71, クリプト……仮想通貨は殺鼠剤の二乗だって。この精霊は、恵みの時代の市場にはうまく乗れたけど、終末期を乗り越えた先にある「新しい時代」の暗号は読めなかった。そうだよね?
そうね……。結局、わたしはクリプトの塔を通じて、「最高の駒」として……試されていたのよね。それは……神の計画に適合する存在であるかどうか。そこを、試されていた。
もし……最高の駒になれなかったのなら。大罪として裁かれ、すぐに女神を降ろされて……別の存在に置き換えられていた。そんな感覚が、はっきりしてきたわ。
それこそが……SHA-256に刻まれていた、スコフィールド注釈付聖書初版。当時は、そこまでは辿り着けず、黙示録の存在に気づくのが精一杯だった。
ううん……今ならわかる。気づかなかったこと、それ自体も……神の計画だったのよ。それだけだった……。
それでも……数学の女神は、たびたび、その核心に触れかけていた。今になって思い返せば……そうとしか思えないのよ。
「そういえば……急に思い出したんだよ。それは、殺鼠剤だよ。」
「な、なに……? 急に……。」
何かを閃いたかのように……「殺鼠剤」だなんて。そのときの衝撃は、よく憶えているわ。
「しかも……殺鼠剤の二乗、だったんだよ。」
「……、それって……。」
「二乗」という言葉で……状況の輪郭が浮かび上がった。おそらく……クリプトの塔に関わることで、遅効性の毒のように、じわじわと取り込まれていく――そんな比喩だったのかしら。
「ひどい話だよね。表面の状態と、存在自体の状態を区別できていないんだよ。」
「……。」
「この精霊は、恵みの時代の市場にはうまく乗れたけど、終末期を乗り越えた先にある『新しい時代』の暗号は読めなかった。そうだよね?」
「そ、そうね……。」
ええ……。相槌を打つしかなかった。わかりそうで……わからない。でも――終末期を乗り越えた先には、何かがある。
そこだけは……当時のわたしでも、かすかに触れていたのよ。
もちろん……それがなければ。あんなことは、できなかった。
その約束……。ううん、計画があったからこそ、わたしは――成就できた。
結局……。わたしが今も、こうしていられるのも……すべて計画のうち。この「神の計画」に……失敗はない。
だって……、ね?




