールドは……、永遠の価値でも、不変の価値でも、安全な資産でも、ないのです。
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87, 金塊 ―― ゴールドは、永遠の価値でも、不変の価値でも、安全な資産でも、ないのです。なぜなら、その真贋が人間に委ねられ、本物だと証明することが非常に大変だから、なのです。

 金塊――ゴールド。はい……これは、長年にわたり「安全な資産」として、親しまれてきたのです。


 はい……「親しまれてきた」、過去形なのです。今は……そうではないのです。


 半世紀も前の終末の時期――秩序の再構築。あの当時は、それこそ「安全な資産」として奪い合いになっていたのは、事実なのです。


 しかし……本質を見誤ると、極めて危険なのです。


 まず――あの当時の時価の総額、なのです。ゴールドばかりを見て、その総量や評価額に触れない。それは……非常に危うい認識なのです。賢明な者たちは、やはり「時価の総額そのもの」を見ていたのです。


 では――なぜ、その価値が維持されていたのか。


 永遠の価値? 不変の価値?


 ……そのような説明では、もはや理由にはならないのです。最も整合的な答えは――ただ一つ。


 それは……「計画に含まれていた」ということなのです。


 はるか昔から元素として存在していたゴールド。その時点での「0から1への創造」――それが、金塊としてのゴールドだったのです。


 計画として……あらかじめ、価値が付与されていた。そう考えるのが、最も自然なのです。


 ……。


 数学の女神が管理するパランティーリにおいても、ゴールドは「常連」だったのです。ただ、それだけのことなのです。


 確かに……あの輝きは、人を魅了するのです。しかし、それと価値とは無関係なのです。輝きだけであれば……他の金属にも、いくらでも存在するのです。希少性だけでも……価値は成立しないのです。


 そして――金塊ゴールドの最大の問題点。


 それは……真贋の検証なのです。簡易な装置で確認できる……? いいえ……それは誤解なのです。


 あの方法では、表面の状態と比重を確認する程度に過ぎないのです。いくらでも偽装が可能であり、それだけで本物かどうかを断定することはできないのです。


 真に検証するのであれば――溶解し、徹底的に分析する必要があるのです。


 しかし、そのコストを考えれば……下手をすれば、内在する価値そのものを損ないかねないのです。


 ゆえに――実際には、そのような検証は行われないのです。


 結局のところ――「持ち込んだ相手を信用するしかない」。


 それが……金塊ゴールドの構造的欠点だったのです。


 そして――。


 この新しい、平和な時代において。


 パランティーリに……、クリプト……すなわち「暗号通貨」の姿が現れたのです。


 サトシは……考えたのです。


 真贋を、即時かつ確実に判定できる方法ついて、なのです。


 クリプトであれば――ハッシュ値を一度確認するだけで、真贋の判定が完了するのです。


 そう……一切の曖昧さなく、なのです。


 つまり――そういうことなのです。


 サトシが語ったとされる「誰も信用しない」という思想。それは……ここに由来すると、わたしは理解しているのです。


 誰も信用しなくてよい。そのように設計されている、ということなのです。


 あの金塊ゴールドでさえ――最終的には、相手を全面的に信用するしかなかった。


 しかし、クリプトは違うのです。価値が宿る仕組みそのものが……根本的に異なるのです。


 パランティーリに映し出される存在として――0から1への創造。


 まさにその概念に適合する構造。それが……クリプトだったのです。

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